この記事では次のことをお伝えします。
展覧会におけるポートフォリオの作り方を未経験者でも知りたい
本来は就職や転職活動で使用するポートフォリオですが、展覧会でもポートフォリオを用意します。ポートフォリオは、アーティストやクリエイターがお客さまや展覧会の担当者に実績をアピールするために作成します。
今回は、展覧会におけるポートフォリオの作り方を未経験の方に向けてお伝えします。
どんな情報が必要なのかを含めてポートフォリオの作り方をご紹介します。
- ポートフォリオは自分の作品と実績をアピールするツール
- 作成にはデザインツールを使って、デジタルと紙の両方で活用
- ポートフォリオは、次の仕事に繫がる資料
もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。
★もくじ★
ポートフォリオとは何か?
展覧会でのポートフォリオは、自分がこれまでに作った作品や実績をまとめた資料のことです。デザイナーやアーティスト、建築家、投資家などが使用することが多く、就職活動や仕事の応募にも使われています。
展覧会におけるポートフォリオの役割
ポートフォリオは、あなたがもっているスキルを伝える手段です。
作品や制作工程を説明することで、作品だけでは伝わらない魅力を知ってもらうことができます。たとえ、未経験で初めての展覧会でもポートフォリオを見たお客さまがあなたの可能性を見出してくれるかもしれません。
ですので、未経験でも独学でコツコツと1人で活動してきた研究結果や作品をポートフォリオに掲載しましょう。
展覧会のポートフォリオに載せる内容
展覧会のポートフォリオに載せる主な内容は以下です。
- 目次
- タイトル
- 略歴
- 作家活動歴
- メディア掲載
- 制作工程紹介
- 作品集
- 作品価格表
目次
まずは、ポートフォリオの先頭に目次を入れましょう。一覧できるので見るか否かの判断や、どれを見るかを判断してもらえます。
タイトル
次に書く項目の前にタイトルを入れます。
略歴がコンテンツなら「略歴」のタイトルがあるとわかりやすいです。
略歴
略歴には以下の項目を入れます。
- 住所
- 氏名
- 生年月日
- 顔画像
- メールアドレス
- HPのURL
また、画歴として「展覧会歴」「公募展出展歴」「受賞歴」を入れると活動していることをアピールできます。
なお、略歴はA4の用紙で複数枚作ります。作品が売れたら、額縁の箱に入れてお渡しします。
作家活動歴(制作以外の絵に関する仕事)
作品の制作以外での、作家の仕事をアピールします。
過去に行ったライブペインティングや、似顔絵の制作、ワークショップなどの活動歴を掲載しましょう。
メディア掲載
メディア掲載のページは、過去にメディアに取り上げられたことを紹介するために掲載します。
もし実物があれば、新聞や雑誌などを置いておくと良いですね。
制作工程紹介
作品の制作工程を載せた制作工程を紹介するページです。
文章と画像付きで、あなたが絵を描くときの工程をお客さまに見てもらいましょう。
自分が説明するときに、便利かと思います。
作品集
作品集は制作年が新しい年からファイリングしていきます。
過去に売れた作品には赤丸シールを貼っておきましょう。
作品集には「タイトル」「サイズ」「制作年」「技法」を明記しておきます。
「眠くない」100×100㎜ 2022 油絵・板
ちなみに、作品集の項目は共シールの内容と一緒です。
なお、作品の撮影は自分で行うか、誰かにお願いするか決めましょう。いずれにしても高画質の画像が良いと思います。
実物が展示してある場合は実物を見てもらったほうが良いですね。
作品価格表
作品価格表は、規格サイズごとに価格を明記した表です。
これは、お客さまのお好みのモチーフで描いて欲しいというご要望に答えるもので、お客さまのご予算をお聞きしてからサイズをご提案するときに役に立ちます。
また、同じ構図でサイズを変更する場合など、売約済みの作品オーダーをしたい方に訴求するときにもすぐにご案内できるようになっています。
作品価格表は額縁なしで支持体のみの価格表記にします。
ポートフォリオは何でデザインするのか?
ポートフォリオのデザインツールは、WordやPowerPointなどがあります。
私の場合は、無料で使用できるCanvaで作成しました。
デジタルで作って、紙で出力し、ファイリングという流れで作れば良いです。
デジタルで作っておけばブログなどにも掲載することができるので便利です。
ポートフォリオの作り方
ここからは、展覧会におけるポートフォリオの作り方をご紹介します。
- 作品を撮影する
- 資料をデジタルデータにする
- デザインツールでまとめる
- プリントアウトしてファイリングする
以上です。
以下より順番に見ていきましょう。
作品を撮影する
作品の撮影は、自分か他の人にお願いして撮影します。
自分が撮影する場合は、自然光で撮影するのか、部屋で撮影するのか、撮影機材は何を使うかを決めます。
一方、他の人にお願いする場合は、店舗や「ココナラ」などのスキルマーケットでお願いします。
いずれにしても、作品を肉眼で見たときと同じような見栄えになるように撮影します。
資料をデジタルデータにする
作品以外の資料をデジタルデータにします。新聞や雑誌がスキャンできるサイズの場合、スキャナに取り込みデータ化します。カメラで撮影できる場合は、作品と一緒に撮影してしまいましょう。
デザインツールでまとめる
作品と資料をデジタルデータにしたら、デザインツールでまとめます。
デザインに迷ったらデザインツール「Canva」のテンプレートを利用して足したり引いたりしていけば良いかと思います。
余白やレイアウト、全体の色合いなどを決めていけば良いです。
略歴、作品価格表などは文章を入力して、作成していきます。
また、作家活動歴、作品集、制作工程紹介などは画像をメインにして説明文を添えていきます。
プリントアウトしてファイリングする
ポートフォリオをザインツールで作ったら、それぞれのページをダウンロードしてプリントアウトし、クリアファイルに入れましょう。
目次→①タイトル→①タイトルの資料→②タイトル→②タイトルの資料…
上記のように順番にファイリングしたら紙のポートフォリオの完成です。
ちなみに私のポートフォリオの構成は以下です。
- 目次
- 略歴
- 作品集
- 作家活動紹介
- メディア掲載ページ
- 技法紹介
- オーダーメイドの流れ
- 画材紹介
- 作品価格表
それぞれの項目の前にはタイトルを記載したページがあります。
ポートフォリオを使って目標の設定をする
ポートフォリオを使った目標設定ができるとより良いと思います。
「個展成功のためにオーダーメイド受注を1件取る」
上記のためには、どのようなポートフォリオを作っていけばよいか。
「何のオーダーメイドなのか?」
「作品のサイズはいくつか?」
などなど、掘り下げていくとよりわかりやすいポートフォリオができてくるはずです。
目標を設定すると作業が明確になる
目標を設定すると、作業が明確になってきます。
ポートフォリオは、
「字体はどれが良いか」
「文字と写真の割合はどうするか」
「色合いはどうするか」
などなど、具体的に作成できると思います。
もし、今後仕事の幅を広げたいのであれば、安心して任せてもらえるような実績や活動歴があると良いですね。
ポートフォリオの重要事項
ポートフォリオは、作品の紹介と自分の得意なことをアピールすることが大切です。
自分がどのようなことが得意か相手に伝えることができるからです。
ですので、作品集と自己紹介はしっかりと作っていきましょう。
ポートフォリオの目的とは
展覧会におけるポートフォリオの目的は、
- お客様がご購入に至る
- 次の展示場所が決まる
- オーダーメイド受注を獲得する
などが挙げられます。
なので、自分本位のポートフォリオではなく、上記の結果が得られるようなポートフォリオ作りを心がけましょう。
ポートフォリオで気をつけるポイント
ポートフォリオで気をつけるポイントは以下です。
- 文章は短くまとめる
- 事実を書く
- 誤字脱字がないようにする
上記のことに気をつけて、自分らしく見た人にわかりやすく魅力的なポートフォリオにしましょう。
どの職種にも当てはまるポートフォリオ作成の基本的なポイント
どの職種であっても、ポートフォリオ作成において押さえておくべき基本的なポイントを解説します。
ターゲットに合わせてポートフォリオを構成をする
ポートフォリオは大切なツールの一つですが、作成には時間と労力がかかることもあります。特に仕事をしながらポートフォリオを作るのは大変ですよね。
しかし、ポートフォリオは自己紹介に役立ちます。
ポートフォリオの内容は見る相手によって異なる要素が求められます。
例えば、絵を描くスキルとデザインの両方のスキルを持っている場合、就活をしているとします。求められるのは絵を描くスキルか、またはデザインのスキルかによって、ポートフォリオの内容を調整することで、担当者の反応も変わってくるはずです。
ですので、就活のエントリーシートのように、ポートフォリオのターゲットや求められる要素を考えて、毎回内容を変更していきましょう。もちろん、内容の一部は重複することもありますが、広く応用が利くものと特定の領域に特化したものなど、いくつかのテンプレートを持っておくと便利です。
Web上でポートフォリオを公開する場合は、スペースに制約がないので、普段の作品を積極的にアップロードしましょう。そして、特に自信のある作品を目立たせる配置を考えましょう。
ポートフォリオを魅力的に見せよう
ポートフォリオは、過去作品をまとめただけの「作品集」ではありません。実際には、名刺に匹敵するような役割を果たすものです。
ポートフォリオには単なる作品のまとめではなく、自分自身を特徴づけることや努力した点、作成の目的など、背景情報を含めることが重要です。
作品の品質はもちろん重要ですが、ポートフォリオを閲覧する人にとって魅力的に見えるようにするために、作品を作成する際の熱意や工夫点を考えながら、ポートフォリオ全体のデザインを構築しましょう。
ポートフォリオは使えば効果が出るもの
ポートフォリオを作るのは大変で、一度作ったら満足感や疲労感があり、なかなか改良したくないと思うかもしれません。
しかし、ポートフォリオは作って終わりではなく、使って初めて効果が出るのです。
- 新しい作品を作ったら、ポートフォリオに追加する
- 見せたい作品とちょっと違う場合は削除する
などの工夫が必要です。
また、ポートフォリオがどれだけ優れていても、クリエイティブな仕事は、抽象的なアイデアを具体的な形にすることが多いため、コミュニケーション能力がとても重要になります。
ですので、ポートフォリオだけでなく、人間性、仕事での要求や目標と合致することも大切です。ポートフォリオの中身も、相手にわかりやすく説明できるようにする必要があります。
作って終わらずに、その先も常に改良し続けることが大切です。
そして、ポートフォリオをツールとして使いながら、他の人に自分の魅力を伝える方法を計画的かつ効果的に行動することを考えることも重要です。
ポートフォリオの作成での注意点
ポートフォリオは、作品を使って自分自身を紹介するためにとても重要なツールです。
しかし、作る際には気を付けなければならないポイントもあります。
ポートフォリオ作成での注意点を簡潔にまとめると以下のようになります。
- 著作権に注意する
- 機密情報や個人情報を避ける
- 引用や出典元を明示する
機密情報や個人情報を避ける
機密情報や個人情報を避けましょう。
企業プロジェクトに関わる場合、秘密保持契約(NDA)に留意しましょう。
著作権に注意する
特にWeb公開時は掲載許可を取ることが重要です。
ある企業に所属して作品を作っていた場合、その作品はその企業のものということになります。
ただし、著作権侵害として訴えられる可能性は低いです。理由は、ポートフォリオは主に自己の使用が目的であって、利益を得ることを目的としていないからです。
なので、過去の実績や製作工程について話す程度であれば、ポートフォリオに作品を掲載しても問題ないようです。
引用や出典元を明示する
引用や出典元を明示しましょう。
出典元を掲載することは、情報の正確さと信頼性を示すために大切です。
以上、ポートフォリオ作成時の主な注意点でした。
まとめ
- ポートフォリオは自分の作品と実績をアピールするツール
- 作成にはデザインツールを使って、デジタルと紙の両方で活用
- ポートフォリオは、次の仕事に繫がる資料
今回は、ポートフォリオの作り方を未経験の作家でも作れるようにご紹介しました。受賞歴や売上実績がない作家さんは、アピールポイントがないかもしれませんが、些細なことでも良いので画像なり文章なりにまとめて掲載しましょう。何がきっかけでお仕事につながるかわかりません。
また、一度ポートフォリオを作ったことで良かったことや改善点などが見つかり、精度も上がっていくと思います。
初めは手探りで作成すると思いますが、あなたの特徴と気持ちが伝わるポートフォリオにしていきましょう。
この記事が参考になれば幸いです。