- 油絵の板の下地のことが知りたい。
- どんな下地材があるのかな?
- それぞれどんな塗り方があるのかな?
- その後の工程は?
こういった疑問に答えます。
★もくじ★
油絵の板の下地を解説
油絵の板に下地は必須です。
理由は以下です。
- 板と油絵具の絶縁のため
- 板の劣化を防ぐため
- 絵具の発色を良くするから
- 絵具の固着を良くするから
上記のとおりです。
なので、油絵を描くとき板には下地を施しましょう。
油絵で板に使える下地材を紹介
板に使える下地材は4つです。
具体的には…
- アブソルバン
- ジェッソ
- クイックベース
- アキーラ
以上です。
順番に解説します。
アブソルバン
アブソルバンは吸収性のある下地を作ります。油絵具を使用すると絵具表面の乾燥が早くなります。油性キャンバスなどの油性面には使用できませんので気をつけましょう。
ジェッソ
少し水で薄めて使うと、状態が良い下地が完成します。ジェッソは白いものが売られていますが、色つきの下地にしたければ、カラージェッソもあります。アブソルバン同様、油性キャンバスなどの油性面には使用できません。
クイックベース
クイックベースは、油性キャンバスに塗られている塗料と同じものを使っているようです。
クイックベースは艶がなく、固くて丈夫な下地になります。そして、油絵具の発色と伸びが良くなります。
長期保存する場合は、劣化を防止するため、予め膠液で地塗りしてからクイックベースを使います。
ちなみに画材屋さんで聞いたら、その画材屋さんの張りキャンバスには直接クイックベースを塗って良いとのことでした。おそらく大体のキャンバス(張りキャンバス・カット・ロール)は処理されているので、どの下地材も塗ることができます。
わからなければ、お店の人に聞いてみましょう。
アキーラ
アキーラは水性アルキド樹脂という成分を使っている絵具です。水に溶けるので、ちょうどアクリル絵具のような使い方をします。
アキーラは絵具ですが、油絵の下地材としても使うことができます。
下地材の乾燥時間
下記は、下地材の乾燥時間(完全乾燥)にかかる時間の一覧表です。
油絵具を塗るときは必ず完全乾燥させてから、塗りましょう。
ちなみにアキーラは表面乾燥すれば使用油絵具が塗れます。
アブソルバン | ジェッソ | クイックベース | アキーラ | |
乾燥時間 | おそらく1日以上 | 3日 | 10~15日 | 表面乾燥後 |
塗り重ね回数 | 3~4回 | 2~3回 | 1~2回 | - |
クイックベースの乾燥時間は2週間ほどですが、以前クイックベースを使ったとき、2週間ほど乾燥させてヤスリをかけてみました。
そしたら下層の方はまだ乾いておらず、生乾きのような状態でした。原因は、張りキャンバスに一度に厚塗りしすぎたためと思われます。
なので、私のように失敗しないよう薄塗りで下地を塗っていきましょう。
層を重ねるときは、
- 薄塗り→乾燥→薄塗り→乾燥
上記の繰り返しで一日で層を増やしていくことができます。
ホルベイン ジェッソM(標準粒子) 300ml スタンドパック 詰め替え用
クサカベ 水性アルキド樹脂絵具 アキーラ チタニウムホワイト 20号 (100ml)
下地材を塗るときの道具
下地材を塗るときの道具は2~3つです。
具体的には…
- 刷毛
- 容器
- 下敷き
以上です。
順番に解説します。
刷毛
刷毛は、毛が抜けにくいものを使いましょう。
塗っている時に毛が抜けると、取るのに苦労するからです。
お好みの刷毛で大丈夫ですが、ナイロンや豚毛の刷毛などでOKです。柔らかい毛の刷毛は毛が抜けやすいので、腰があるものを選びましょう。
ホルベイン 油絵用リセーブル アングル 600A No.10
容器
容器は下地材に付属していることもあります。
例えば、アブソルバンの1Lは容器が付いています。
ちなみに私は下地材をジェッソで塗っていて、ガラス容器やプラスチック製の容器に入れて使っています。
ガラス容器はオイルを入れるときにも使っているので、使う頻度は高めです。プラスチック製の容器の場合は、ガラス容器より大きいので、ジェッソだけ塗る日と決めて、一度に複数の板の下地を塗ることもあります。
下敷き
下敷きの条件は以下です。
- 汚れてもよいもの
- 下地材を塗った支持体より大きめのもの
- 硬めのもの
下敷きの具体例としては…
- 紙パレット
- 紙パレットの台紙
- ダンボール
- ブルーシート(大きい支持体のとき)
以上のような感じです。
下地材を塗り、支持体を置いた下敷きを持って、乾燥させたい場所まで移動させるときに便利です。柔らかい下敷きだと支持体が落下してしまうので、硬めがおすすめです。
逆に大きい支持体のときはブルーシートのような、たためるものが使いやすいです。
以上、下地材を塗る時の道具の紹介でした。
それぞれの下地材の塗り方
下地材の塗り方は基本的に塗るだけです。
具体的には…
- テーブルに下敷きを置く
- 下敷きの上に板(木製パネル)を置く
- 容器に下地材を注ぐ
- 刷毛を下地材につける
- ヨコ(またはタテ)方向に刷毛を端から端まで動かして塗る
- 乾いたら先ほどとは違う方向で下地材を塗る
- 塗りを何度か繰り返し、適正乾燥時間まで乾かす
以上です。
どの下地材も上記の手順で良いかと。
板にジェッソを塗る方法を動画にまとめました。よろしければ御覧ください。
下地材の塗り方の注意点
- 下地材はよくかき混ぜる
- 塗りにくい場合は薄めて使う
- 薄塗りで塗る
上記のとおりです。
下地材はよくかき混ぜてから塗りましょう。ドロドロして塗りにくい場合は、薄めて塗ります。
例えば、ジェッソの場合は水を足します。粘度が柔らかくなり、刷毛の滑りも良くなります。油絵用の下地材は溶剤(揮発性油など)を混ぜて薄めるので詳しくはそれぞれを確認してみましょう。容器側面の説明書きに記載されているはずです。
下地材を塗る前に、板にヤスリがけする人もいます。ヤスリがけする時は、ヤスリがけのあとに布などで綺麗に拭いてから下地材を塗りましょう。
なので、基本的に下地材は塗るだけと考えればOKです。
画面を平滑にしたい場合
画面を平滑にしたい場合は、下地材が完全乾燥後にヤスリがけしましょう。目を細かくしたい場合は、目の細かいヤスリを使います。逆に目を荒くしたい場合は目の荒いヤスリを使います。
ヤスリがけのあとには、布などで綺麗に拭いてから下描きしましょう。
ちなみに粗さは…
- 粗目 #40~
- 中目 #120~
- 細目 #280~
- 極細目 #1000~
上記のとおりです。
紙やすりセット 日本製 #80・150・240・400 各3枚 12枚セット
耐水サンドペーパー10枚 (サイズ9.2×23cm/#150・320・600・1000・2000、5種類各2枚)
塗り終わったあとの道具の手入れ方法
下地材を塗り終わったあとの手入れ方法はほぼ一緒です。
具体的な工程は…
- ビニール袋を用意する
- 容器に水性タイプのブラシクリーナーを入れる
- 刷毛についた余分な下地材をティッシュや布などで落とす
- 下地材を拭ったティッシュや布などはビニール袋に入れる
- 容器に入れておいたブラシクリーナーに刷毛を入れ、汚れを落とす
- 廃液をビニール袋に入れる
- 刷毛と容器を水またはぬるま湯ですすぐ、または石鹸で洗う
- 刷毛は水気を拭き取って、穂先を上にして筆立てに立てて自然乾燥。
上記のとおりです。
ちなみに、下地材を使ったときの刷毛の洗浄には「油絵具用ブラシクリーナー」を使い、その後に水またはぬるま湯と石鹸で洗えば良いです。クイックベースは刷毛につくと根本までしっかり染み込むので、洗うときも根本までしっかり洗い流す必要があります。
なので、何度か容器の水を替え、すすぐ必要があります。
また、衣類につくと取れなくなるので、衣類に付かないように注意するか、衣類についても良い作業着で作業します。
- ホルベイン オドレスブラシクリーナー 800ml 樹脂容器入←無臭タイプの制作途中の筆洗液
- ホルベイン ブラシクリーナーLT 800ml ←低毒性の制作途中の筆洗液
- ターレンス 密閉型筆洗器 小←石油系の筆洗液を入れる容器
- クサカベ 画用液無臭クリーナー 150ml ポリ容器←上記の筆洗器いらず。これひとつで筆が洗える
- 水性後片付け用洗浄液(ブラシクリーナー) アプト 2L
- ウタマロ固形石けん 133g 3個セット 送料無料
- 石鹸置き ホワイト 和み
以上、油絵の板の下地についての解説でした。
その後の工程
下地材を塗り終わって十分に乾燥させた後は、下描きから始めます。
ちなみにその後の工程は下記です。
- 下描き→フィキサチーフ→下塗り(おつゆがき)→乾燥→油絵具で絵を描く→乾燥→仕上材塗布→乾燥→額装
その後の工程、くわしくは下記の記事からご覧ください。
まとめ
- 油絵を板に描く時、下地は必須です
- 板に使える下地材は、乾燥時間や使い心地を考慮してどれを使うか決めよう
- 下地材に使う道具・塗り方・絵肌・手入れ方法をマスターしよう
それでは、早速明日からではなく今から油絵に板を塗る準備をして塗ってみましょう。
最後までお読みくださいましてありがとうございます。
下地材の紹介
刷毛の紹介
下地材を塗るときの下敷き道具紹介(一例)
ヤスリ紹介
【制作途中に使う】筆洗油紹介
【制作後に使う】水性ブラシクリーナーの紹介
筆や容器を洗う石鹸紹介(石鹸なら基本何でも良い)
【関連記事】
油絵を描く人はおつゆがきをしよう!、、、ところでなにそれ?