油絵のキャンバスサイズの初心者へのおすすめ|下書きや選択肢を考慮

この記事では次のことをお伝えします。

油絵のキャンバスサイズ、初心者には何が良いのか知りたい

油絵を描くのに適したキャンバスサイズと、飾りやすく売れやすいキャンバスのサイズをご紹介します。

この記事のざっくりとした結論
  • 油絵のキャンバスのサイズおすすめは「F3号やF6号の麻素材の中目で、油彩・アクリル兼用」の張りキャンバス
  • 飾りやすい、売れやすいサイズはSM規格
  • キャンバスよりかさばらせたくない場合は、シナベニヤ板や油彩紙に油絵を描きましょう。

もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。

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油絵のキャンバスのサイズ、初心者向けには何が良いのか

油絵のキャンバスのサイズは、初心者の方が描く場合、描くものや大きさによりますが「F3号やF6号の張りキャンバス、麻素材の中目で、油彩・アクリル兼用」のものがおすすめです。

張りキャンバスは、「F3」や「F6」と表記されてアルファベットと数字の表記が一般的です。

単位は「号(ごう)」と言います。

例えば、「F3号」だと(えふさんごう)と言います。

アルファベットはキャンバスの規格で、数字は大きさを表します。数字が大きくなるほどキャンバスのサイズも大きくなります。

F3号のキャンバスのサイズは「273㎜✕220㎜」で、F6号だと「410㎜✕318㎜」のサイズです。

「F3」や「F6」とつくものは、木枠にキャンバス生地を貼っているので「張りキャンバス」と言います。ちなみに、キャンバスには他に「カットキャンバス」と「ロールキャンバス」があります。

「カットキャンバス」「ロールキャンバス」ともにキャンバス生地のみの販売です。キャンバス生地を張りキャンバスにするには、既存の張りキャンバスの木枠を再利用するか、使用したい号数の大きさの木枠を別途購入して自分で組み立てて、作る必要があります。

「カットキャンバス」は、例えばF3号サイズで張りキャンバスが作れるサイズにカットしてあるキャンバス生地のことです。

一方「ロールキャンバス」は、キャンバスがロール状になっているキャンバス生地です。張りキャンバスを作るときに余白分を考慮してカットし、張りキャンバスを作ります。

カットキャンバスやロールキャンバスを木枠に張るには、木枠、張り器、タックス(釘)が必要です。

初心者の場合は、あらかじめキャンバス生地をカットして木枠に張ってある「張りキャンバス」がおすすめです。

F3号やF6号がおすすめの理由は以下です。

  • 下書き時に転写しやすいから
  • Fは一般的な規格だから

下書き時に転写しやすいから

F3号やF6号サイズの張りキャンバスは、下書き時に転写しやすいサイズです。

油絵でも何でも、絵を描くときには必ず元の画像を紙にプリントアウトして、転写する方がいるのではないでしょうか。

転写用にプリントアウトする規格といえば、A4サイズかA3サイズだと思います。

F3号はA4サイズ、F6号はA3サイズに近いサイズです。これだとプリントアウトした紙をそのままマスキングテープで留めて転写できると思います。

ちなみに、A4サイズは「297㎜✕210㎜」です。

A4サイズ(297㎜✕210㎜)と近いキャンバスのサイズ

F3(273㎜✕220㎜)またはP3(273㎜✕190㎜)

また、A3サイズは「420㎜✕297㎜」です。

A3サイズ(420㎜✕297㎜)と近いキャンバスのサイズ

F6(410㎜✕318㎜)またはP6(410㎜✕273㎜)

さらにA2・A1サイズと近いキャンバスをご紹介します。

A2サイズ(594㎜✕420㎜)と近いキャンバスのサイズ

F12(606㎜✕500㎜)または P12(606㎜✕455㎜)、M12(606㎜✕410㎜)

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A1サイズ(841㎜✕594㎜)と近いキャンバスのサイズ

F25(803㎜✕652㎜)またはP25(803㎜✕606㎜)、M25(803㎜✕530㎜)

なお、倍率を変えたり分割にしてプリントアウトすればさまざまなサイズに対応できると思いますが、とりあえず最小限の手間で油絵を描く方法をお伝えしています。

Fは一般的な規格だから

紙のサイズ(A規格)に近いF以外のキャンバスの規格もご紹介しましたが、特におすすめはF規格です。

理由は、一般的な規格だからです。

なぜ一般的な規格が良いかと言いますと、画材屋さんで並んでいる品数はFが多めだからです。

また、一般的な規格であるF規格は、額縁のデザインにも影響します。Fサイズにあるデザインが、それ以外のS・P・M規格にはない、なんてこともあります。

それに、油絵の額縁は廃盤になることもあり、気に入っていた額縁がなくなってしまう可能性もあります。額によって絵の見た目やイメージが大きく変わってしまいます。なので、額縁を選ぶだけでも売れていくか否かが左右されます。

なお、オーダーメイドで額縁を作る方法があり、お気に入りの額縁を作ることもできます。しかし、個展やグループ展に何点も出展しなければならない場合は話が変わってきます。

すべてオーダーメイドで額装していたら、額代がかさばり高額になるからです。

なので、あらかじめ描くサイズを一般的なF規格に決めておけば、キャンバスや額縁も比較的好みにあった既製品がすぐに見つかるでしょう。

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キャンバスの素材

キャンバスの素材は3つほどあり、結論として亜麻(あま)がおすすめなのですが、それぞれの特長を知りたい方は下記の記事よりご覧ください。

油絵のキャンバスの材質を間違えると大変なことになる話し

キャンバスのおすすめ布目(内部リンク)

キャンバスの布目は、中目がおすすめです。布目に関して説明している記事がありますので、よろしければご覧ください。

ちなみに布目のことを「織り目」とも言います。

油絵のキャンバスの布には織り目というのがある

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キャンバスの下地

キャンバスの下地はどう処理されているのか、直接下書きから描いてよいのか画材屋さんに聞いてみましょう。

油絵のキャンバスの布に絵を描くには下地処理が必要

キャンバスの規格説明

キャンバスには、紙の規格(A・B)と同じように決められた規格が存在します。

キャンバスの規格
  • F(Figure)=人物
  • P(Paysage)=風景
  • M(Marin)=海景
  • S(Square)=正方形

例えばFであれば人物に適したサイズとなっています。

ですが、Fだからといって必ず人物を描かなければいけないわけではありません。

例えば、Fの規格に風景を描いてもかまいません。

ちなみに、キャンバスの数字は用紙のA・B規格とはちがい、数字が大きくなるとサイズも大きくなります。

キャンバスの大きさを確認する場合は、張りキャンバスの裏の木枠を見ると規格とサイズが記されていると思います。また、木製のシナベニヤパネルの場合は側面にサイズが記載されていることが多いです。

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F規格以外の特長

F規格以外の特長をご紹介します。

材料代がかさばらずに、額装できればF以外の規格でもOKです。また、求めやすい価格の額縁を購入して自分で額装すれば、時間はかかるかもしれませんが、わざわざ画材屋さんに足を運ばなくても自分のペースで額装できます。

S規格

S規格は、正方形のキャンバスです。非常におしゃれで現代的なイメージを持ってもらうことができます。

SNSでは、インスタグラムの投稿画像が正方形ですよね。モチーフを画面いっぱいに配置したり、真ん中にモチーフがひとつあるだけでおしゃれなイメージを与えられます。

ただし、額縁は少なめなので自分で額装する必要があります。

比較的安価なのはボックスフレームです。

展示した時に差別化できること間違いなしです。

P規格

P規格は、F・M規格の間のサイズで、風景に良いとされています。

P規格はFより細めの長方形です。

Fより縦(横)長のモチーフを描く場合や、Fより縦(横)に広がりを持たせたい方

などに向いているキャンバスです。

M規格

キャンバスの中で最も細長い規格がMです。海を描くのに向いているサイズです。

また、空間をうまく作る時に重宝します。

日本では、横長より縦長の絵が売れやすいと言われています。なので、縦長の絵にすると飾りやすく縦の広がりをうまく表現できます。

モチーフにもよりますが、なかなかM規格を使う人はいないと思うので、こちらも差別化できる規格だと思います。

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飾ったり、売ったりするならSMサイズ

飾ったり、売ったりするならSMサイズです。

SM規格は「サムホール」と呼ばれておて、サイズは「227㎜✕158㎜」です。

非常に小さいサイズですが、日本の住宅に飾りやすいサイズで、また売れやすいサイズでもあります。

家の片隅に飾るとアクセントになりますね。

なお、個展などで展示する場合は、隣り合った絵のサイズをちぐはぐに飾ると売れやすいようです。

絵の配置例
  • 売れにくい配置:SMーSMーSMーSM
  • 売れやすい配置:SMーF6ーSMーF3

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なぜおすすめのサイズと売れるサイズが違うのか?

おすすめサイズはF3またはF6号です。

一方、売れやすいとされるサイズはSMです。

じゃあ、はじめからSMで描いた方が良いのでは?と思うかもしれません。

しかし、SMは練習するには小さすぎて筆も小さくなりがちです。そして、描くモチーフも細かくなってしまいます。

なので、いきなりSMサイズに油絵を描くと筆も小さくなり、結果的に迫力のない絵になってしまいます。

それより大きめのサイズの絵を描くことで、ある程度大きい筆で描くことができますし、SMサイズで絵を描いたときにも迫力を失いづらいと思います。

とはいえ、はじめからSMサイズで描いてみるのも勉強になります。また、小さいので場所を取りませんからね。

キャンバスサイズの一覧表

以下に、キャンバスサイズの一覧表をご紹介します。

油絵のキャンバスサイズ一覧表

S規格が一番面積が大きく、F→P→Mに行くにしたがって、面積が小さくなっていきます。

各号のそれぞれの規格の長辺はまったく同じ寸法だということにも注目したいところです。

個展やグループ展で絵を展示する場合は、展示する面積に限りがありますし、ある程度の余白をとって展示するほうが一つ一つの絵に存在感が生まれます。逆に、壁一面に無造作に並んでいると安っぽく見える可能性もあります。

また、公募展でもサイズの指定があります。

そういった意味では、サイズを頭に入れておくか、一覧表をすぐに見れるようにしておき、都度確認できると良いですね。

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キャンバスよりかさばらないサイズで絵を描く方法

キャンバスよりかさばらないサイズで絵を描く方法をご紹介します。油絵の初心者の方は、練習しながらなるべくお部屋を圧迫させないようにスキルを上げていきたいと思います。

もし、キャンバスは場所を取るからもっと薄いものに描きたいという場合は下記の2つを試してみてはいかがでしょうか。額装すれば、販売することも可能です。

  • 同じ規格でキャンバスよりかさばらない支持体で描きたい
  • 規格外で絵を描きたい

上記の方には下記の2つの支持体がおすすめです。

シナベニヤ板

ホームセンターでシナベニヤ板を買ってきてカットすれば、オリジナルの支持体が完成します。

自分好みの大きさにカットできて、しかもキャンバスよりかさばりません。

厚みはミリ単位です。一番薄いシナベニヤ板は筆者が知っている限りでは2.5㎜です。これなら自宅で自分でカットして使用することができます。ちなみに2.5㎜のシナベニヤ板は、カッターナイフでカットできる厚さです。

2.5㎜より厚いシナベニヤ板は4.0㎜です。これだとカッターナイフで切るのはなかなか難しいと思います。のこぎりを用意するか、ホームセンターでカットしてもらったほうがきれいに切れますね。

なお、ホームセンターでカットしてもらう場合は有料が多いかと思います。

シナベニヤはヤニ、アクが出にくい素材です。

一方ラワンベニヤはシナベニヤより安価ですが、必ずシナベニヤ板に描くようにしてください。

シナベニヤ板を購入して、「ジェッソ」などで下地処理をしたあと十分に(丸3日)乾かしましょう。乾いたジェッソの上から下書きし、フィクサチーフで下書きを定着させれば、油絵を描くことができます。

なおシナベニヤ板を額装する場合は、マット付きの額縁に裏側からテープで固定すれば額装できます。

油彩紙

シナベニヤ板よりもっとかさばらせないで油絵を描く方法が油彩紙です。

油彩紙は、油絵用に開発された紙です。なので、最もかさばらずに済む支持体です。

練習用として使えますし、仕上材を塗れば、額装することもできます。

ただし、素材が紙なので個展などで販売するときは通常のものより価格を下げる必要があります。

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展示を考えたキャンバスサイズの決め方

壁の面積に対してのキャンバス(額縁)を占める割合を考えてみましょう。

壁一面にいっぱいいっぱい絵を飾っても窮屈で、場合によっては安っぽく見える可能性があります。

逆に壁一面に対して空間を設けると、緊張感が生まれて見る人を圧倒する場合があります。

要は、飾り方によって売れるかどうかが左右されます。

なので、個展やグループ展などでは売りたいからといってたくさん飾るのではなく、飾る割合を考えてみましょう。

さまざまな割合があると思いますが、基準として壁の長さの半分の割合で絵を飾ると良いみたいですね。

実際に自宅に飾ってみて、どういう印象か実験してみましょう。

壁にピクチャーレールがない方は、床に立てかけてみると良いかもしれませんね。

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まとめ

油絵のキャンバスサイズの初心者へのおすすめ|下書きや選択肢を考慮
  • 油絵のキャンバスのサイズおすすめは「F3号やF6号の麻素材の中目で、油彩・アクリル兼用」の張りキャンバス
  • 飾りやすい、売れやすいサイズはSM規格
  • キャンバスよりかさばらせたくない場合は、シナベニヤ板や油彩紙に油絵を描きましょう。

個展やグループ展などで油絵を展示する場合は、作品の展示場所、壁に対して作品が占める割合、設置高さ、隣り合う絵とのバランス、額縁との相性、などなどさまざまな要因が重なって売れるか否かが決まってきます。

ですが、とりあえずは小さめのキャンバスに油絵を描いてみてその感覚を味わってみましょう。

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