- 油絵の薄塗りのことが知りたい
- どんな技法なのかな?
- 必要な道具や材料はなにかな?
こういった疑問に答えます。
★もくじ★
油絵の薄塗りを解説
油絵の薄塗りは、2通りあります。
- 透明色で薄塗り
- 半透明・不透明色で薄塗り
上記のとおりです。
順番に解説します。
油絵の薄塗りを透明色で塗る
透明色は薄塗りに適しています。
理由は、透明感が出たり、透明色を何層にも重ねると色に深みが出たりするからです。
具体的には…
- 半透明・不透明色の油絵具を塗った上に透明な絵具を薄塗り
- 透明な油絵具の上に透明な絵具を薄塗り
上記のとおりです。
透明色は、下層の色を活かしながら表層に塗ることができます。透明色の薄塗りの効果を発揮するのは、肌の色のような微妙で繊細な色を出すときです。
下層の色を乾かしてから透明色を薄塗りしましょう。
参考にしたいグレーズの動画を以下に貼ります。
具体的な油絵具の色の名前も紹介されているので、技法とともにどの絵具を揃えたら良いかもわかります。透明感のある人物画を描きたい方は参考になります。
油絵の薄塗りを半透明・不透明色で塗る
半透明・不透明色での薄塗りは下記のような使い方があります。
具体的には…
- 暗い色で陰影を薄塗りする
- 乾燥を早めたいときに薄塗りする
- 下層の色を見せたいときに表層に薄塗りする
以上です。
透明色でも上記のようなことが言えます。
暗い色で陰影を薄塗りする
陰影を暗い色で薄塗りし、光が当たっている部分を白色をメインに厚塗りすると、立体感を感じやすくなります。
逆に、立体感を感じにくくさせるには暗い色と明るい色を同じ透明度で同じ厚みで塗れば良いです。
乾燥を早めたいときに薄塗りする
乾燥を早めたい場合は薄塗りすると早く乾きます。
油絵具のチューブに乾燥時間が表記されているものもあります。大体の油絵具のチューブに表記させれているはずです。乾燥時間が短い油絵具を使えばより早く乾燥させることができます。
下層の色を見せたいときに表層に薄塗りする
下層の色を見せたいときに表層に薄塗りします。
具体的には…
- 下層に赤や緑色のあと、表層に半透明・不透明色の白色で薄塗り
上記のようにすることで、人の肌を表現することができます。ただし、表層に白色を多用すると全体的に白っぽい色になってしまいます。
白っぽさを抑えたいときは白色に他の色を混ぜるか、下層に白色を使い表層は白色以外の透明・半透明色を使うかを試してみましょう。
ちなみにハイライトを白色で塗るときは、下層が乾かないうちにハイライトの白色を塗るか、下層が乾いてしまっていたときは下層に肌色を塗ってからハイライトの白色を乗せると自然な肌のハイライトになります。
ちなみに、白色の透明色の絵具は見たことがありません。おそらく存在しないでしょう。気になる方はメーカーに問い合わせて見てください。
ホルベイン 油絵具10号 パーマネントホワイト SF 50ml→半透明色の白色 ホルベイン 油絵具 6号(20ml) 赤系 A 半透明バーミリオンヒュー→半透明色の明るい赤ホルベイン 油絵具10号 チタニウムホワイト SF H413 50ml→不透明色の白色
ホルベイン 油絵具6号 赤 20ml カドミウムレッド H007→不透明色の明るい赤油絵で薄塗りするモチーフのケース
油絵で薄塗りするモチーフのケースは様々あります。
具体的には…
- 透明度のある海の水面を描く
- 透き通った肌を描く
- 陰影を描く
- 背景を描く
挙げればもっとあると思いますが、上記のような感じです。
油絵の薄塗り手順
1層だけの薄塗りはすぐおわりますが、2層以上の薄塗りは時間がかかります。
理由は、薄塗りする場合、油絵具は乾燥が遅いのが特徴だけれど下層に塗った色を乾燥させる必要があるからです。
具体的な手順としては…
- 下層に彩色→乾燥→表層に透明色で薄塗り(または半・不透明色)
上記のような感じです。
さらに層を増やしたい場合は、表層を乾燥させてから塗っていきましょう。
逆に、薄塗りを一層で完了させることも可能です。ただし、色に深みが出ない場合があります。単調にならないようにやや筆跡を残して塗っていくと良いです。単調にしたい場合は、一層で手首を返さずに下地を塗るような塗り方で塗れば良いです。
ちなみにせっかく下層で何層にも薄塗りしたのに、表層を不透明色で厚塗りして塗りつぶしてしまっては今まで下層を塗り重ねた意味が全くなくなってしまうので、気をつけましょう。
なるべく時間をかけたくない場合
何層にも塗るけれど、なるべく時間をかけたくない時はメディウムに頼りましょう。
理由は、メディウムを使うと乾燥が早くなるからです。
具体的には…
例)3層塗る場合
- 1層目の色:メディウムと油絵具を混ぜる→支持体に塗る
- 2層目の色:メディウムと油絵具を混ぜる→支持体に塗る
- 表層の色:下層が乾いたら塗る(メディウムはおこのみで使う)
上記のとおりです。
何層にも塗る時は、表層以外全て絵具にメディウムを混ぜて塗ります。とはいえ、表層もメディウムを使うことができます。表面が乾くと指触乾燥で塗れる仕上材(タブロースペシャル)で塗ることができるので効果的です。
ホルベイン ラピッドメディウム (速乾メディウム) 50ml
油絵で薄塗りに必要な道具
薄塗りに適した道具はやわらかめの筆です。
理由は、薄塗りしやすいからです。
具体的には…
- リセーブル
- コリンスキー
上記のとおりです。
油絵具だけで塗ろうとすると筆が油絵具の硬さに負けてかすれてしまい伸びが悪くなるので、
- ペインティングオイルやポピーオイル(乾性油)を筆につけてから油絵具を混ぜて塗る
- または、画面にポピーオイル(乾性油)を薄く塗ってから、油絵具を筆につけて塗る
上記いずれかの方法を使えば良いです。
油絵具と筆だけで薄塗りするとなると、ある程度の力が要るので筆にも粘りが必要になってくるわけです。リセーブルやコリンスキーは毛に粘りがあるので薄塗りには最適です。
あなたが薄塗りで使いやすい筆を見つけてみましょう。
ホルベイン 油絵用リセーブル フィルバート 2100F No.8
【Raphael 1872】ラファエル 油彩筆 コリンスキー 平、短穂 8号
逆に豚毛はおすすめしません。
理由は…
- 毛の跡がついてしまう可能性があるから
- 下層を傷つけて色が剥がれる恐れがあるから
上記のとおりです。
なので、豚毛のような硬めの筆は上層の薄塗りにはおすすめしません。
とはいえ、薄塗りの場合、最下層に塗る時には豚毛でもOKです。
また、表層に柔らかい筆を使って透明色で薄塗りした後、乾いたやや硬めの筆でぼかす方法もあります。その際、乾いた筆は豚毛よりやや柔らかい筆を使いましょう。
ホルベイン油絵画筆 1100F/リセーブル(フィルバート)No.4(13×5.3)→豚毛より柔らかい筆。薄塗り後のぼかしに最適油絵で薄塗りに必要な材料
薄塗りに必要な材料は3つです。
具体的には…
- 油絵具
- メディウム
- ポピーオイル(乾性油)
以上です。
メディウムは、何層にも薄塗りする場合に有効です。
一層だけで済ませるという方は、仕上材を塗るまでメディウムなしの油絵具だけでOKです。
また、層を重ねる時間に余裕がある方はメディウムなしで時間をかけて自然乾燥させながら描くこともできます。
完成を急ぐ場合はメディウムを使いましょう。
ポピーオイルは、下層が乾いた後表層に透明色を塗る前にポピーオイルだけ薄く引き、その上からオイルなしの透明色を筆で塗るときに使います。
絵具の伸びがよくなるのでおすすめです。ですが、使わなくても描くことができます。気になる方は一度試しても良いですね。
今までお話ししてきたとおり、作品に合った効果的な薄塗りをしていきましょう。
ホルベイン ラピッドメディウム (速乾メディウム) 50ml
まとめ
- 薄塗りの目的は、明暗の差を出す・乾燥を早める・透明感を出す時など
- 薄塗りの道具は柔らかめの筆を使用
- 薄塗りの材料はポピーオイルや速乾メディウムを使って塗ってみよう
以上、薄塗りのお話でした。
どのような透明度の油絵具でも、層が少なすぎると薄っぺらい印象になるので、モチーフと支持体をよく観察して絵を完成させましょう。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
それでは早速、今日から油絵を始めていきましょう。