- 油絵が乾く時間が知りたい。
- どのぐらいで乾くのかな?
- 時間を調節できるのかな?
こういった疑問に答えます。
★もくじ★
油絵が乾く時間を解説します
結論から言いますと、油絵が乾く時間、それは「表面10日」、「完全180日~」です。
「表面10日」とは…
表面10日とは、「表面乾燥が10日」という意味です。ちなみに表面乾燥とは指で触って手に付かない状態のことです。指触乾燥(ししょくかんそう)とも言います。
こちらは、後に加筆するまでの目安の時間です。絵具によっては数日前後します。
「完全180日」とは…
完全180日とは、「完全乾燥が180日」という意味です。完全乾燥は、中までしっかりと乾く時間ということです。
最後の制作が終わってから、完全乾燥が180日つまり、半年ぐらいかかります。
表面を保護する仕上材「タブロー」は完全乾燥しないと塗れないので、この完全乾燥のあとに塗ります。
油絵はじっくり中まで乾くのに時間がかかります。
仕上材を塗るまで待てない人は、油絵を諦めましょう。
油絵具の乾燥の要因
油絵が乾く時間は6つの要素によって変わってきます。
- 絵具の厚さ
- 顔料
- 油絵具と混ぜるオイル
- 気温
- 湿度
- メーカー
絵具の厚さで乾く時間差が大きく変わる
当然薄塗りは早く乾き、厚塗りでは時間がかかります。
顔料
顔料によっても乾燥が変わります。
乾燥が速い
鉄・マンガン・コバルト・クロームなどの金属酸化物です。顔料自体が乾燥を促します。
具体的な色は…
- コバルトブルー
- ビリジャン
- プルシャンブルー
- バーントアンバー
以上です。
乾燥が遅い
次に乾燥が遅い色です。
具体的な色は…
- 有機顔料→ローズマター、スカーレットレーキ、ランプブラック
- 無機顔料→ウルトラマリン、ジンクホワイト、チタニウムホワイト
上記のような感じです。
このような乾燥させにくい顔料も存在します。これらの顔料で作った油絵具は、乾燥するようなものを入れて乾燥を調節している場合があります。
油絵具と混ぜるオイル
油絵具と混ぜるオイルによって油絵が乾く時間が変わります。
具体的には、以下です。
以上です。
油絵具は顔料と乾性油を混ぜて練って作られます。リンシードオイルで練った油絵具が3日弱で乾くとすると、ポピーオイルで練った油絵具は約4日かかります。
ポピーオイルは主成分のリノール酸が酸素とつながりにくい特徴があります。
なので、乾燥までにリンシードオイルの1.6倍ぐらい時間がかかります。
さらに、絵を描く段階で乾性油を使って絵具を溶くと乾く時間が遅くなります。
気温は20~30℃、湿度は55~60%がベスト
気温の高低差で乾燥時間が異なります。
夏は、一番乾く時間が速く、冬は乾く時間が遅くなります。
冬は、夏に比べ3倍ほど乾く時間を要します。
メーカーの調節方法はまちまち
メーカーは乾燥が遅いものに乾燥促進剤を混ぜて販売しています。(※必ずしもそうではないが、わからなければ要確認)
理由は、乾燥する速度を他の絵具と同じになるように調整しているからです。そして、乾燥促進のやり方はメーカーごとに違います。
なので、乾く時間はメーカーで変わってきます。
乾燥速度を把握するためには…
- 油絵具使用メーカー固定
- 全メーカーの色を試す
上記のことが必要になります。 しかし、後者はなかなか難しいので、自分に合った油絵具メーカーを見つけて固定し、早く乾燥速度に慣れることが大切です。
油絵が乾く時間を調節する方法
結論としては、乾く時間を速めたり、遅くしたりできます。
ただし、描画中のことですが。
乾燥を速める方法4つ
乾燥を速める方法は以下4つです。
- 気温が高い夏に塗る
- 油絵具を薄塗りする
- 油絵具に乾燥促進剤を混ぜる
- 油絵具に樹脂を混ぜる
上記の感じです。
これも順番に解説です。
気温が高い夏に塗る
速いと1日です。
油絵具を薄塗りする
乾燥を速めるのに薄塗りは有効です。
薄塗りすると厚塗りするより体積が少ないからです。ここはイメージでわかるかと思います。
油絵具に乾燥促進剤を混ぜる
乾燥促進剤は、油絵具の性質を保ったまま乾燥を速めることができます。
絵具に含まれる乾性油に酸素を取り込んでくれて、結果酸化が促進されます。
シッカチーフには酸化しやすい金属が使われています。
コバルト、亜鉛など…
乾燥促進剤の特徴は以下です。
乾燥促進剤は絵具や溶き油と混ぜます。冬に乾きが遅い時、制作を急ぐ時などに有効です。
しかし乾燥促進剤を使って表面は乾いても、中まで完全に乾くには時間がかかります。
なので、混ぜすぎ注意。
何事も適量があります。
混ぜ過ぎると亀裂、シワ、剥離の原因になります。適量を使い、説明を見ながら、試しながら使用しましょう。
油絵具に樹脂を混ぜる
樹脂は、即効性があります。
量に制限がなく、多いほど早く乾燥します。
その代わり艶の状態が変わったり、絵具の透明性が増したりします。
油絵を速められない方法【風を当てても効果なし】
結論は、風をあてても乾かないです。
理由は、油絵は酸素との化学反応で乾くから。水分の蒸発とはまた違います。
なので、扇風機やドライヤーなどをあてても乾きが速くなるわけではないです。
他の作品を制作しながら中までじっくり乾くのを待ちましょう。
乾燥を遅くする方法2つ
今度は逆に乾燥を遅くする方法です。主に2つです。
- 厚塗りする
- オイルを使う
以上です。
厚塗りする
薄塗りより体積が大きいので、表面が乾いても中は乾くのに時間を要します。
オイルを使う
乾燥を遅くするオイルを使って絵具を塗ります。
- ベネチアテレピン→テレピン、またはポピーオイルを混ぜる。単独使用不可
- グレージングバニス→油絵具に混ぜて使う
- ベネシャンターペンタイン→乾性油+揮発性油を混ぜる
どんな時に乾いていたら良いか?
下記のとおりです。
- 冬に乾きが遅い時
- 重ね塗りしたい時
- グレーズしたい時
- 絵が完成した後
- 完成を急いでいる時
上記のような感じです。
ただし、あまり緊急性がない場合は乾きを速めない方が良いですね。
さきほどのようなリスクが伴う可能性があるからです。
そして、頻繁に乾かしたいのなら油絵ではなくアクリル画も検討したほうが良いかと思います。
どんな時に乾いていない方が良いか?
これは、油絵の醍醐味の部分です。
- ボカシ→微妙な表現が可能
- ひっかき→ナイフで引っ掻いて跡を残す
- 拭き取り→色を馴染ませる
上記のような感じです。
まとめ
- 油絵が乾く時間は、「表面乾燥10日」「完全乾燥180日」ほど
- 油絵が乾く時間を左右する要素は6つ
- 絵具の厚さ
- 顔料
- 油絵具と混ぜる乾性油
- 気温
- 湿度
- メーカー
- 外的要因によって油絵が乾く時間を速めたり遅くしたりできる
油絵が乾く時間を把握して、楽しい油絵制作を過ごしましょう。
以上、油絵が乾く時間の解説でした。
最後までご覧いただきありがとうございます。