この記事では次のことをお伝えします。
油絵の描き方の基本が知りたい
「絵を描くのは苦手」
「油絵は習ったことがないからますます描けない」
「だけど油絵を始めてみたい」
そんな方でも油絵を描ける方法を解説していきます。
油絵は、間違ってしまっても後からやり直しが効く絵の具です。
ですので、初心者の方でも扱いやすい画材と言えます。
ある程度の描き方や考え方を絞って描いていけば、決して難しいものではありません。
絵を描いていきたいのであれば油絵はおすすめしたい画材です。
まずはやってみることが大切です。
絵を描くときの考え方を共有できればと思います。
- ペインティングオイルと油絵の具だけで描く
- 何をどう描くか決める
- 下描き→描画→仕上げ(微調整)して完成させる
もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。
★もくじ★
まずはペインティングオイルと油絵の具だけで描いてみよう
まずは、ペインティングオイルと油絵の具だけで絵を描いてみましょう。画材屋さんには瓶に入った多くのオイル(画用液)が並んでいます。
まず、その数に圧倒されて何を買うべきか悩んでしまうと思います。
ですが、ペインティングオイルと油絵の具を用意すれば油絵を描くことができます。
ペインティングオイルには、さまざまな画用液が一本に調合されたオイルです。
ですので、まずは小さな瓶のペインティングオイルを用意しましょう。
支持体の準備をしよう
次に支持体の準備をしていきましょう。支持体とは、描く素材のことです。支持体によって描き味が変わってきます。
例えば、凹凸があるキャンバスであればかすれる表現が特徴ですし、木製パネルであれば滑らかな表現が得意です。
支持体
油絵に使用できる支持体は、
- 油彩紙
- シナベニヤ板
- 木製パネル
- キャンバス
などがあります。
※シナベニヤ板と木製パネルは表面にシナベニヤを使っていることが多いです。
おすすめは、シナベニヤ板です。
ホームセンターで薄いシナベニヤ板を買ってきて下地材を塗り、乾燥させたあとヤスリがけし、カットすると自分の好きなサイズの支持体が安価で手に入ります。
「いきなりキャンバスや木製パネルに描くのはちょっと…」「練習しながら上達していきたい」という方におすすめです。
また、油彩紙も練習するにはおすすめです。大きめの油彩紙を購入して好きな大きさにカットすればすぐに油絵を描くことができます。油彩紙の良いところは何と言っても薄いところです。かさばらないのでアトリエを圧迫しません。練習にはもってこいですね。
ちなみに、シナベニヤ板も油彩紙も作品として立派に展示できます。その際の額縁は、「一般額(デッサン額)」という額に収めることができます。
ちなみに私はシナベニヤ板や油彩紙に描いた油絵を額装して個展で展示しました。
シナベニヤ板は厚すぎる場合、額装できません。ですので厚さは2.5㎜のものをおすすめします。4㎜の厚さですと厚すぎで額装できないと思います。
シナベニヤ板は作品として使用できますが、大きな作品になると歪んでしまう可能性があります。
その際は、シナベニヤ板ではなく木製パネルや張りキャンバスを購入したほうが良いです。
下地材
支持体を決めたら次は、下地材です。
下地材は、支持体に油絵の具が染み込むのを抑えたり、発色を良くしたりする役割があります。
※油彩紙には下地材が不要なものがあります。
下地材は、アクリルジェッソがおすすめです。水性で乾きが早いので扱いやすいです。すぐに乾かしたい場合は、ドライヤーを使って乾かします。
アクリルジェッソは水性なので、水に薄めて使います。水で薄めたほうが表面が滑らかになります。
ジェッソの色は白色が一般的ですが、色つきのものもあります。私は、白色にほんの少しだけ黒や黄土系の色を混ぜて色をつけています。色を付けることで、どんな色を塗ったかが明確です。(色付きのジェッソが多すぎると、すぐに白色が負けてしまいます。ですので分量に気をつけましょう。)
ジェッソと水を混ぜるときの注意点としては、急いで混ぜると泡立ってしまうことです。泡立つと気泡が残り、そのまま乾いて気泡の跡が付いてしまいます。
ですので、アクリルジェッソと水を容器に入れたらゆっくりと混ぜると良いです。同じ方向にぐるぐる混ぜる感じです。逆に、行ったり来たり方向を変えて混ぜたり、速く混ぜたりすると泡ができやすいです。
ヤスリがけすることを考えて2~3層は塗って乾かし、塗って乾かすを繰り返しましょう。
最後に塗ってから丸3日乾燥させます。
丸3日経ったら、ヤスリがけしましょう。表面がツルツルになり描きやすい支持体に仕上がります。
油絵を描くための準備
支持体の準備が整ったら、次は油絵を描くための準備をしていきます。
油絵の具をパレットに絞り出す
パレットに油絵の具を絞り出します。パレットの混色スペースを十分に取れるよう、油絵の具は端の方に並べましょう。
並べる順番は、絵の具セットの順番でも良いですし色相環図の順番でも良いです。
ちなみに私は、
- チタニウムホワイト(白)
- カドミウムレッド(赤)
- カドミウムイエロー(黄)
- サップグリーン(緑)
- カドミウムグリーン(緑)
- プルシャンブルー(青)
- フタロブルー(青)
- マゼンタ(紫)
などを並べています。
同じ色で複数あるのは、色味が違うからです。
例えば青色のプルシャンブルーにチタニウムホワイトを混ぜていくと鮮やかさがなくなってきますが、同じ青色のフタロブルーは白を足していっても鮮やかさが失われにくいです。
上記の並べ方は色相環図の順番で並べています。
例えば、同系色をメインに油絵を描いていくとします。そうすると、赤~黄色の範囲を見て描いていけば良いですし、逆に補色関係にある色をメインに使っていこうとすれば、黄色と紫色を中心に使って描いていけば良いです。
これによって、印象深い絵を描くことができます。
ちなみに色は全色絞り出しましょう。印象深い絵を描くためにはこまめに色を変えていくほうが良いからです。なので、例えば赤色の中に別の色を発見したり感じたら、その色を入れてみましょう。
そうすることによって、奥深い油絵が仕上がると思います。
ペインティングオイルとブラシクリーナーを用意する
油絵の具のチューブを絞り出して並べ終わったら、絵皿にペインティングオイルを注ぎます。
描き始めから仕上げまでペインティングオイル一本だけで描くことができます。
ペインティングオイルを注ぐ量ですが、20㎝角くらいの絵でしたら、厚さや製作日数にもよりますが、直径8㎝くらいの絵皿に筆の先が少し浸る程度の量で十分です。
最後にブラシクリーナーが入った油壺の蓋を開けて準備します。
これで絵を描く準備はできました。
モチーフは実物・写真のどちらが良いか?
モチーフは実物と写真、どちらが良いでしょうか?
できれば実物が良いのですが、難しい場合は写真を見て描いていきましょう。
私は、なるべく写真を撮りためてそれを見ながら描いています。
何をどう描くか決める
絵を描く際には、描かなくても良い部分や強調したい部分などを決めて描いていきます。
絵全体はリアルにはっきりと描いていくのか、抽象的に描いていくのかも決めていきます。例えばリアルに描いていくなら、丸いものはしっかりと陰影をつけて塗る必要があります。一方、抽象的に描きたい場合は丸いものでも丸く描かずに点をつけるだけで良いかもしれません。
リアルに描くにしても、抽象的に描くにしても、モチーフの形や陰影を意識して塗っていきましょう。例えば、球体でしたら最低でも暗い色、固有色、明るい色の三段階の色が必要となります。
また、薄めに塗るか、厚めに塗るかによっても印象が変わります。薄く塗り重ねると下層を透かして複雑かつ繊細な表現ができます。一方、厚く塗れば大胆かつ力強さを表現できます。
下描き
それではここから油絵を描いていきます。
筆にペインティングオイルをつけてから好きな色で輪郭を描いていきます。
もし、フリーハンドで下描きするのが苦手だったり、リアルに描きたい場合はモチーフをコピーした紙を転写してから塗っていけば良いです。
いくら下描きがうまくいっても最終的には油絵の具で調整します。ですので、最初からガチガチに輪郭を決める必要はないと思います。
ちなみに私は、カドミウムレッドとウルトラマリンブルーを混ぜて紫っぽい色を作ってそれを平筆で下描きしています。
描くときのコツは、まずは輪郭を描き、次に陰影を塗っていきます。暗い部分には色を塗り、明るい部分には何も塗りません。暗い色と明るい色の中間の色は、カスレさせて塗るか色を塗ってからボロ布などで拭き取れば良いです。
最初から詳細を描いていくのではなく、大まかに形と陰影を描いていって、徐々に具体的に描いていくイメージでいくと絵がまとまりやすくなります。
ちなみに、影がある場合、影も大切な絵の一部なので絵の構図として画面に入れましょう。
これで、大体の位置と陰影をつけることができます。下描きが終わった時点で乾かしても良いですし、続けて絵を描いても良いです。
続けて絵を描く場合は、下描きの色が混ざってしまう可能性があるので軽くティッシュやボロ布で拭っても良いと思います。
筆一本で描いていく場合は、下描きが終わった段階でティッシュで下描きの色を拭い取りブラシクリーナーで掃除しておき、再びティッシュなどで筆についたブラシクリーナーを落とします。色を変える場合も同様に、その都度掃除しながら新しい色をつけます。
描画
下描きが終わったら、描画に入っていきます。
よく観察して描いていきます。
前景と背景は、どちらから描いても良いです。お好みで描いていきましょう。
背景の塗り方
背景は、手前にあるモチーフとの関係を考えます。
モチーフを強調したい場合は、背景の色を薄く彩度を落として塗ります。一方、背景も強調したい場合は、モチーフと同じように塗っていきます。背景の色を塗りながらモチーフの形を整えることもできます。
また、何もない背景を塗る場合、一色だけでベタ塗りしていくのか、他の色を少しずつ足しながらグラデーションをつけるのか、筆跡を残して描いていくのか、下地をところどころ見せながら描いていくのか。同じ背景でも、さまざまな描き方があります。
細い線の描き方一つでも、細い線を面相筆で描き足していったり、線の色を太めに塗った後両脇から削るように背景の色を塗って描く方法とでは印象がだいぶ変わります。
下の色が混ざったり、滑ったりして思うように描けない場合はペインティングオイルを少し多めにして塗ったり、1週間ほど乾かしてから塗っていきましょう。
色について
油絵の具の色についていくつか説明していきます。
混色
混色はなかなか難しいかもしれませんが、色見本を作ったりしながら覚えていきましょう。
色を明るくするには、黄色や白色を足し、暗くするには青色を足します。
うまくいかなかったら筆をきれいにしてから作り直せば良いだけです。
あらかじめ塗る色をいくつか混色しても良いですし、その都度混色しても良いです。
違う色との境目
違う色との境目を曖昧にするには境目を乾いた筆などで平行になぞってぼかします。
何度もなぞりすぎるとわざとらしい感じになるので、やりすぎには注意しましょう。
筆で2色を塗ったら乾いた筆でなぞる、塗ったらなぞるを繰り返すだけで油絵を描くことができます。
ですが、なぞらなくてもモチーフをいくつかの面と捉えて塗っていけばそれなりの絵を描くことができます。
黒色は使ってよいのか?
また、黒色を多用しないように気をつけましょう。黒色を使ってはいけないわけではありませんが、黒ほど暗い色はなかなかありませんし、濁って暗い印象の絵になってしまう可能性があります。また、黒色に他の色を混ぜると暗くならずに色が変わってしまう可能性があります。
ですので、色を暗くしたい場合は青色などを加えると色を鈍くしたり暗くしたりすることができます。
明暗の塗る順番
暗い色から塗るか、明るい色から塗るか意見がわかれるかもしれませんが、経験上暗い色から塗っていくと塗りやすいかなと思っています。
暗い色に、徐々に明るい色を足しながら塗っていけば、筆を掃除する手間が省けるかと思うので。
ですが、どちらから塗っても良いし同じだと思います。お好みで描いていきましょう。
立体感を出す方法
立体感を出す方法は、例えば球体を描く場合、ハイライト、固有色、暗い色の3段階で描いていきますが、物理的に立体的にすることもできます。
油絵の具の量を
ハイライト>固有色>暗い色
という具合に調節して描いていけば、立体感が増します。
また、球体と背景との境目をややぼかし気味に塗ると境が曖昧になり、回り込むように見えてくるかと思います。
境目をぼかし気味に塗ったのに立体感が出ない場合は、ハイライトや固有色を厚めに塗って調節してあげましょう。
また、別の方法として油絵の具の透明度があります。
ハイライトを不透明色、暗い色を透明色にすると立体的に見えやすくなるかと思います。
上記のような描き方をすることによって、立体感のある絵になっていきます。
後日描く場合
時間の都合や、油絵の具が滑ってこれ以上描けない場合は7~10日ほど乾かしましょう。
このとき、絵を乾かしながらアトリエに飾り、離れて観察しましょう。
後日描く場合、もし油絵の具を塗ってもかすれて描きづらい場合は、あらかじめ画面全体に乾性油やペインティングオイルを塗って、余分なオイルを拭き取ってから塗るとスムーズに筆が運べます。
一度乾いているので、下層の色を活かした「グレーズ」(透明色で塗ること)や「スカンブル」(不透明色で塗ること)も簡単にできます。
グレーズはさまざま透明色を塗ることで複雑な色をつくることができて色に深みが出ます。一方、スカンブルは遠くにある山並みや建物を、空気がかすんだように見せることができます。
乾いた画面にグレーズやスカンブルをするメリットは、下層の形を崩さずに塗れることです。
ただし、厚塗りすると下層の色が見えなくなる可能性があるので、はじめは薄く塗って絵の具の量を調節しながら塗っていきましょう。
さらに修正を加えたい場合は、再度7~10日ほど乾かしてから描き込んでいきましょう。
油絵の特徴
ここで、簡単に油絵の特徴をお伝えしたいと思います。
油絵の特徴は、
- 油絵の具はオイルで溶いて使う
- 乾燥時間がゆっくり
- 体積が減らない
などです。
一つずつ見ていきましょう。
油絵の具はオイルで溶いて使う
水彩絵の具やアクリル絵の具は水で溶いて描き心地や色の濃さを調節しますが、油絵の具の場合はオイルで溶いて使います。
オイルを使うことによって伸びにくい油絵の具がサラサラになり伸びやすくなります。
オイルは主に「揮発性油」(きはつせいゆ)と「乾性油」(かんせいゆ)と呼ばれるものです。
下描きは揮発性油を多めに使用し、乾性油は仕上げに近づくにつれて多く使用します。
油絵の具は水性の絵の具よりも硬めなので、油絵の具そのままで描くには硬すぎます。
ですので、油絵の具を薄く塗りたい場合はオイル多め、厚塗りしたい場合はオイルの量を少なめにして塗っていきます。
乾燥時間がゆっくり
油絵の具は、他の絵の具に比べて乾燥時間がゆっくりです。
どれくらいゆっくりかと言いますと、油絵を描いてから指触乾燥(油絵の具が指につかない)するのが数日、完全乾燥(中まで乾燥)するまで半年~1年もかかります。
一方、アクリル絵の具は乾くのが速く、描くスピードを早めたりパレットの絵の具の乾きを遅くさせる必要があります。
このスピード感がどうしても合わないという方は、油絵がおすすめです。絵の具の乾燥時間に振り回されることなく描くことができます。
また、乾燥時間がゆっくりなので、画面上で色を混ぜ合わせることができます。
間違えてしまっても、ボロ布で拭き取ったりナイフで削ったりすることが簡単にできます。アクリル絵の具では神経を使うグラデーションやぼかしも簡単なので、油絵は初心者におすすめです。
ただし、パレットに絞り出した油絵の具も2~3日経つと表面から乾いていきます。
1枚の絵がその日に完成しない場合は7日ほど乾かしてから加筆します。
ですので、
7日ほど乾かす→加筆する→7日ほど乾かす→加筆する…
という工程を繰り返す必要があります。
そうなると、完成までに時間がかかります。
さらには、完全乾燥してから仕上材を塗るまでにも時間がかかります。
ですので、 1枚完成するまでにそれだけを制作せずに複数枚の絵を同時に描いていったほうが効率的と言えます。
体積が減らない
油絵の具は、水彩絵の具やアクリル絵の具と違い、乾燥しても体積が減らないという特徴があります。
水彩絵の具やアクリル絵の具は水分の蒸発によって乾燥します。ですので、厚めに塗ったつもりでいても水分がなくなるので体積は減ります。また、色味もやや暗めになってしまうようです。
一方、油絵の具は酸素を取り込んで乾燥に向かっていき、体積は塗りたてと乾いたあとでも変化はないです。また、色味もほとんど変わりません。
ですので、メディウムを使わず絵の具だけで盛り上げる表現が簡単にできてしまいます。
油絵の具は体積が減らないので、油絵の具の厚みによって重厚感が得られます。逆に、厚みを出さずに薄塗り表現をすることもできます。
油絵は、ペインティングオイルと油絵の具を用意すれば、自由に描くことができる画材です。絵画教室に通って基礎を身につけることは大切なことかもしれません。しかし、油絵は決まった描き方をしなければいけないわけではありません。
描き方は、画家によってさまざまです。ですので、自由な発想で描いてみましょう。
※ただし、油絵の具の上にアクリル絵の具を載せることはできません。また、仕上げに揮発性油を多用した油絵を描くことはおすすめしません。
油絵の具
ここからは、油絵の具のことについて説明していきます。
油絵の具が何でできているか理解することで、その後の画用液のことについても理解が深まるかと思います。
油絵の具は、顔料と乾性油が混ざり合ってできたものが油絵の具です。チューブの中に入っていて、チューブから遠いところから毎回絞り出して使います。チューブの真ん中から絞り出してしまうと真ん中が弱くなってチューブから油絵の具が漏れ出してしまう恐れがあります。
油絵の具を薄めるときは、揮発性油や乾性油、またはペインティングオイルなどのオイルをつけて薄めます。量によって濃さを調節することができます。濃くしたい場合はオイルの量を少なく、逆に薄くしたい場合はオイルの量を多くします。
オイルをつけて油絵の具を塗ることによって筆が滑りやすくなり、描きやすくなります。凹凸のあるキャンバスに油絵の具だけで描くとかすれてしまいがちですが、そんなときは油絵の具にオイルを足して滑りを良くしましょう。
または、木の板に描くと滑らかな表面になるので、キャンバスより筆運びがスムーズです。
油絵の具は、乾燥時間が他の絵の具よりもかかります。描き心地は油絵の具が良いけれど、乾燥を早めたい場合は乾燥を早めるペインティングオイルやメディウムなどを使用すると良いです。ただし、乾燥剤の入れすぎに注意しましょう。
画用液について
続いて、画用液についてご説明します。
画用液は乾燥を早めるものや艶を蘇らせるものなどさまざまあります。ですが、最初から全部お伝えすると混乱しますので、油絵を描くためだけの画用液を3つお伝えします。
- 揮発性油
- 乾性油
- ペインティングオイル
です。
これらを理解するだけで油絵が描けます。
揮発性油
揮発性油は、主に下層に使うオイルのことです。
揮発性油には、テレピン(ターペンタイン)とペトロールというものがあります。
揮発性油と油絵の具を混ぜて下描きしたり、下塗りに使うことによって塗り残しをなくしたり後に塗る絵の具の定着を良くしたりする役割があります。
揮発性油自体には油絵の具を定着させる力がないので、揮発性油と油絵の具だけで描くのはおすすめしません。油絵制作の最後の方や制作自体で多用しないように気をつけましょう。あくまでも下の層に使用し、層を増すごとに乾性油の濃度を増やしていきます。
揮発性油や乾性油の量を調節しながら描くことが面倒な場合は、「調合溶き油」ペインティングオイルを使いましょう。
乾性油
乾性油は、ポピーオイルやリンシードオイルのことでゆっくりと乾いていく性質があります。
ちなみに乾くスピードはリンシードオイルの方がポピーオイルよりも乾きが早いです。
リンシードオイルは黄変しやすいという特徴があります。
一方、ポピーオイルは黄変しにくいですがその代わり乾きが遅いです。
ペインティングオイル
最初から最後までペインティングオイルと油絵の具だけで油絵を描くことができるので、調合の手間が省けます。
ちなみにペインティングオイルは、リンシードオイルがベースのものと、ポピーオイルがベースのものがあります。
乾きが早いほうが良い場合は、リンシードオイルベースのペインティングオイル、黄変しないほうが良い場合はポピーオイルベースのペインティングオイルを選びましょう。
あとは描くだけ
あとは描くだけです。特別なことはありません。
油絵の具を絞り出し、混色したあとは、とにかく描いてみないことには、うまくいったか失敗したかわかりません。
どんな絵を描きたいか、お手本の画家を一人決めて、それを目指して描いていきましょう。
描いたり調べたりしていくうちに、色づくりも技法もわかってくると思います。
描いて(調べて)→調べて(描いて)→描く
このようにやっていけば上達していくのではないかと思っています。
まとめ
- ペインティングオイルと油絵の具だけで描く
- 何をどう描くか決める
- 下描き→描画→仕上げ(微調整)して完成させる
今回は、油絵の描き方の基本について解説しました。
水彩画は、学校で習って描いている方が多いと思います。
ですが、油絵は習ったことがないしわからないから敷居が高く難しいと思っている方がいると思います。
私は高校生の頃に油絵を描いた記憶がありますが、描いているときに乾かないし細い線が引けないから扱いづらいと感じていました。
ですが、描く前にある程度「こうやって描こう」と決めてから描いていけば描くことができます。また、油絵でしかできない表現もできます。
単に知識がなく、油絵と触れ合う時間がなかっただけのことです。
ですので、一枚目より二枚目、二枚目より三枚目が上達していることでしょう。
あなたが少しでも楽しく油絵を続けられたら幸いです。
今日も楽しく油絵を描いていきましょう。