この記事では次のことをお伝えします。
阿波踊りの意味合いが知りたい
阿波踊りはなぜ踊り続けられているのか、
独特な掛け声にはどんな意味合いが込められているのか、
阿波踊りの用語と本来の意味は?
など、阿波踊りに関する意味合いがわかると阿波踊りが何倍も楽しくなります。
- 阿波踊りが長く踊られてきたのは、地元の人の阿波踊り愛とウェルカム精神と普及活動のたまもの
- 掛け声の意味を知ると声の出し方にも魂がこもる
- 用語を知ると、阿波踊りを何倍も楽しむことができる
もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。
★もくじ★
意味合いの意味
意味合いとは、
他の物事や表現とのかかわりにおいて帯びる意味
引用元:Weblio
という意味です。
例えば、阿波踊りには「ヤットサー、ア、ヤットヤット」という掛け声があります。
一説によれば、「おつかれさま」という意味があります。「ヤットサー、ア、ヤットヤット」の意味が「おつかれさま」とわかっていれば、相手に感情を込めて伝えることができますよね。
「おつかれさま」という意味合いがあるから、そのような気持ちを込めることで「ヤットサー、ア、ヤットヤット」にも魂がこもります。
阿波踊りの意味合いとは
阿波踊りは、長い間踊られてきて広く普及したイベントです。
なにより徳島県の人たちが阿波踊りを愛し、より多くの人に阿波踊りの良さを知ってもらいたい気持ちが強かったからだと思います。
一説によれば、徳島城の完成祝いで蜂須賀家政が、城下の人々に「好きに踊って良い」ということから生まれた踊り。
その後徳島市に根付き、戦後の復興にも一役買いました。
また、徳島県や徳島県人会の努力により、全国で世界で開催されるほどの踊りに成長しました。
楽器、掛け声、踊りでリズミカルに前向きに練り歩く姿は、誰でもおぼえることができて親しみがある踊りなのではないでしょうか。
また、誰でもウェルカムな連である「にわか連」を作ったのも大きかったと思います。普通祭りごとは地元の人たちが活動の中心で、部外者は観覧というのが当たり前です。
しかし、にわか連は当日誰でも無料で参加できて、そのうえ有名連のレクチャーも受けられます。こんなおもてなしは他に見たことがありません。
「見る阿呆(一般人)」も一緒に盛り上がれるからこそ、多くの地域の人々に広まり踊り続けられるのだとも思います。
見る阿呆も踊らにゃ損ですね(笑)
阿波踊りの掛け声の意味合い
阿波踊りの掛け声にはさまざまな意味合いがあります。
エライヤッチャ、エライヤッチャ、ヨイヨイヨイヨイ
関西弁「えらいこっちゃ」説
「エライヤッチャ」は「えらいこっちゃ」で、「大変だ」という意味があります。
モチベーションを上げたり、活気をつける掛け声です。
関西弁「どえらいやっちゃ」説
「エライヤッチャ」は「どえらいやっちゃなぁ」で、「すごい人」という意味があります。
「あなた頑張ってるね」と、相手を受け入れて激励する意味で掛け声を使います。
「ええじゃないか」説
「エライヤッチャ」は「エラヤッチャ」で、世直しのスローガンとして歌われていた説があります。1867年に発生した「ええじゃないか」のはやし言葉が阿波踊りで「エラヤッチャ」に変わったようです。
ちなみに「ええじゃないか」は、世直しを申し立てる民衆運動のことで、その目的は不明のようです。
いずれにしても「エライヤッチャ…」は、歌が始まる前に発せられる掛け声で、歌が歌いやすくなる効果があります。
また、その場を盛り上げる掛け声として使われているようです。
ヤットサー、ア、ヤットヤット
「ヤットサー、ア、ヤットヤット」は、よく聞かれる掛け声です。この語源には3つの説があります。
阿波弁説
「ヤット」は阿波弁で「久しぶり」を表すようです。
「ヤット」は、「ヤットブリ」などと使うようですね。
中京の方言説
「ヤット」は名古屋が中心の愛知や岐阜、三重の方言「やっとかめ」で、やっとかめとは「久しぶり」という意味です。「調子はどう?」というニュアンスですかね。
これは、漢字にするとわかりやすく「八(や)十(とう)日(か)目(め)」でおぼえることができます。
鹿児島弁説
また、「ア、ヤット」は鹿児島弁の「おやっとさあ」で、「おつかれさま」という意味です。
歌の前後で仕切り直ししたり、お互いに掛け声をかけ合って気合いをいれます。また、連の配置換えの合図にも使われます。リズムにのってテンションが上がる掛け声ですよね。
「ヤットサー」を一人が言った後に、「ア、ヤットヤット」を言うパターンが多いかと思います。
4:10~「ヤットサー、ア、ヤットヤット」
踊る阿呆(あほう)に見る阿呆(あほう)、同じ阿呆(あほ)なら踊らにゃ損々(そんそん)
「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」は、京都の豊年踊りからではないか、との説があります。
天保10年(1839年)の京都の豊年踊りで「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊るがとくじゃ」と言われたとの記載があったようです。その言葉が徳島まで広まったのではと言われています。
「同じ阿呆なら踊らないと損、踊ったほうが得だよ」という意味です。どうせ阿呆なら踊ったほうが楽しいですからね。
また、「どちらも似たようなもの」だという意味もあります。
新町橋まで行かんかこいこい
天保期(1830~1844年)に起きた飢饉や天災で、ダメージを受けた徳島藩。民衆にも不満が募ります。そんなときに、反乱を防ごうとした徳島藩が阿波踊りを城下町にとどめようと規制を実施しました。町人が違法に踊ることのないように取り締まりました。徳島藩は、城下を支配することを計画していたのです。
そんなとき、民衆は「新町橋まで行かんかこいこい」と声を上げながら橋に向かっていきます。これは、幕府に対する抗議を表していました。
この歴史を知っていると、新町橋での阿波踊りが感慨深いものになるのではないでしょうか。
笹山通れば笹ばかり 石山通れば石ばかり 猪豆喰うて ホーイホイホイ
本来歌われていたのは「大谷通れば石ばかり、笹山通れば笹ばかり」という歌詞でした。
穀物が豊かに実るように願って行われる「猪(いのしし)追い」の歌が関係しているようです。ちなみに、猪は作物を食い荒らしたり、水路をくずしたりするみたいですね。
徳島市の眉山(びざん)北麓(さんろく=山の北側のすそ)の佐古大谷地区は、質の良い「青石(あおいし)」が採れ、笹が生い茂る土地だったそうですよ。
青石とは、青みがかった凝灰岩のことです。この青石は徳島城の石垣にも使用されたそうです。
また、歌詞に出てくる「大谷」と「笹山」は、「佐古大谷地区」のことで、「石」は幕制時代から大正まで採掘された大谷石(青石)だったようです。
眉山の北麓は、ちょうど現在の徳島市の南佐古二番町と南佐古三番町にあたるようです。
「踊りは(連名)、(連名)は踊りだ」
()内には、自分たちの連名が入ります。「阿波踊りは自分たちの連が一番」という意味です。
つまり、自分たちの気分を盛り上げて励ます言葉ではないかと思います。
6:00~「踊りはのんきだ(連名)、のんきは(連名)は踊りだ」
その他の掛け声
意味は不明でしたが、「阿波踊りは楽しいよ」「私は浮かれているよ」という前向きで明るい表現可と思います。
ひょうたんばかりが浮き物か、私の心も浮いてきた。浮いて踊るは阿波踊り
1:40~「ひょうたんばかりが浮き物か、私の心も浮いてきた。浮いて踊るは阿波踊り」
一かけ二かけ三かけて、四(し)かけた踊りは止(や)められぬ、五かけ六かけ七かけて、八(や)っぱりおどりは止(や)められぬ、ア、ヤットサー、ア、ヤットヤット
4:20~「一かけ二かけ三かけて、四(し)かけた踊りは止(や)められぬ、五かけ六かけ七かけて、八(や)っぱりおどりは止(や)められぬ、ア、ヤットサー、ア、ヤットヤット」
0:55~「一かけ二かけ三かけて、四(し)かけた踊りは止められぬ、五かけ六かけ七かけて、八(や)っぱりおどりは止められぬ、ア、ヤットサー、ア、ヤットヤット」
阿波踊りの用語の意味合い
阿波踊りの用語にも意味合いがあります。阿波踊りの用語の意味合いがわかるとより一層阿波踊りが楽しくなるはずです。
また、もともとの役割や本来の意味を知るとより理解がしやすくなります。
そして、阿波踊りについて何も知らない人に説明することができますよね。
団扇(うちわ)
うちわは本来であれば、手であおいで風を作る道具です。阿波踊りでは踊りを強調させるための道具として使われます。
使い方や踊りのスタイルにもよりますが、激しい踊りの場合はシャープに、手首を返しながらゆっくりと使えばしなやかな動きが強調されます。
印籠(いんろう)
印籠自体はもともと薬を入れて腰に下げるものでした。
阿波踊りでは「阿波おどり」や自分たちの「連名」の文字が入った印籠を帯から紐で吊り下げて使います。衣装のアクセントとしての役割、小銭や口紅などの小物入れとしても使用されるものです。
演舞場
もともとは、阿波踊りの審査を下すための「評判所」と言われる場所でした。
しかし、現在は観客の観覧席として開放されています。ちなみに演舞場以外でも観覧することは可能です。
高張り提灯(たかはりりょうちん)
連名が入った提灯のことを言います。また、提灯を持つ人のことも言います。
連の顔というべき存在で、ただ持っていれば良いわけではなく風にあおられても支えられる力の持ち主であることと、状況をみて歩くペースをコントロールする調整役です。
なので、力と頭を使う重要な役割です。
有名連
伝統的で阿波踊りの技術、評価ともに高い連です。
有名連の名前を知ることで、技術の高い本場の阿波踊りを見ることができますね。
にわか連
当日自分も阿波踊りに参加したくなった場合は、連に所属していなくてもにわか連に当日駆け込みで参加することができます。
にわか連とは、阿波踊りを全く踊ったことがない人を受け入れてくれる連です。有名連の説明を受けて練習し、演舞場で阿波踊りを踊ることができます。
参加費は無料、服装自由。
にわか連の法被(はっぴ)を着たい場合は実質500円(クリーニング代)ほどで借りることができます。(貸出時預り金あり、返却時クリーニング代以外返金)
まとめ
- 阿波踊りが長く踊られてきたのは、地元の人の阿波踊り愛とウェルカム精神と普及活動のたまもの
- 掛け声の意味を知ると声の出し方にも魂がこもる
- 用語を知ると、阿波踊りを何倍も楽しむことができる
阿波踊りを見る前に、阿波踊りの知識を入れておくことで当時の風景をイメージしながら見ることができますし、「だからこんな掛け声があるんだ」ということがわかります。
いずれにしても「踊らにゃ損々」
年に1度なら、我を忘れて阿呆になり踊る日があっても良いですよね。
- UPON 阿波おどり観覧日帰りツアー https://www.upon.co.jp/tour/awaodori/niwakaren.html 参照:2022年6月5日
- 阿波学会研究紀要 https://library.bunmori.tokushima.jp/digital/webkiyou/05/0504.htm 参照:2022年6月5日
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