この記事では次のことをお伝えします。
油絵の額縁の選び方が知りたい
さまざまな形や色の額縁を使用することによって、作品を際立たせることができたり、作家のセンスを示すことができたりすることができます。
機能としては、作品を守る役割を果たし、飾ることができます。
- 油絵の額縁を選ぶときはタテ・ヨコ・厚さを測りましょう
- 厚さ~3㎜は一般額、厚さ20㎜程度は油彩額・または立体額が使える
- 額縁は、店舗やネット通販で簡単に購入できる
もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。
★もくじ★
油絵の額縁の選び方
油絵の額縁を選ぶときは、まず油絵を描いた支持体(張りキャンバス・紙など)の寸法を測るところからはじまります。
- 油絵の厚さを測る
- 油絵のタテ・ヨコ寸法を測る
順番に見ていきましょう。
油絵の厚さを測る
額縁に入れたい油絵の厚さを見てみましょう。
理由は、厚さによってどの額縁に入れるかがわかれるからです。
厚さ~3㎜は一般額(デッサン額)
厚み~3㎜くらいの作品は、一般額(デッサン額)という額縁で額装できます。
油絵は、厚みのある張りキャンバス以外にも、油彩紙やシナベニヤ板にも描くことができます。
厚さ20㎜くらいは油絵額(油額・油彩額)
厚みのあるものは、張りキャンバスや木製パネルで、油絵額(油額・油彩額)という額縁に額装できます。
例えば、規格サイズの張りキャンバスに油絵を描いた場合は、既製品の額縁にすっぽりと収まるので額装しやすいです。
油絵のタテ・ヨコ寸法を測る
支持体の厚さを測ったら、次はタテ・ヨコ寸法をメジャーや定規で正確に測りましょう。
規格内のものを使用していても、寸法を勘違いしてしまうことがあります。
店舗で額装をお願いするときは、店員さんが測りながら額装してくれます。また、マットを使う場合はどのくらい見せる(隠す)のかも確認してくれます。
しかし、自分で額装する場合はだれも確認してくれません。なので、しつこいくらいに何回も測るほうが良いです。
油絵に使用する額縁3つを解説
油絵に使用する額縁3つを解説します。
- 一般額(デッサン額)
- 油絵額(油彩額・油額)
- 立体額
以上です。
一般額(デッサン額)
油彩紙やシナベニヤ板などに描いた油絵を額装する場合は、比較的薄めの一般額(デッサン額)に入れます。
作品の周囲にマットという、厚紙の中をくり抜いたようなものを入れて額装します。
構造としては、見える部分から説明しますと、
- アクリル(ガラス)
- マット
- 油絵(作品)
- 厚み調整材
- 裏板
以上です。
これらが額縁のフレームに収まって額装が完成します。
一般額は、油絵に限らずさまざまな作品に使用できます。ポイントとしては、マットが入るので作品のタテ・ヨコ寸法よりも上下左右に5cm前後大きな額縁を選ぶことです。
そして、マットと作品が上下左右5㎜ほどダブることになり、作品が隠れる部分が発生するということです。
マットがないと、油絵が直接アクリル板やガラスにくっつくので良くありません。なので、マットを入れることによって油絵がアクリル板やガラスに直接付くことを防げます。
なお、シナベニヤ板はさまざまな厚みのものが販売されています。
2.5㎜・4㎜・5.5㎜…
※店舗により異なります
額縁のフレームの裏側と裏板が同じ高さになるようにすれば、トンボが留められます。
一般額で使用できるシナベニヤ板はマットの内側から裏板の内側の寸法に収まる厚さでないと裏板が飛び出てしまいます。
裏板が飛び出た場合、裏板を留めるトンボの機能を果たしません。
なので、2.5㎜のシナベニヤ板ですと比較的入る寸法かと思います。とはいえ、2.5㎜のシナベニヤでも入る厚みなのか確認しましょう。
もし心配な場合は油彩紙に描くことをおすすめします。
油絵額(油彩額・油額)
油絵額は、張りキャンバスやシナベニヤパネルに描いた油絵を入れるのに最適な額縁です。
張りキャンバスの作品の額縁を購入するときには、作品のサイズがいくつかを確認します。「F・P・M・S」などの規格はサイズを表す「号」数を設けています。
また、「F・P・M・S」などの絵画用の規格のほか、「A・B」などのOAサイズと呼ばれるサイズに対応している額縁もあります。
もし寸法がわからなければ実際に作品のタテとヨコの寸法を測り、サイズ表を見て「F何号」か「A何号」か確認しましょう。
油絵額は、額縁のフレームの幅が広く、立体的なので、重厚感と存在感があります。油絵額は張りキャンバスの木枠のサイズに合わせてあるので、寸法と規格が確認できればすっぽりと入ります。
ただし、日本と海外のキャンバスのサイズはちがう可能性があります。なので、規格外の張りキャンバスの場合は額縁をオーダーメイドするか、自分で額装する必要があります。
ちなみに、油絵額にパネルやボードなどで厚み調整をすれば、油彩紙や薄いシナベニヤ板に描いた作品でも入れることができます。
立体額
立体額は、文字通り立体的な作品が入る額縁です。
油絵額よりも比較的厚みに余裕があります。
額縁のフレームと作品の間に空間が生まれるように、作品よりも大きめな額縁を選ぶと良いです。その空間も、空間の幅もセンスの見せどころですね。
規格のあるなしに関わらず、シナベニヤパネルを額装するときに使用します。また、張りキャンバスを額装するときにも使えます。
支持体と額縁の取り付け方は、額縁の裏板とシナベニヤパネル、または額縁の裏板と張りキャンバスを裏側から額縁のセンターになるようにビスで固定して額装します。
また、裏板の内側に生地を貼ったりすると絵の雰囲気が変わります。
油絵額よりも安く購入できるし、他の方の作品と差別化できるのでおすすめです。
ただし、裏板と作品を貫通しないようにネジ止めしたり、背景の装飾にも気を配る必要があります。
マットの役割
マットは、額縁、絵との相性を見ながら使うアイテムです。
マットの役割は、
- 作品の保護
- 空間を作る
- 寸法の調整
- 作品を引き立てる
以上の役割があります。
作品の保護
作品がアクリルやガラスに直接触れてしまうと、油絵具が付き取り外せなくなる可能性があります。
また、アクリルやガラスに水滴が付く場合があります。なので、水滴が作品についてしまい、カビることがあります。
それを防いでくれるのがマットです。
空間を作る
一般額は、外側から
額縁ーマットー作品
で見えます。
マットを省けば
額縁ー作品
上記のようになり、窮屈な印象を与えます。
しかし、マットを入れることによって空間が生まれ、収まりが良くなります。
寸法の調整
マットを使う場合、作品が外に飛び出さないように必ずマットの内側は作品のサイズより、小さくする必要があります。
例えば、150㎜✕150㎜の作品の場合、マット部分が上下左右5㎜ずつ隠れるとすれば、マットを使用した額装では、作品が見える部分は「140㎜✕140㎜」ということになります。
場合によっては縦長の作品を正方形に見せたり、正方形の作品を横長に見せたりすることも可能です。
切り取る前の作品自体の印象は一緒かもしれませんが、切り取り方によってはちがった作品に見える可能性もあります。
作品を引き立てる
作品を引き立てるような色や素材を使いましょう。
同じ作品でも色が変わると印象が変わります。
マットの選び方
マットを選ぶときは、主役である作品の存在を引き立てるように選びましょう。
基本的な白や黒などのオーソドックスなものから、目立つ金や銀、または作品の色と額縁の色を見ながら選んでいきます。
マットの色によって作品の印象が変わります。そういった意味では、場所によってマットの色を変えてみるのも良いかもしれません。
例えば、お酒を飲む薄暗いバーに絵を飾る場合は黒のマットを使ったり、子どもたちが集まる場所に絵を飾る場合は、明るい色のマットを使うと、その場の雰囲気に合った印象を与えられるかと思います。
額縁表面の素材の選び方
額縁表面の透明のカバーは大きく「アクリル」「ガラス」にわかれます。また、UVカット機能があるアクリルもあるようです。
おすすめはアクリルですが、一つ一つ見ていきましょう。
アクリル
アクリルは割れにくく、軽量で透明度が高い素材です。
しかし、ガラスよりも高価で傷つきやすいです。また、静電気でホコリが付きやすいというデメリットがあります。
なので、個展やグループ展などで展示する場合はアクリル用のクリーナーを持ち、掃除しながら作品を見て回る必要があります。
ガラス
ガラスは傷がつきにくく、拭き上げが容易です。また、アクリルより安いという特長があります。
ただし、アクリルより重く、割れる可能性があります。
こちらは、個展やグループ展などで展示する場合、ガラスクリーナーを用意しておきましょう。
UVカットアクリル
UVカットアクリルは、アクリルよりも紫外線のカット率を高めたアクリルです。
なので、アクリルよりも高価です。
自分で額装する場合の額縁の選び方
自分で額装する場合は店舗やネット通販で額縁やマットをそろえる必要があります。
店舗では、店員さんに色や素材などを相談して額縁を手に入れましょう。
一方、ネット通販では自分が描いた絵を使ってシュミレーションすることができる額縁屋さんのサイトを活用します。
作品の寸法を入力すれば、それに合ったサイズの額縁が一覧表示されます。また、マットを使用する場合は、絵が見える窓の寸法を入力して作品の画像を当てはめれば、額装された様子が確認できます。
わからない場合は、電話で問い合わせることができるので、ネット通販でも額縁購入が完結しますよ。
額縁をプロに選んでもらう
額縁をプロに選んでもらう方法です。
主に2つの方法がありますので、解説していきます。
- 自分で作品を持ち込み即日・または後日持ち帰り
- 配送ですべて任せる
自分で作品を持ち込む
自分で店舗に作品を持ち込んで額縁を選んでもらう方法です。作品を見てもらい、複数の額縁を見せてもらえば、イメージが湧きます。
色合わせがわからない場合は相談してみましょう。
額縁を購入するだけですと、即日持ち帰ることができます。
一方、額装をお願いする場合は、混み具合や作品の数・大きさによって即日・または後日持ち帰りとなります。
F4号程度のマットの額装ですと、先客がいなければ大体1つ1時間かからないくらいで終わるかと思います。
配送ですべて任せる
作品を配送してすべてお任せする方法です。
額縁屋さんに作品を送れば、額縁選びから額装までして完成品を届けてもらえるサービスです。
額装のプロが額装してくれて、送り返してくれます。
ただし、完成までに時間がかかることはもちろん、手数料がかかり、作業中のトラブルや、配送による破損・紛失の可能性があるなど、さまざまなリスクが伴います。
額縁を選ぶ店員さんの気持ち
額縁を選ぶ店員さんの気持ちは以下です。
- 作品を見ないとはっきりと言えない
- 選び方は店員さんによる
- 個人のセンスや嗜好がある
店員さんもそれぞれです。店員さん一人ひとりの経験はちがいますし、好みもちがいます。
また、油絵の作風もちがえば、展示する会場の雰囲気もちがいます。
どれが正解かは額装してみて飾ってみないとわかりません。
なので、要望がある場合は作品を見てもらい、色の好みや素材を伝えてみて、額縁を選んでみましょう。
額選びの基準
額縁選びの基準として、主に色の影響について見ていきます。
白の額縁
白の額縁は、色が豊富な油絵に合います。
また、白い壁紙に溶け込んでシンプルな印象を与えます。ただし、安価に見えてしまう傾向にあるようです。
そのような理由から、画廊やデパートで販売されている額縁に白はなかなか見当たらないようですね。
黒の額縁
黒に限らず、暗い色の額縁は敬遠されがちです。
しかし、比較的どんな色にも合う額縁です。絵を引き締めて作品を目立たせてくれますし、高級感を与えるという特長もあります。
額縁屋さんでもおすすめの額縁のようです。
飾る場所が白い壁の場合、額縁の境がはっきりし作品の色彩が目立ちます。
金の額縁
金の額縁は立派で高級な印象があります。
ただし、金色は物によっては高級感を感じないものがあります。
銀の額縁
銀の額縁は、どのような絵にも合います。
現代的でスタイリッシュといった印象があります。
絵の色と額縁の色を合わせる
絵に使用している色と額縁の色を合わせる方法です。
例えば、赤が多い作品には赤が使われている額縁を選ぶという感じです。統一感が生まれて落ち着いた雰囲気になります。
油絵を売るための額縁の選び方
個展やグループ展などで油絵を売るための額縁の選び方の一例として、額縁はもちろん、絵のサイズや、作風などバリエーション豊かにすると売れやすいようです。
同じ金の額縁でも、装飾がシンプルなものやゴージャスなものなどさまざまなバリエーションがあることにより、売れやすくなると言われています。
また、黒の額縁を金の額縁に替えたところ、絵が売れたというエピソードもあります。これは、あくまで良い結果が出た例ですが、もし絵を売りたいと考えている場合は額縁を意識してみましょう。
額縁はどこで買えば良いのか
額縁は、画材屋さんや額縁屋さんで購入しましょう。
店舗でも、ネット通販でもどちらでも額縁を購入することができます。
店舗で購入するメリットは、
- わからないことを相談できる
- 実物を自分の目で確認できる
- すぐに手に入る
ことです。
ただし、交通費がかかります。
額縁選びでわからないことがあれば、画材屋さんや額縁屋の店員さんに聞いてみましょう。
もし絵が大きかったり、まだ絵が乾いていなくて持っていけない場合は、スマートフォンで写真を取って店員さんに見てもらいましょう。
一方、ネット通販では自宅にいながらさまざまな額縁を見ることができます。ただし、色や立体感は届くまでわかりません。また、届くまで時間がかかり、品数によっては送料がかかることがあります。
額装を配送でお願いする場合
なお、店舗では額装をお願いすると有料でやってくれます。しかし、個展の前に何枚も額装してもらうと、手が空くので良いですが工賃がかかるリスクがあります。
また、配送して額装してもらう場合は、配送中のトラブルに見舞われる可能性があります。
自分で額装する場合
一方、ネット通販では額装のやり方の動画を見せてくれる額縁屋さんもあります。
サイトで作品やマットのサイズを入力し、描いた油絵の画像を選択すれば額装のシュミレーションができます。
なので、気軽に額縁を購入することができます。
額縁が届いたらサイトの動画を見ながら自分で額装できるので便利ですよね。額装の動画を見ながら何枚も額装していくと、徐々に慣れていきます。
おすすめの額縁屋さん
おすすめの額縁屋さんを店舗・ネット通販サイトそれぞれご紹介します。
- 世界堂(店舗)
- 額縁のタカハシ(ネット通販)
世界堂は画材屋ですが、額装もしてくれます。額縁購入だけしたい場合でも対応してくれます。
額縁のタカハシは、支持体の寸法を入力し作品画像をあてはめれば、シミュレーターで額装の確認ができます。筆者がはじめてマット付きの額縁が買えたサイトです。
わからないことがあれば電話で相談すればOKです。額装シミュレーターの操作方法やマットの寸法などわからないことがあれば対応してくれます。
店舗での額縁選びに必要な情報
店舗に実物を持っていく場合は問題ないのですが、実物を持っていかない場合は、
- 作品画像
- タテ・ヨコサイズ
- 厚さ
上記の情報が必要です。
検討する場合は別ですが、どうしても購入したい場合は必須です。
サイズを間違えないように、メジャーや定規で当てているタテ・ヨコ・厚みの写真があると確実です。
とにかく作品の寸法が間違っていなければ適切な額縁やマットが準備できます。
なので、寸法だけはしっかりと測っておきましょう。
額装で決めること
額装で決めることは以下です。
- マットのサイズ
- マットを切り抜くサイズ
- マットの位置
額のサイズ
これらは店舗で聞かれることです。店員さんの質問に答えていけばOKです。
ただし、マットの厚さに指定がある場合、その他イレギュラーなことをしたい場合はこちらから店員さんに聞いてみましょう。
まとめ
- 油絵の額縁を選ぶときはタテ・ヨコ・厚さを測りましょう
- 厚さ~3㎜は一般額、厚さ20㎜程度は油彩額・または立体額が使える
- 額縁は、店舗やネット通販で簡単に購入できる
額縁の選び方は、既製品を使ったりオーダーメイドしたり、またははじめから自作する方法もあり、デザインや色もさまざまです。
額縁と作品の相性に正解はありませんが、作品が引き立つ額縁選びができると最高ですね。