絵に必要な道具の揃え方に関する解説です。
★もくじ★
あなたの絵の道具は「なに画」を描くのかで決まる
あなたはなに画を描きたいですか?
油絵、水彩画、または鉛筆画。
現在描いている画風か、今後挑戦したい画風か。
いずれにしてもなるべく早く決めて、極める作業に集中したいものです。
興味があるものは悔いのないように取り組んでみましょう。
楽しくやることが一番です。
周りが気にならなくなり、「気づいたらこんな時間になっていた」感覚が大切です。
それではこれから、主体となる「描く道具」を見ていきましょう。
みんな必要な絵の道具、「鉛筆」
鉛筆は、絵を描かない人でも知っている道具だと思います。
クロッキー(短時間での写生)、デッサン(下絵、あたりを取るとき、素描)、製図などに使われます。
もちろん普段のメモや勉強の時にも使います。
身近に手軽に手に入る鉛筆は、硬さで数字が決まっていて、それらを使い分けることによって陰影や質感を表現できてリアルな絵も書けます。
また、滑るようになめらかな筆触りで筆圧の加減によって濃い薄いの調節が簡単です。
個人的には一番ダイレクトに自分の思いが伝わる道具ではないかと思います。
紙と鉛筆があればすぐ絵を描く作業を始められますね。
鉛筆画家の方もいます。
鉛筆の種類
「H」が「Hard」の頭文字で文字通り芯が硬く、Hから10Hに向かって硬さが増していき、それに伴い色の濃さは見た目が薄い印象になります。
「B」は「black」。進路が柔らかく描けばHよりも見た目は濃い印象です。
Bから10Bに向かって芯が柔らかくなり、極端なたとえですが「もろくなる」感覚です。
「HB」は「H」と「B」の中間の硬さ、色です。
その他「F」「EE」「EB」という芯もあるみたいです。
鉛筆は100円ショップやホームセンターでも手軽に手に入りますね。1本あれば十分です。
下記のようなシャープペンシルもあります。↓↓
ノック式なので、鉛筆を削る時間が節約できますね。
例えば油絵の下書きは、板やキャンバスに描くので芯が細く、柔らかい場合は折れてしまう可能性があるので私は気持ち太めのシャープペンシルを使用しています。
鉛筆画のときに使う紙は描きやすければ何でもよいと思います。
ノートのようなすべすべした柔らかい紙もあれば、ケント紙のようなすべすべして少し厚めの紙もあります。また凹凸のある紙もあります。
凹凸のある紙はかすれる感じになり、描いたあと指でこすってぼかす表現もできます。
色鉛筆画をはじめたい人は「色鉛筆」が必要な絵の道具
これも知られている道具ですね。色鉛筆を使って絵を描くと鉛筆では表現できない色が出せます。
あたたかみのある表現ができるのが特徴です。
パステル画をはじめる場合は「パステル」が必要な絵の道具
パステルは、粉末の顔料を粘着剤で固めた画材です。クレヨンとは違い、オイルやワックスの成分を含みません。
粘着剤の量のちがいで「ソフトパステル」、「ハードパステル」があり、顔料と油分とワックスで作られた「オイルパステル」などがあります。
「オイルパステル」はクレヨンのような描き心地があります。
パステルは私のなかではチョークで描くような感覚です。
使い方は紙に描いたあと指でぼかしたり、練り消しで色をこすって薄くしたり紙の色を出したりします。
水をつけて水彩画風にすることもできるパステルもあります。
使い方によってはリアルな絵を描くこともできます。
パステルで使う紙はノートのようなつるつるした紙よりも少し凹凸がある紙の方が色は載りやすいのではないかと思います。
水彩画の絵の道具は「水彩絵具」が必要
水彩画は学校で使用されていることもありよく知られている画材です。
多くの画家が使用している絵具の一つでもあります。
水をつけずに絵の具を画面にそのまま使用したり、水を使用してぼかしたりにじませたりすることができます。
水彩絵具は主に顔料とアラビアゴムなどを練り合わせて作られた水溶性の絵具です。
アラビアゴムは紙やキャンバスなどの支持体に定着させる役割を持っています。
しかし、アラビアゴムは水に溶ける性質を持っているので絵具が乾いた後でも濡らせば再び溶けます。
水彩絵具は透明水彩絵具と不透明水彩絵具(ガッシュ)があり、被覆性の違いによって使い分けます。
水彩絵具は水の乾燥によって紙に定着します。
アクリル画の絵の道具は「アクリル絵具」
アクリル絵具は、顔料にアクリル樹脂エマルションで練り上げた絵具です。
アクリル絵の具は水彩画と違って色を塗ったあと絵の具が乾くと耐水になります。
水彩絵具のように、前に塗った色の上を濡らしても水に溶けません。
色褪せが少なく様々なものの上に描くことができる利点があります。
紙やキャンバス、木製パネルはもちろんコンクリートやガラス、金属など色々な支持体に描くことができます。
アクリル絵具を使用している時の特徴は、「すぐ乾く」です。 絵を描いていて、「描いたそばからすぐ乾いてほしい」という方にはぴったりです。
一方、もう少し乾くのを遅らせたい場合は水を足したり、乾燥を遅らせるメディウムを使用します。
このすぐ乾く特徴でプラスに捉えるのか、焦って制作に集中できないと捉えるかです。
アクリル絵具は水を加えずに絵の具を使って油絵のようなこってりした仕上がりにし
たり、水を多く使って水彩画のような仕上がりにすることも可能です。
油絵具と違い絵具がすぐ乾くので、一日で何層にも重ねて塗ることができます。
油絵に必要な絵の道具「油絵具」
油絵具は顔料と乾性油などから作られる絵具です。
乾性油が酸化して硬化し、キャンバスなどの支持体に定着します。
油絵具は水彩絵具やアクリル絵具よりこってりした硬さの絵具です。油絵具を薄めて使いたい場合は水の代わりに油を使用します。
「油で絵具を溶くのはちょっと。」という人には、水に溶ける油絵具も販売されています。
油絵具は油の艶や透明感、緩やかに乾くという特徴があります。
何日か経たないと、塗った油絵具の表面は触れません。
乾かないうちに触ると、手にべっとりと絵具が付いてしまいます。
アクリル絵具とは対照的に「ゆっくり乾く」というのが油絵具の特徴です。
筆跡をわざと残す描き方や、複数の色を使い色をぼかしたりが比較的容易にできます。
それぞれの絵具の特徴について
絵具に関しては絵具を塗った後の耐久性絵具の毒性など、長く続けたい方にとっは一度確認しておいたほうが良いことが色々あります。
条件が違えば保存に有利になったり不利になったりする場合があります。
一概にどの絵具が絶対ということはありませんので、あなたがまず「どの絵具を使ってどんな絵を描きたいのか」、「どの絵具を使ってどんな絵を描いている時が一番あなたらしくいられるか」というあなたの心の満足に重点を置いてほしいです。
このことに真剣に向き合ってほしいです。
絵の道具で、はずせない「筆」はあるのか?
「絵具を使った絵を描く」という選択をすれば必然的に筆を使うことになります。
筆は実に様々な種類があり、画材屋さんに行くと何を買っていいのかわからないかもしれません。
筆の大きさ
「号」(ごう)で表記され、太くなるにつれて号数は上がり、細くなるにつれて号数は下がります。
筆の形状
丸筆、平筆(刷毛)が基本的な形状で、丸筆は絵具の含みがよく、ある程度筆の中に絵具が溜まって留まるので筆運びがしやすいです。細い線、細密な絵を描きたいときに向いています。
平筆は筆を寝かせ気味にして空や海などの広い面を均一に塗ったり、筆を立てて平筆のエッジ(ふち)を利用して鋭い線を引くことができます。
平筆のエッジは、丸筆で引いた線より「思い切った線」という印象が出ます。
筆を買ったら
筆を買ったら、筆先が糊などで固まっているので水につけて糊を取り除いてから使用しましょう。
筆を使ったら
水またはぬるま湯で石鹸をつけ一本一本洗い、筆の根本に残った絵具と水を取り除き、筆の穂先を上に向け自然に乾かしましょう。
筆の特徴
筆は「豚」、「狸」、「馬」、「セーブル」、「リス」、「羊」などの獣毛、「コリンスキー」と呼ばれるテンの毛、「ナイロン」の合成繊維などがあります。
「豚」は硬毛(長く太い毛)、弾力があります。復元に優れていて、粘りのある絵具を多く含ませることができます。
「狸」は軟毛(一本一本が細く柔らかい)で、しなやかです。絵具の含みと、水切れがよいのが特徴です。
「馬」はほぼ軟毛で、穂先のまとまりと絵具の含みが良いです。
「セーブル」はしなやかで弾力があります。
絵具の含みが良いです。
「リス」は軟毛で細く、しなやかです。セーブルより絵具の含みが良いです。
「ナイロン」は、モノによってしなやかでソフトな描き味だったり、豚毛調でコシが強いものだったりします。他の毛とミックスされた筆もあります。
筆は結局何を使う???
結論としては「あなたの描きたい絵にあった筆を選ぶ」ことをおすすめします。
例えば、あなたが筆跡を残さず繊細でリアルな絵を描きたいとすれば、ナイロンの丸筆や柔らかめの筆で絵具に少し水を含ませて優しく描くと良いと思いますし、
筆跡を残して絵に迫力を出したいのであれば、豚毛のような硬めの筆を選んで絵具にはほとんど水を加えずに思い切って描くのが良いでしょう。
作風に合った筆を選ぶことは、目標を絞ってそれに向かって取り組んでいけるので具体性が出てきます。
何が描きたいかもわからずにただ筆を買ってしまってもあまり意味がないです。
まずは何を描きたいのか?
こんな描き方かな?
じゃあ、筆の運びはこんな感じかな?
と実際に予想したり、絵の描き方の本を見て描いてみるとある程度わかってくると思います。
また、インターネットでも本でもあなたが好きな人の絵を模写すると何もしないときよりはわかってきます。
筆の描き味は、画材屋さんに行き上記のような説明を見て「その言葉通りの描き味か?」という確認が必要です。
結局は描いてみないことにはどんな描き味かはわかりません。
また、同じ豚毛でも太さや形状によって描き味は変わってきます。
「どんな絵が描きたいのか」、「それにはどんな筆が必要だと思うのか」を考えてご購入されることをおすすめします。
揃える本数は筆は豚毛なら一本買うのではなく細い筆と太い筆最低2本は買ってみて、その違いを実感したほうが良いと思います。
初めはあまり高くない筆を買ってみて試したほうが、あとで「やっぱりなんか違う」となったときのダメージは少ないかと思います。
以下、筆のご提案です。
絵の細かいところは穂先を使って筆を入れていきます。
丸筆では線がふらついてしまいますが、平筆だとシャープで鋭い直線が引けます。
このまとまった穂先のおかげかと思います。
す。