油絵の下塗りのやり方は様々|画面に単色かグリザイユやカマイユか?

この記事では次のことをお伝えします。

油絵の下塗りのやり方が知りたい

下塗りすると、キャンバスの目が埋まり油絵が描きやすくなったり、統一感が生まれたり色に深みが出たりします。

この記事のざっくりとした結論
  • 塗りやすさや色が薄い傾向がある方には下塗りがおすすめ
  • 油絵の具、またはアクリル系の地塗り材でも下塗り可能
  • 画面全体に単色で塗ったり、下書きのあと形や陰影を描くように下塗りする方法もある

もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。

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油絵の下塗りのやり方

油絵の下塗りは、油絵を描く前にキャンバスに色をつけておくことを言います。

下塗りは必ずしなければいけないわけではありません。下塗りなしで油絵を描く方もいます。

しかし、下塗りをすると…

例えば、支持体がキャンバスの場合、凹凸のある目が絵の具によって埋まるので、下塗りの上に塗る絵の具が塗りやすくなります。

また、色に深みが出て見る人にどっしりとした落ち着きを与えることができます。

用意するもの

油絵の下塗りに必要な道具や材料です。

  • 筆(または刷毛)
  • パレット
  • パレットナイフ
  • 油絵具
  • テレピン(またはペトロール)
  • 油壷(または絵皿)

以上です。

油絵具での下塗り

それでは早速下塗りをしていきましょう。

なお、下塗りをする場合はあらかじめ「地塗り」と「下描き」を終えた支持体(キャンバスやシナベニヤパネルなど)を用意しましょう。

画面全体に下塗りする場合は、やや多めに色を作ってから塗ります。

まず、パレットに下塗りに使う絵の具を出します。

色に迷ったら、

  • 茶色(バーントシェンナ)
  • 黄土色(イエローオーカー)
  • 白と黒を足してグレー
などの色を使うと良いです。

グレーのような「中間色」を塗ることによって、明るい色と暗い色を塗り分けることが容易にできます。

グレーのような中間色を活用する理由は、白色の下塗りの場合は、油絵を描くとき白を塗ってもあまり見分けがつきませんし、逆に黒色の下塗りの場合は油絵を描くとき黒を塗ってもあまりわからないからです。

グレーを下塗りに塗っておくことで、ハイライトの白色を塗っても陰影の黒色を塗っても見分けがつきます。

下塗りは何色を塗っても良いですが、どのような絵にしたいかによって色を変えましょう。また、下塗りの色をどのくらい見せるかによっても雰囲気が変わります。

次に、パレットナイフを使い混色していきます。色ムラが出ないようにしっかりと混ぜていきます。

色ができあがったら、筆や刷毛で塗っていきます。

油絵具そのままでは抵抗があって塗りづらい場合、揮発性油(テレピンやペトロール)を筆につけてから塗りましょう。

平滑に塗ったり、筆跡が残るように塗ったりと、方法はさまざまです。

筆で塗る場合は、小刻みに塗ったり、ハッチングするように塗ったあとボロ布でひろげたりします。

一方、刷毛で塗るときは支持体の端から端までを行ったりきたりを繰り返します。また、刷毛で小刻みに塗っても良いです。

塗り終わったら、支持体を立てかけて乾かします。

揮発性油を使って塗った場合は乾きが早くなります。量にもよりますが、大体3~4日乾かしたら下塗り完了です。乾いたら、油絵が描ける状態になります。

一方、油絵具だけで下塗りした場合は、7日ほど乾かしてから油絵を描きましょう。

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アクリル系の地塗り材での下塗り方法

油絵の下塗りをアクリル系の地塗り材で行うことも可能です。

アクリル系の地塗り材での下塗り方法
  • アクリル系の地塗り材を支持体に塗る
  • 乾燥させる(ジェッソの場合、丸3日)
  • 下描きする
  • フィキサチーフで定着させる(鉛筆の場合)
  • 油絵を描く

以上です。

ちなみに、油彩用のキャンバスにはアクリル系の地塗り材は使用できませんので気をつけましょう。

必ず、「油彩・アクリル兼用」のキャンバスを使いましょう。

アクリル系の地塗り材で下塗りするメリット

地塗りの際、アクリル系の地塗り材を塗れば、地塗りと下塗りを一度に済ませることができますし、時間短縮になります。

通常ですと、地塗りしたあとに油絵具で下塗りします。

この場合ですと、

  • 地塗り:乾燥時間3日(ジェッソの場合)
  • 下塗り:乾燥時間3~4日(油絵具+揮発性油)

以上です。

一方、アクリル系の地塗り材で地塗り兼下塗りを行えば、塗ったあと丸3日乾燥させれば、油絵の具が描けます。

  • アクリル系の地塗り材で地塗り兼下塗り:乾燥時間3日

地塗り(アクリル系の地塗り材)と下塗り(油絵具)をわけると、7日目くらいにならないと油絵が描けません。

一方、アクリル系の地塗り材で地塗り兼下塗りを行うと4日目に油絵が描けますね。

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アクリル系の地塗りで色を付ける場合

黒色ジェッソと白のジェッソを混ぜて作った地塗り

アクリル系の地塗りで色を付ける場合は、2通りの方法があります。

  • 色付きのアクリル系の地塗りを使用
  • アクリル系の地塗り+アクリル絵の具

以上です。

色付きのアクリル系の地塗りを使用

アクリル系の地塗り材には、色つきのものが販売されています。グレーなどの中間色を塗っておけば、その後に塗った明暗を見分けられる利点があります。

これなら色付きの地塗り材を購入しただけで、地塗りと下塗りが一気に終わります。

アクリル系の地塗り+アクリル絵の具

アクリル系の地塗りにアクリル絵の具を加えて地塗り兼下塗りをする方法です。

ジェッソにはアクリル絵の具を混ぜて使うことができます。なので、白いジェッソしかない場合は、アクリル絵の具を混ぜてお好みの色にすることができます。

アクリル絵の具を持っていれば色の微調整も可能ですね。

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下塗りの注意点

下塗りのあとは、下書きをしていきます。

例えば、鉛筆の色と似たグレーを塗った場合、その色が鉛筆の色と似ていると、下書きの線(特に鉛筆)が見えなくなる可能性があります。

なので下書きと同じような色の地塗り材を使わないように気をつけましょう。

なお、カーボン紙で下書きすれば濃い色が出せます。

しかし、今度は逆に下書きの線が濃くなりすぎて油絵具で消さないといけなくなります。

油絵の下塗りのパターン

「バーントシェンナ」と「ペインズグレー」で下塗りした状況。下書きはカーボン紙によるもの。絵の具が透明色なので目立つ

油絵の下塗りのパターンは大きく2つあります。

  • 全体に単色で塗る
  • 白地または、有色下地にグリザイユやカマイユなどで形や陰影を描く

以上です。

以下に説明していきます。

全体に単色で塗る

単色を作り、画面にまんべんなく塗っていき乾燥させる下塗りです。

なお、画面全体が同じ色でなくても良いかと思います。例えばモチーフと背景の下塗りの色を分けることもできます。

白地または、有色下地にグリザイユやカマイユなどで形や陰影を描く

白地または、有色下地にグリザイユやカマイユなどで形や陰影を描く下塗りです。

白と黒、または白と茶色などを使って明暗を描きわけながら、形を整えていきます。

グリザイユは白黒、カマイユは白と褐色を使います。

この下塗りが乾いてから、油絵具で色をつけていきます。

ちなみに褐色とは「黒みがかった茶色」のことです。引用元:goo辞書

グリザイユに使う絵の具は、

  • 白:チタニウムホワイト、シルバーホワイトなど
  • 黒:アイボリーブラック、ペインズグレイ

一方、カマイユに使う絵の具は、

  • 白:チタニウムホワイト、シルバーホワイトなど
  • 茶:バーントシェンナなど

上記を使うと良いかと思います。あくまで一例で、絶対この絵具を使わなければいけないわけではありません。

黒や茶色を混色で作っても良いかと思います。

なお、グリザイユやカマイユを行う場合は下書きが終わったあとに行いましょう。

グリザイユやカマイユでしっかりと形や陰影が描けていれば、絵のベースになります。

なので、透明色を重ねて行く場合はとても重要なプロセスとなります。

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まとめ

油絵の下塗りのやり方は様々|画面に単色かグリザイユやカマイユか?

・塗りやすさや色が薄い傾向がある方には下塗りがおすすめ
・油絵の具、またはアクリル系の地塗り材でも下塗り可能
・画面全体に単色で塗ったり、下書きのあと形や陰影を描くように下塗りする方法もある

下塗りの基本は、画面全体に単色を塗りますが、ご紹介したようにグリザイユやカマイユで下塗りを行っても良いです。

下塗りしないでいきなり油絵を描く方もいますし、筆者もそのように描いた経験もあります。

なので、自分がやりやすい方法で油絵を描いていけば問題ありません。

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