- 油絵のストリッパーの使い方が知りたい
- どうやって使うのかな?
- 剥がしたあとはどうやって処理するのかな?
こういった疑問に答えます。
油絵のストリッパーの使い方を解説
ストリーパーは乾燥して固まってしまった油絵具を溶かして、取り除くための剥離剤です。
それでは、下記よりストリッパーの具体的な使い方を見ていきましょう。
ストリッパーの3つの使い方
ストリッパーの3つの使い方を紹介します。この3つの使い方ができればストリッパーは使いこなせます。以下がストリッパーの使い方です。
上記のとおりです。
ストリッパーは、道具について固まってしまった油絵具を取り除く時、キャンバスについて固まってしまった油絵具を取り除きたい時、容器についた仕上材を掃除する時などに使用します。
下記より順番に解説します。
道具に固まった絵具を取る(筆やペインティングナイフ)
道具に固まった絵具を取る方法の「筆やペインティングナイフ編」です。主に筆やペインティングナイフについて時間が経って固まってしまった油絵具を落とす方法です。
やり方は以下です。
- 部屋を換気する
- ゴム手袋をはめる
- ストリーパーを容器に入れる
- ストリッパーを塗る
- 放置する
- 筆やペインティングナイフを拭き取る
- 筆やペインティングナイフを筆洗油で洗う
- 筆洗油を布などで拭く
- 筆やペインティングナイフを洗う
以上です。
部屋を換気する
まずは始めに部屋を換気します。ストリッパーには揮発性のある有害物質が含まれていて、場合によっては体調が悪くなる場合があります。そのため、ストリッパーを使うときには人気のない場所で換気の良い環境を選んで作業すると良いです。
換気する以外におすすめなのが、晴れた日にベランダやバルコニーで作業する方法です。外なので換気する必要がなく、気分も悪くなりにくいです。心配な人はマスクをして作業しましょう。
ゴム手袋をはめる
ストリッパーを扱うときは、ゴム手袋をはめます。ゴム手袋をはめる理由は、素手で触ると肌に良くないからです。肌がビリビリするぐらい刺激があり、肌には良くないことがすぐにわかります。なので、ゴム手袋は必須かと思います。
ストリーパーを容器に入れる
ストリーパーをガラス容器や絵皿に適量入れます。容器に関しては使いやすければ何でも良いかと思います。
ストリッパーを塗る
筆やペインティングナイフについた油絵具をストリッパーで覆い隠すようにして塗ります。ストリッパーを塗る道具は油絵で使っている筆でも刷毛でも何でも良いです。提案として、普段使っている筆でストリッパーを使うとその筆の油絵具も剥離してくれるので良いかと思います。
放置する
ストリッパーを塗ったら、10分ぐらい放置します。ストリッパーは強力なので、短時間で剥離効果があります。
筆やペインティングナイフを拭き取る
筆やペインティングナイフを拭き取ります。古紙やボロ布などに拭うと経済的ですね。
筆やペインティングナイフを筆洗油で洗う
筆やペインティングナイフを筆洗油で洗います。よくかき混ぜて余分な汚れを落としましょう。筆洗油は油絵を描いていて、色を替える時に使いますが今回の筆洗油とは別にして使いましょう。ストリッパーと油絵具の塊が混ざった筆洗油を普段の制作で使うと油絵に影響が出る恐れがあるからです。
筆洗油を布などで拭く
筆についた筆洗油を布などで拭い取ります。布の他、新聞紙やキッチンペーパー、ティッシュなどでも良いです。
筆やペインティングナイフを洗う
ブラシクリーナーや石鹸で、筆やペインティングナイフを洗います。洗ったら水分を拭き取り、筆の穂先やナイフの刃先部分を上にして、筆立てで自然乾燥させます。
道具に固まった絵具を取る:木製パレット
続いて、木製パレットについて固まった油絵具を綺麗に落とす方法です。
- 換気する
- ゴム手袋をはめる
- ストリーパーを容器に入れる
- ストリッパーを塗る
- 放置する
- 油絵具をナイフで取り除く
- 油絵具をオイルで拭き取る
- ペインティングオイルを塗る
以上です。
「放置する」までは、筆やペインティングナイフの絵具を落とすやり方と一緒です。なので、その後の「油絵具をナイフで取り除く」やり方から説明をしていきます。
油絵具をナイフで取り除く
柔らかくなったパレット上の油絵具をペインティングナイフのエッジを使ってかき取ります。なるべく綺麗に取り除きましょう。
油絵具をオイルで拭き取る
布やティッシュにテレピン(揮発性油)を含ませ、ストリッパーを塗ったところにつけて拭き取ります。まだ絵具が取り切れていない場合はストリッパーがつかなかった部分ですので、もう一度ストリッパーをつけて除去します。
ペインティングオイルを塗る
油絵具が剥がれた箇所にペインティングオイルを塗って、パレットの表面を保護します。
キャンバスについて固まった油絵を取る
- 換気する
- ゴム手袋をはめる
- ストリーパーを容器に入れる
- ストリッパーを塗る
- 放置する
- ナイフで取り除く
- オイルで拭き取る
以上です。
こちらは、「ストリッパーを塗る」ところまで一緒なので「放置する」ところからの説明です。
放置する
ストリッパーを塗ったら、数分から10分ぐらい放置します。放置する時間は厚塗りか薄塗りかによって時間が変わります。
ナイフで取り除く
ストリッパーで柔らかくなった油絵具をペインティングナイフでかき取ります。ペインティングナイフのエッジを使って油絵具を削り取るような感覚でかき取ります。
オイルで拭き取る
布やティッシュにテレピン(揮発性油)を含ませ、ストリッパーを塗ったところを綺麗に拭き取ります。
以上、キャンバスについて固まった油絵を取る場合の手順でした。
ストリッパーをつけた中心の部分は下地材が取れ、周りの部分は油絵具が残っている可能性も考えられます。
油絵具が残っている部分に下地材を塗ったとしても、下地材が剥がれる恐れがあります。
なので、修正した箇所はどんなことが起こるか未知の世界です。
一番安心な方法はストリッパーで剥がさずに、加筆する方法を考えたほうが良いかと思われます。
技術的なことはメーカーに聞くか、油絵修復専門の会社に問い合わせることをしてみましょう。
仕上材を掃除する(刷毛や容器)
仕上材の掃除は、タブローやタブロースペシャルを塗ったあと、刷毛や容器についたそれらを綺麗にするために掃除します。容器についたタブローやタブロースペシャルを取り除くためには水や石鹸では落とせません。そのため、別途ストリッパーを用意する必要があります。
仕上材を掃除する方法は以下です。
- 換気する
- ゴム手袋をはめる
- ストリッパーを注ぐ
- ストリッパーをかき混ぜる
- ストリッパーを拭い取る
- 容器を石鹸で洗う
以上です。
なお、換気してゴム手袋をはめるところまでは一緒なので、「ストリッパーを注ぐ」ところからの解説から説明します。
ストリッパーを注ぐ
仕上材を使った容器に、ストリッパーを適量注ぎます。
ストリッパーをかき混ぜる
ストリッパーを入れた容器の中を、仕上材を塗った刷毛を使ってかき混ぜます。刷毛をぐるぐると回すように動かし、容器についた仕上材と刷毛の仕上材を全て洗いながすようにして混ぜます。
仕上材は粘度がありますが、ストリッパーはサラサラしています。なので、かき混ぜすぎてこぼさないようにゆっくり混ぜるか、予め周りを養生してこぼしても大丈夫の状態にしましょう。
ストリッパーを拭い取る
刷毛や容器についた廃液をティッシュやボロ布で拭い取ります。容器の水分がなくなるまで綺麗に拭い取りましょう。
容器を石鹸で洗う
ストリッパーで容器の仕上材が落ちたら、今度は石鹸を使って残った刷毛と容器の汚れを落とします。汚れをしっかりと取りたいので、固形石鹸がおすすめです。
逆に泡のハンドソープは濃度が薄いと感じるのでおすすめしていません。固形石鹸で容器の汚れをしっかり落とすことで、容器を清潔に保つことができます。
ストリッパーの廃液処理方法
ストリッパーの廃液処理は、説明を見ての自己流です。なのでわからないことは、メーカーに直接問い合わせてみてください。
下記にストリッパーの廃液処理の手順を挙げました。
以上です。
ビニール袋に水を含ませたティッシュなどを入れる
廃液を入れるビニール袋に、予め水を含ませたティッシュなどを入れます。ティッシュがもったいない場合は古新聞やチラシなどをちぎって使用しても良いです。油絵具がついた紙や布は発火の恐れがあります。なので、袋の中には水分を入れることが必要です。
廃液を入れる
ビニール袋に廃液を入れます。袋に穴が空いていないことを確認したり、こぼしても問題ないところで袋に入れましょう。もしもビニール袋から廃液がこぼれる恐れがある場合は袋を二重にして対応します。
空気を抜いて縛る
廃液が袋から漏れないように気をつけながら、空気を抜いて袋を縛ります。空気を抜く理由は、ゴミの体積を減らすことと、衝撃が加わり破裂するのを防ぐためです。また、タブローなどの仕上材は臭いがきついものもあるのでしっかりと縛ります。
ちなみに僕は、スーパーにあるようなクシャクシャの半透明のビニール袋だと臭いが漏れてしまう可能性があるので、防臭力があるビニール袋に入れています。値段は高いかもしれませんが、防臭効果が抜群なので臭いが気になる方は検討してみてください。
ゴミに出す
廃液を入れた袋を捨てます。僕は仕上材(タブロースペシャル)を使ったあと一時的にに外に置いています。ベランダの日陰の場所に半日ぐらい置いて、臭いが落ち着いたらゴミ箱に捨てます。
以上、ストリッパーの廃液処理方法でした。
ストリッパー以外の剥離剤
ストリッパーは、人体に有害な成分が含まれています。なので、人体への影響が少ない剥離剤が良いという方には、ストリッパー以外の剥離剤がおすすめです。ストリッパー以外の剥離剤は2つありますが、どちらも非塩素系で生分解性があります。ストリッパーよりは放置時間が長いですが、低刺激で安全に剥離したい方は下記の剥離剤を使用してみましょう。
おおよその目安ですが、固まった油絵具の放置時間は15~30分、固まった筆の放置時間は、まる一日ほどで剥離できます。
すぐ剥がしたいストリッパーか、剥がれるまで時間がかかるけれど人体に優しい剥離剤か、生活環境に合わせて選びましょう。
まとめ:油絵のストリッパーの使い方を解説【使い方・廃液処理・他の剥離剤】
ストリッパーの使い方について解説してきました。
- ストリッパーは強力なので、換気して皮膚を守ってから作業しましょう
- 油絵具をしっかりと除去して道具や支持体を綺麗にしましょう
- 低刺激の剥離剤もあるので、使いやすいものを使用しましょう
ストリッパーは、主に固まってしまった油絵具を取り除くため、容器についた仕上材を取り除くために使います。仕上材を使うときには仕方ないとして、筆やパレットは毎日お手入れしていれば油絵具が固まることはまずありません。
なるべくストリッパーの出番がないように道具を清潔に保って油絵を描いていきましょう。
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