油絵の技法「グリザイユ」を解説【グリザイユの効果、適した道具・材料】

  • 油絵のグリザイユはどんな技法なんだろう?
  • どんな効果があるんだろう?
  • グリザイユに必要な絵具はあるのかな?
  • グリザイユに必要な筆はあるのかな?
  • 支持体は?

こんなお悩みに対して答えていきます。

スポンサーリンク

油絵の技法【グリザイユ】はこんな技法です

グリザイユは、最初モチーフを白と黒の絵具を使って描き、その上に色を薄く塗っていく技法です。

具体的には「形」、「明暗」を白、黒の絵具で塗ることです。

白、黒で塗ったあとは、塗った白、黒が透けて見えるぐらいの透明度で色だけを載せていきます。

下記に塗り方の具体例をあげます。

例:バナナ

  1. バナナの形と明暗を、白と黒の絵具で塗る
  2. その上からバナナの色、黄色だけを塗っていく

1は、デッサンの絵具バージョンですね。

どんな人がグリザイユをしたほうが良いか?

すぐに塗りたい色が作れない人です。

理由は絵を描き始めたころ、カラーの絵を描く時「形」はとれても「明暗」「色彩」を同時に作り出すのはなかなか難しいからです。

例えば、赤いボール…

  • 赤い部分が塗れても、混色ができなくて赤の陰影が塗れない
  • 明るい赤が塗れない

上記のようなことがおこります。

絵を描くためには「形」「明暗」「色彩」の3つの要素を作り出す必要があります。

それらの要素がないと絵が描けないからです。

※白黒で描く技法の人や、明暗の表現をしない技法の人はこの限りではありません。

グリザイユのメリット

その点、グリザイユは最初に「形」「明暗」を作り、あとで薄く「色彩」を重ねていくことで絵ができていきます。

例えば、赤いボールを描く時…

  • やり方1:黒で丸を描き、球体の光があたった部分と陰影を白と黒で描いていく
  • やり方2:ペインティングオイルで薄く溶いた赤色だけを球体の中に塗る

これだけで立体的な赤いボールが描けます。

混色が必要な場合例えば、紫のボールを描く場合、やり方2で赤と青を混ぜてペインティングオイルで溶き、白と黒で描いた球体の中に塗れば良いだけです。

なので、グリザイユはパレットで色々混色していったけれど明暗を伴った色が作れない人におすすめです。

混色が苦手な方は、混色の本を読むという手もありますので参考にしてみてください。

グリザイユの効果

グリザイユの効果は、見る人に複雑な印象を与え、絵には深みが出ます。

理由は、下の層の色を透かして塗ることで色の層ができるからです。

これは実際描いてみるとわかりますが、単色で塗ったのとは違い色の層ができるので、最低2色の層が出来上がります。

もう少し具体例に説明すると白と黒の濃淡、上に塗った色の濃淡、上に塗った混色で作った色を塗るとさらに複雑に見えます。

なぜ複雑に見えると良いのか?

どうやって描いたのかわからない絵はマネされにくく、オリジナリティが出るからです。

なので、絵が単純に見えるなと思ったり言われたりした場合は一度グリザイユ技法を使って描いてみると絵に深みが出ることを実感できると思います。

絵の一部分に使っても面白い効果が出るかもしれません。

スポンサーリンク

グリザイユに適した油絵具

グリザイユに適した絵具は工程で少し違いがあります。

下記をご覧ください。

  • 下に塗る絵具
  • 上に塗る絵具

順番に解説します。

下に塗る絵具

結論、白と黒であれば何でも良いです。

全部の油絵具を試したわけではないですが、特にどれを使っても問題ないかと思います。

ですが、なにも具体的な名前がないとわからないかと思いますので、例をあげます。

上記の絵具です。メーカーも特に問いません。

因みに、上記ふたつの絵具は両方とも不透明です。

もし、支持体の色を透かして見せたいのであれば、不透明ではなく透明や半透明の絵具を使うことをおすすめします。

不透明の絵具ですと、支持体の色を覆い隠す可能性があるからです。

因みに、ホワイトとブラックは使う量が多いので大きいサイズをおすすめしています。

小さいサイズは下記に紹介します。

自分にあったサイズを使ってみてください。はじめは下記のように20mlぐらいがちょうど良いかと思います。

別の絵具が良いという方は、探してみてください。きっかけとして使ってくれたら嬉しいです。

ホルベインDUOチタニウムホワイト20ml

ホルベインDUOアイボリブラックヒュー20ml

上に塗る絵具の注意点

上に塗る絵具は透明度を高めるなら透明、下に塗った色をうっすら見せるには不透明の絵具を使用します。

理由は、透明か不透明かは顔料の性質だからです。

スポンサーリンク

グリザイユに必要な筆はこれです

結論は柔らかい筆があれば全部塗れます。

理由は、一本あれば事足りるからです。上に塗る筆は柔らかい筆が良いので、一本で済ませたい方は柔らかい筆を用意しましょう。

グリザイユには塗る工程が2つあります。

  • 下に白と黒で塗る
  • 上に色を付ける

これも順番に説明していきます。

白と黒で塗る時

この時の筆は何でも良いです。

塗れれば問題ないからです。

例えば、豚毛でもナイロン筆でも。

なので、白と黒を塗る時は何の筆でも問題ないです。

色を付けるとき

基本的には柔らかめの筆が良いです。

理由は、はじめに塗った白と黒に影響を与えずに塗ることができるからです。

逆に固めの豚毛ですと白と黒を削って筋を残してしまうかもしれません。

豚毛で塗ってみても良いですが、下に塗った白と黒に気をつかいます。

なので、スムーズに塗れるのはナイロン毛や馬毛などの柔らかめが良いです。

柔らかい筆ですと、たとえばこちらの平筆馬毛の場合はこちらが柔らかくて塗りやすいです。柔らかい筆で色を塗る時は油絵にペインティングオイルを混ぜると簡単に絵具を溶かすことができます。

因みに、紹介している筆は水彩画、アクリル画用のような表現で書かれていますが油絵で使っても全く問題はないです。お手入れは毎回丁寧にしましょう。

グリザイユ時の絵具の厚さ

絵具の厚みは全体的に薄めのほうが良いです。

  • 白と黒を多くした場合
  • 上に塗る色を多くした場合

白と黒を多くした場合は、上に色を載せるまで時間がかかります。

理由は、油絵は他の絵具と比べて乾くまで時間がかかるから。量を多くしたら乾きが遅くなるのは想像がつくかなと。

そして、ある程度乾かないときれいな色が塗れません。

なので、最初に白と黒はあまり多くなりすぎないように注意しましょう。

次に上に塗る色を多くした場合、最初に塗った白と黒が透けて見えません。

理由は白と黒を覆い隠してしまうからです。これでは単色を塗ったと同じになってしまいますね。

透明色を塗れば厚く塗ってもいいんじゃないの?と思うかもですが、下の色が隠れてしまっては意味がなくなってしまします。

なので、上に塗る色も多くなりすぎないように塗りましょう。

塗った色をなるべく早く乾かしたい人は画用液を使う方法があります。

メディウムのチューブタイプを使いたい人はこちら。

メディウムのチューブタイプを使いたい人はこちら。

グリザイユに適した支持体は3つです

グリザイユに適した支持体は油絵が描ける支持体であれば何でも良いです。

具体的にはキャンバスボード、キャンバス、木製パネルです。

この辺の支持体を使っていれば特に問題ないかと思います。

あとは、布の凹凸を利用するか否か、木製パネルの平坦な画面を利用するか否かを考えてグリザイユしやすい状態で作品を作りましょう。

因みになんですが、技法を知ったところで「ふーん」と思っているあなた。眺めて終わりは時間の無駄なので、次の記事を見ても無駄な時間を使うかもです。

油絵でもなんでもやらないと意味がありません。

なので、今すぐ行動しましょう。

以上、グリザイユのお話でした。

スポンサーリンク
スポンサーリンク