この記事では次のことをお伝えします。
キャプションの作り方が知りたい
絵画キャプションの作り方をご紹介します。
キャプションに必要な情報、キャプションのデザイン方法、キャプションに使用する道具と材料、カット方法をお伝えします。
個展やグループ展をやる方は、ぜひキャプションを作って展覧会を盛り上げましょう。
- キャプションは、個展などで作品の下に設置する説明書き
- キャプションには作品の内容を明記する
- 話のきっかけ作り、販売をアピールするために設置する
もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。
★もくじ★
キャプションとは
キャプションとは、個展などで作品の下に設置されたカード型の説明書きのことを言います。
個展にいらっしゃったお客さまに絵に関する情報をお伝えするためのものです。
もし、あなたが作品を販売したいのであればキャプションを用意したほうが良いです。
キャプションは誰が用意するのか?
基本的には、作家本人が作ります。ただし、会場によってはギャラリーが用意してくれる場合もあるようです。
キャプションには何を書くのか?
キャプションには、何を書けば良いのでしょうか?
キャプションには作品の内容をお伝えします。
- 作家氏名:小濱 健
- タイトル:「TSUBAKI」
- 技法:油絵・板
- 支持体サイズ:364×257㎜
- 制作年:2020
- 販売価格:¥85,100
以上です。
書く項目には、特に決まりはありません。
順番に見ていきましょう。
作家氏名
作家氏名には、本名を記載します。
中には本名以外の作家名を持つ方もいらっしゃいます。
タイトル
タイトルは、作品のタイトルを表記します。
技法
技法には、「何の材料で描いたか?」
それに続いて「何の支持体に描いたか?」を描いています。
- 技法は油絵、アクリル、水彩、鉛筆
- 支持体は、紙、板、キャンバス
などがあります。
支持体サイズ
支持体のサイズは「ミリ」で表記しています。
「センチ」表記でも良いですね。
規格サイズの場合は規格サイズを載せると良いですね。ただし、お客さまがご購入を検討される際、実際の寸法がわからないと困るので、ミリでもセンチでも入れておくと良いと思います。
364×257㎜(B4)
制作年
制作年は、西暦で年数を表記しています。
「20〇〇」でも「20〇〇年」でも良いです。
ちなみに月日まで表記する方もいるようですね。
販売価格
販売価格は「¥」でも「円」でも良いと思います。
桁数が大きくなると金額がいくらかわからなくなるので「,」カンマは入れましょう。
表記は税込み表記にしています。
また、販売せずにただ見てもらいたい場合は個人のコレクションであるという意味で「個人蔵」または、「非売品」などと明記しましょう。
キャプション の効果はなにか?
キャプションの効果はどんなものでしょうか?
販売していることを伝える
「これって安いですよね」
私の個展で、お客さまがおっしゃった一言です。
私としては結構な金額に設定していたのですが、ものづくりをされているそのお客さまは、絵を描く人の苦労がわかるようでした。
また、別のお客さまが
「全然高いと思わないんで」
とおっしゃってくださいました。
その方はご購入を検討されていたようで、私にとってはこの上ない嬉しいお言葉でした。
このようにキャプションを貼っていたからこその効果は上記のとおりです。販売していることを伝えられていますよね。
その他にも以下のような効果があります。
雰囲気作り
また、キャプションを付けていると見てくださる方がいらっしゃいます。
タイトルが面白いと笑ってもらえたりして、その場の雰囲気が明るくなります。
個展では初めてお会いする方がいると思います。
そんな中でギャラリーへの滞在時間はせいぜい5分ほどだと思います。短時間でいかにお客さまに楽しんでいただけるか、そのきっかけ作りの1つがキャプションだと思いますね。
作品と名前の一致
個展巡りをしている方は、何枚も作品の撮影をされる方がいらっしゃると思います。その際、キャプションに作家名がなかったら「誰の作品だったかな?」と、忘れてしまうかもしれません。ですので、キャプションには先ほどの項目を漏れなく入れておきましょう。
なお、キャプションは絵をご購入下さった方に額縁の箱に入れてお渡しします。
アピール
絵が売れた場合、キャプションには赤丸のシールを貼ります。これは、「絵が売れました」という売約済みの印です。売約済みのシールを貼った後にいらっしゃった方に「この絵は売れましたよ」というお知らせにもなりますし、アピールにもなるかと思います。
他のお客さまが赤丸シールを見る
↓
ここで初めて作品の購入を考えはじめる
上記の流れが起こる可能性があります。
ですので、絵が売れたら必ずキャプションに赤丸シールを貼りましょう。
キャプションのサイズは決まっているのか?
キャプションのサイズは人それぞれですが、私の例で言いますと「55×91㎜」です。
これは、名刺4号サイズと同じです。
「作ったことはないけれど、なにか基準があったほうが良いな」と思っていました。
この名刺サイズを基準に、会場のスペースや作品の大きさによってキャプションの大きさも変えると良いかと思います。
大事なことは「絵より目立たずに誰でも文字が読めること」だと思います。
キャプションのデザインツールは?
キャプションのデザインツールはCanvaなどのデザインツールを使っても良いですし、WordやExcelを使っても良いです。また、IllustratorやPhotoshopで作っても良いですね。
私の場合は、A4サイズに自由にレイアウトしたかったので「Jw_cad」のCADソフトを使いました。Jw_cadとは無料で使えるWindowsやMacで動作する2D(2次元)汎用CADソフトです。寸法や角度などを細かく設定できますし、編集中にプリントアウトすることもできます。シンプルなデザインを自分で作りたい方には向いています。ただし、慣れるまで少し時間がかかります。
キャプションのデザインは?
キャプションのデザインはどうすれば良いのでしょうか?
デザインはCanvaなどを使って名刺デザインを利用すると良いかもしれません。
ちなみに私は、上記のとおりでJw_cadでデザインしました。
枠線があると引き締まって良いと思ったので、55×91㎜の枠の内側に1㎜の四角形を配置しました。
右下には手書きのサインをスキャンしたものを載せました。
色は、黒一色です。
字体は「MS明朝」だけを使用しました。
フォントサイズは、タイトルは縦5×横5、それ以外は縦3×横3でした。
ちなみにWordやEXCELなどではフォントサイズの単位が「pt」ですが、Jw_cadでは「㎜」です。
5㎜をptに置き換えると14pt強
5㎜≒14pt強
3㎜をptに置き換えると10pt弱
3㎜≒10pt弱
以上です。
なので、10~14ptくらいで良いと思います。
キャプションの道具や材料は?
キャプションの材料は、紙とスチレンボードです。どちらかにはじめから糊がついているとより使いやすいです。
一方、道具はプリンター、カッターナイフ、定規、カッティングマットです。
キャプションの作り方手順
キャプションの作り方は、
- デザインツールでキャプションを作る
- 紙をセットしプリントアウトする
- スチレンボードに貼り付ける
- カッターでカットする
以上です。
順番に解説します。
1.デザインツールでキャプションを作る
デザインツールは、とくに使いやすいツールで良いです。
私の場合は、Jw_cadを使用してデザインし、レイアウトしました。
2.紙のセットとプリントアウト
家庭用のプリンタに紙をセットしてプリントアウトします。
私は、糊付きのマット紙にプリントアウトしました。
3.スチレンボードに貼り付ける
プリントアウトした紙をスチレンボードに貼り付けます。
私は「のりピタ」というスチレンボードを購入しました。厚みは3㎜です。
4.カッターでカットする
キャプションをデザインした紙とスチレンボードを貼り合わせたら、カッターナイフでキャプションサイズにカットしていきます。大きなものではなく小さいボディのカッターナイフの方がうまく切れると思います。
作品をご購入された方にお渡しすることを前提に、きれいな断面に仕上げましょう。なので、切れ味の悪い刃先は折って新しい刃先にします。
スチレンボードの厚みは3㎜より厚いものもありますが「お客さまにお渡しする」「きれいな断面にする」ことを考えると3㎜くらいが良いと思います。
また、キャプションの四方を壁に向かって壁側の面積が小さくなるように斜めにカットすると見た目が良くなるようです。とはいえ、きれいに仕上げるつもりでカットすればまっすぐでも斜めでもどちらでも良いと思います。
ちなみに、3㎜厚のスチレンボードですと斜めにカットする余裕がないので、斜めにカットしたい場合は3㎜より厚めの方がカットしやすいと思います。
その他のキャプション
その他のキャプションとして、作品を解説するボード、オーダーメイドの流れ、ポスター、略歴などを作成しました。
作品を解説するボードには、作家の制作やモチーフに対する思いを記載します。キャプションの近くに設置しておけば、作品と一緒に見てくれます。
こちらのデザインはすべて、無料のデザインツール「Canva」で作りました。
A4サイズのものはそのままダウンロードしてプリントアウト、それ以外は正方形で作りA4サイズの中に2つ入るようにプリントアウトしました。
キャプションのテンプレートは残しておこう
一度個展を開催すると、お客さまの反応がわかると思います。
キャプションの反応が良かった場合は、今後もそのままのデザインでテキストだけ変えて使い回せば良いと思います。
一方、お客さまの反応がいまいちだったり、他の方のキャプションが気になったりした場合はアレンジしてデザインを変更していけば良いと思います。
まとめ
- キャプションは、個展などで作品の下に設置する説明書き
- キャプションには作品の内容を明記する
- 話のきっかけ作り、販売をアピールするために設置する
今回はキャプションの作り方についてお伝えしました。
キャプションで販売価格を明記していると絵を販売していることがわかり、技法を明記していると親近感がわくお客さまがいらっしゃるかもしれません。
いずれにしても話のきっかけになるキャプションを作り、少しでも楽しい会話ができる個展にしていきたいですね。