この記事では次のことをお伝えします。
油絵のペトロールの使い方が知りたい
この記事では、ペトロールの使い方をご紹介しています。
「そもそもペトロール(揮発性油)は必要なのか?」
「ペインティングオイルだけ持っているけど、必要性がわからないから、購入をためらっている」
という方に向けて記事を書きました。
ペトロールの用途をご覧になり、購入するかどうかを検討してみてください。
- ペトロールは揮発性油のことで、ペトロールの他にテレピン(ターペンタイン)がある
- ペトロールの役割は油絵具の粘性(ねばりけ)を調節したり乾性油を薄めたりする画溶液
- ペトロールは、固着力がないので、油絵制作の前半でほぼ役目を終わらせる
もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。
★もくじ★
ペトロールの役割

まずはじめにペトロールの役割を解説していきます。
油絵を描くときは主に揮発性油と乾性油を使用します。
ペトロールは、揮発性油のことで、ペトロールの他にテレピン(ターペンタイン)があります。
ペトロールは、石油系の精製油から作られています。
ペトロールの役割は、油絵具の粘性(ねばりけ)を調節したり乾性油を薄めたりする画溶液です。また、油絵具が乾いていなければ支持体に塗った油絵具を溶かして取り除くことも可能です。
肌感覚で言えば、油絵具にペトロールを混ぜるとすぐにサラサラの状態になります。支持体を立てて描けば、ペトロールが垂れるくらいサラサラです。細かい絵もスムーズに描けます。
油絵を溶かす力が強く、間違えたらティッシュやボロ布でぬぐって消すこともできます。なので、簡単に描き直すことができます。
ただし、ペトロールと油絵具を混ぜた油絵は、あくまでもその上の層に重ねるペインティングオイルや乾性油と油絵具を混ぜた層の固着を良くするための下地となる層です。
ですので、ペトロール(揮発性油)の出番は主に前半に終わらせておきましょう。
ペトロール(揮発性油)の特徴

ペトロールの特徴は、成分の大半が蒸発してしまうということです。
また、樹脂などを溶かす性質もあります。
ペトロールは、テレピンに比べて蒸発するスピードが遅いので乾燥するスピードも遅くなります。そして、溶かす力も劣ります。
ただし、酸化に強いです。
そのため黄変が起きづらいです。
- 蒸発スピード(遅い)
- 乾燥スピード(遅い)
- 溶かす力(劣る)
- 臭い(穏やか)
- 蒸発スピード(早い)
- 乾燥スピード(早い)
- 溶かす力(優れる)
- 臭い(ツンとする)
ペトロール(揮発性油)には、固着力がない

注意してほしいことは、ペトロール(揮発性油)には、油絵具を画面に定着させる力がありません。
ですので、油絵制作の後半に表層に大量に使用すると、油絵具の剥がれが起こる可能性があります。
このような理由から、ペトロール(揮発性油)は油絵具の制作の序盤だけで、下層に使用することをおすすめします。
油絵制作の中盤から終盤になると、乾性油を多めにして仕上げていきます。
ペトロールの使い方

ここからは、ペトロールで描く場合の使い方をご紹介していきます。
ペトロールなどの揮発性油は、主に油絵制作のはじめの方で使用します。
ペトロールと油絵具を混ぜて粘度や濃さを調節します。
容器は、油壺や絵皿に入れます。
やり方は、油絵具を絞り出したパレット上で、ペトロールを含ませた筆に油絵具をつけて油絵具の粘度や濃さを調節します。
絵皿の場合は、ペトロールを入れた絵皿の縁に油絵具を絞り出し、油絵具を筆につけてから揮発性油に浸し、調節します。
サラサラしすぎる場合は油絵具を加え、粘度がありすぎる場合はペトロールを加えて調整していきます。
ちょうどよい粘度や濃さになったら、下描きをしていきましょう。
ペトロール(揮発性油)を使った制作手順

ここからは、ペトロール(揮発性油)を使った制作手順をご紹介します。あくまでペトロール(揮発性油)を使用した制作手順です。
必ずこの通りにしなければいけないわけではありません。
はじめからペトロール(揮発性油)を使わずに制作しているプロの方もいらっしゃいます。
- ペトロールと油絵具でおつゆがきする
- ペトロールにペインティングオイル(または乾性油)を加えて油絵を描く(分量:ペトロール>ペインティングオイル(または乾性油)
- 乾かす
- ペインティングオイル(または乾性油)にペトロール加えて油絵を描く(分量:ペインティングオイル(または乾性油)>ペトロール
- 乾かす
- ペインティングオイル(または乾性油)で油絵を描く
- 乾かす
- タブロースペシャルやタブローなどの仕上材を塗る
以上、ペトロール(揮発性油)を使用した制作手順をご紹介しました。
水彩画は水、油絵はペトロール(揮発性油)で薄める

水彩画やアクリル画は水で薄めて絵を描きます。
しかし、油絵はペトロールやテレピン(ターペンタイン)などの揮発性油で油絵具を薄めます。
油絵具の粘度を活かしたい場合は、ペトロールを少なめに使い、薄く塗りたい場合はペトロールを多めにして絵を描きます。
お好みに合わせて調節しましょう。
ペトロールを筆や支持体につけすぎてしまったら、ティッシュやボロ布などで吸わせたり、拭うと良いです。
ペトロールは、揮発してしまうので、その日使う分だけ出しましょう。その日といっても朝から出しておき、空気に触れると夜にはカラカラに乾いているかもしれませんので、出す量には気をつけましょう。
ペトロールは、筆洗油の代用になる

ペトロールは、筆洗油の代用にもなります。
私が持っている筆洗器に入っているのはホルベインの「オドレスペトロール」です。
ペトロールを筆洗器に入れておくと、筆洗油の代用として制作途中や制作後の筆洗いに使うことができます。
揮発性油は空気に触れると揮発しますが、筆洗器はゴムパッキンのおかげで密閉できるので揮発しません。
たとえ揮発していたとしても緩やかに揮発していると思います。
一方、筆洗油は、描画に使う揮発性油や乾性油とは成分が違います。
ですので、制作途中にはなるべく使わないようにしたほうが良いでしょう。
ペトロールは臭う… が、しかし。

ペトロールや揮発性油は独特の臭いがします。
しかし、ペトロールに関しては対策があります。
これで、臭いを気にせずに油絵が制作できるでしょう。
まとめ
- ペトロールは揮発性油のことで、ペトロールの他にテレピン(ターペンタイン)がある
- ペトロールの役割は油絵具の粘性(ねばりけ)を調節したり乾性油を薄めたりする画溶液
- ペトロールは、固着力がないので、油絵制作の前半でほぼ役目を終わらせる
今回は、油絵のペトロールの使い方をご紹介していきました。
油絵の画溶液はさまざまなものがあります。
ペインティングオイルだけでも描くことができますが、ペトロール(揮発性油)や乾性油を一本ずつ持っていれば表現の幅が広がるかもしれませんね。