油絵とは?絵の具や技法、誕生から現在まで時系列で有名画家をご紹介

この記事では次のことをお伝えします。

油絵とは、どんな絵か知りたい

油絵は、古くからの歴史があり多くの画家が習得した技法です。

その歴史は、1370年ほど(西暦650年~)

重厚感や色の深みによって、存在感がある絵画技法の一つです。

今回は、油絵の具や油絵の歴史や様式、油絵の特徴などをご紹介します。

今回の記事で大体、油絵の時代の流れと、様式や具体的な絵画がわかるのではないでしょうか。

この記事のざっくりとした結論
  • 油絵は油絵の具で描かれた技法や作品のことで油彩画とも言う、英語は「oil painting」
  • 約1400年前に誕生し、14世紀のルネサンス期から現在まで多くの画家が愛用している
  • 時代や様式、文化などによって表現が違うが、魅力的な画材

もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。

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油絵とは

油絵の定義は、「油絵の具」で描かれた技法や作品のことを言います。

油絵は、油彩画(ゆさいが)と言ったりもします。一方、英語では「oil painting」と言われています。

油絵を描くときの油絵の具は、画材屋さんに売っていて、誰でも購入することができます。

油絵は、ルネサンス期から現代まで絵画では中心的な技法でした。

油絵の具を画面に塗ることはもちろん、
絵の具が乾く前にボロ布でぬぐい取ったり、
透明色を重ね塗りしたり、
厚塗りしたり、
厚塗りした絵の具を削り取ったり、

上記のように、さまざまなことができる技法です。

発色も鮮やかで、観る人に感動を与える作品を作ることができる絵画技法の一つです。

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油絵の具とは?

油絵の具は、「顔料」と「油」を練って作った絵の具のことです。

油絵の具の主な成分

油絵の具の主な成分=「顔料」+「油」(乾性油)

乾性油は、「亜麻仁油」(あまにあぶら)「芥子油」(けしあぶら)などの植物性のもので練り合わせて作られます。

乾性油には、顔料をまとめてまんべんなく分散させる役割があり、基底材(支持体)に塗ることによって描くことができます。

顔料と混ぜた油が酸化して固まり、基底材(支持体)に定着します。

その他、油絵の具にはアルキド、コパール、ダンマルなどの天然や合成の樹脂、蠟(ろう)、乾燥促進剤などが含まれています。

ちなみに基底材(支持体)とは絵を描く対象のことで、「紙」や「張りキャンバス」、「板」などのことをまとめた呼び方です。

顔料

顔料(がんりょう)は粉の状態のもので、水や油には溶けずに画面に定着することで絵を作ります。

さまざまなものから作られていて、「無機顔料」と「有機顔料」に分けられます。

無機顔料は天然鉱石や金属による化学反応で酸化物が作られる顔料です。

一方、有機顔料は石油などから合成された顔料です。

顔料には、さまざまな色の粉があって、

動物の骨を焼いたもの、鉱石、土など…

ただし、顔料だけでは粉の状態なので、基底材に描くことはできません。

展色材(てんしょくざい)

粉である顔料と混ぜ合わせるのが展色材です。

展色材は、顔料をまんべんなく行き渡らせ、基底材(支持体)にしっかりとくっつける役割を果たします。

ちなみに展色材は、別の呼び方として「バインダー」とも言います。

  • 色のもとである「顔料」
  • 糊の役割をする「展色材」

両方が合わさって絵の具が完成します。

各絵の具の展色材

ここで、各絵の具の展色材をご紹介します。

各絵の具の展色材
  • 油絵の具→「顔料」+「乾性油」
  • 水彩絵の具→「顔料」+「アラビアガム」
  • アクリル絵の具→「顔料」+「アクリル樹脂」

上記のように、顔料は変わりませんが展色材は絵の具によって変化します。

油絵の具の展色材は「乾性油」となります。

乾性油は、水彩絵の具やアクリル絵の具のように水分の蒸発で乾くわけではなく、空気中の酸素と反応することによって表面から固まっていきます。

中まで完全に乾燥するまでは半年から1年はかかるようです。

油絵の具は、オイルで溶いて絵を描く

水彩画やアクリル画は絵を描くとき、水で絵の具を溶いて描きます。

一方、油絵は絵を描くときにオイルで溶いて描きます。そのオイルは揮発性油や乾性油のことで、これらを使って絵の具を溶いて描いていきます。

オイルは、一つの容器に入れます。

描き初めは容器に揮発性油を多めの割合で入れます。

絵の完成が近づくと乾性油の割合を揮発性油より多くするのが基本的なオイルの割合です。

揮発性油や乾性油のことを「画溶液」(がようえき)と言います。

表面乾燥と完全乾燥

油絵には乾燥の段階があります。

乾燥の段階によってできることが違います。

まずは、表面乾燥と完全乾燥の乾燥時間を覚えておきましょう。

油絵を描いた画面にさらに加筆するには表面を乾燥させなければいけません。

なので、

  • 制作したら7日ほど乾燥
  • 制作したら7日ほど乾燥…

上記を繰り返す必要があります。

また、油絵が完成したあとに画面を保護する仕上材のニスを塗るときは、

  • 油絵を描いたあと表面乾燥で塗れるニスを塗る
  • 油絵が完全乾燥したあとに塗れるニスを塗る

などを決めてからニスを塗ります。

油絵の具の進化

油絵の具は昔、制作のたびに手で練ってから描かれていました。

現在ではチューブ入りの油絵の具が開発され、いつでも手軽に制作をはじめられます。

また、乾燥を早める画溶液、水に溶ける油絵の具、乾燥が早い油絵の具も開発されています。

さまざまなことができるようになって、より一層表現の幅が広がっています。

また、アクリル絵の具とのミクストメディアも簡単に行うことができます。

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油絵の具を薄める油(画溶液)

絵を描くときは水彩絵の具のように水で薄めるのではなく、油を使って薄めます。

油絵の具を薄めるときは画溶液(がようえき)というもので薄めます。

油絵を薄めるのに使う画溶液は「揮発性油」(きはつせいゆ)と「乾性油」(かんせいゆ)です。

揮発性油はサラサラしていて、油絵の描き始めに多く使用します。

一方、乾性油は揮発性油よりも粘度があります。乾性油は油絵の完成に近づくにつれて割合を多めにしていきます。

油絵の具を塗ったあとは、ゆっくりと乾いていく(描いてから約7日ほど経てば表面が乾き、加筆可能)ので水彩絵の具やアクリル絵の具では制作するのに余裕がない方は、油絵の具を使うとじっくり制作できるかと思います。

揮発性油

「揮発性油」は、大きく2通りの使い方があります。

揮発性油の2つの使い方
  • 下塗りでおつゆがきする
  • 乾性油とブレンドして使う

下塗りでおつゆがきする

「下塗りでおつゆがきする」とは、油絵の具を少量と揮発性油を多めにして「おつゆ」の状態にして画面全体、または部分的に塗っていくことです。

そうすることで、その上に塗った絵の具の定着が良くなります。

乾性油とブレンドして使う

揮発性油は、乾性油とブレンドして使います。

揮発性油と乾性油を調合することで、自分好みの割合にすることができます。

ただし、さきほども言いましたが描き始めに揮発性油を多くしたら、徐々に乾性油の割合を多くしていき、最後の方には乾性油が多くなるように調整していかなければいけません。

ちなみに、揮発性油には「テレピン(ターペンタイン)」と「ペトロール」があります。

テレピンは、植物由来の揮発性油で、溶かす力が強いです。

臭いもキツめなので換気をして制作しましょう。

一方ペトロールは、石油から作られた揮発性油で、テレピンよりは溶かす力が弱いです。

また、臭いはテレピンよりも少ないです。

揮発性油は、絵の具がサラサラして描きやすいかもしれませんが、カサカサな画面になり絵の具が剥がれてしまう可能性があります。

なので、オイルの割合を守って最後は乾性油が多くなるようにしましょう。

乾性油

「乾性油」は、揮発性油とは違い粘土があるので、やや「とろみ感」があります。

なので、少し描きづらいかもしれません。

その場合は、揮発性油を少量混ぜると描きやすくなります。

完成に近づくにつれて、乾性油を多めにしていきましょう。

また、乾性油は植物性の油で空気中の酸素を取り込んで酸化します。

初めは油絵の具特有の粘りがありますが、徐々に粘りがなくなり乾燥していきます。

柔らかさと透明感があり塗ったときの体積を保ったまま固体に変わっていきます。

油絵を描くときには柔軟で粒子同士をくっつける役割があり、なおかつ色の鮮やかさを保ち、丈夫な画面を作ることが可能です。

乾性油は、揮発性油や樹脂などと組み合わせることによって、油絵の具の濃さや厚さを変化させることができます。

乾性油は主に「リンシードオイル」や「ポピーオイル」のことです。

リンシードオイルは、亜麻仁油(あまにあぶら)のことでポピーオイルは芥子油(けしあぶら)のことを言います。

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油絵の歴史(時代の流れと様式と具体的絵画)

ここからは、油絵の歴史を時代の流れと様式、実際の油絵とともにご紹介していきます。

これで、時代の流れと絵のイメージがつかめるかと思います。

油絵の始まり

最も古い油絵は、西暦650年頃(約1370年前)にアフガニスタンの中部バーミヤン遺跡の石窟(せっくつ)内に描かれた仏教絵画だそうです。

描いた人は旅人とのこと。

そして、そこから時代が進み、優れた油絵技法が確立されたのは15世紀に入ってからでした。

フランドル人画家、ヤン・ファン・エイク(1395頃 – 1441)の手によって実現されました。

ルネサンス期(14世紀 – 16世紀)より絵画技法の中心となり現在まで続いています。

彼の作品のひとつは、男性が頭に赤いターバンを巻いた『ターバンの男の肖像』 (1433年)です。この絵はヤン・ファン・エイクの自画像の可能性もあると言われているものです。

また、『アルノルフィーニ夫妻像』(1434年)という絵です。背景壁の中央付近には「ヤン・ファン・エイクここにあり」といった文字が書かれたり、背景の鏡(凸面鏡)にはヤン・ファン・エイクの自画像の可能性がある人物が描かれています。

中世末期(1300 – 1500)からルネサンス期にかけて、イタリアでは壁に塗った漆喰が乾かないうちに、水で溶いた顔料を使って描く「フレスコ画」が主流でした。

フレスコ画のメリットは、丈夫な画面を形成できることです。しかし、デメリットはスピーディな制作が求められることです。また、修正が難しいというデメリットもあります。

なので、人々は徐々に扱いやすい油絵に移行していきました。

油絵技法は、15世紀にフランドル地方で確立し、少しずつヨーロッパ全体に伝わっていき、西ヨーロッパ絵画の中心的技法となりました。

油絵の具は、天然の鉱物や人工顔料と、「リンシードオイル」(亜麻仁油)や「ポピーオイル」(芥子油)と混ぜ合わせて練り、流動性や透明性、また密着力を与えたものです。

油絵を描く場合は乾性油(リンシードオイル、ポピーオイル)や、揮発性油(テレピン、ペトロール)を混ぜて作った溶剤で油絵の具を溶かしてから絵を描きます。

絵を描く道具は、筆またはペインティングナイフなどを使います。

支持体や地塗りの材料、油絵の具以外の材料や、混合技法によってさまざまな表現が実現可能です。

ヤン・ファン・エイクは薄塗りで絵の具を何層にも重ねていき、重厚な細かい描写で描き上げました。

一方、印象派の代表的なフランス人画家、クロード・モネ(1840 – 1926)の油絵はパレット上では混色せず、キャンバスにチューブから出したそのままの色を素早いタッチで描いていく技法によって独特の画面を構成することができました。

このころはチューブ式の油絵の具が使用できたため、屋外に画材を持ち込んだモネは、より臨場感のある油絵を制作できたことでしょう。

上記のように、時代は違っても油絵の具の使い方によって、表現が変わります。

また、その時代の状況や地域、油絵の評価によっても表現方法が変わると思いますね。

テンペラ画やフレスコ画と違い、流動性や明暗の表現、写実描写に対応します。

オランダからイタリアへ

油絵は、その後南のイタリアへ広まり盛んになりました。

14世紀に西ヨーロッパに広まった「復活」「再生」を意味する「ルネサンス」。

この「文芸復興運動」が始まってからさまざまな油絵の技術が生まれます。また、基底材(支持体)としては「キャンバス」に描かれるようになります。

イタリアのフィレンツェが活動の拠点となりました。

盛期ルネサンス

ルネサンス期の最も栄えていた時期を「盛期ルネサンス」と言います。「盛期ルネサンス」(1450 – 1527)は、フィレンツェから、ローマへ拠点を移して続けられました。ラファエロやミケランジェロが描いた絵が、象徴とされるそうです。

盛期ルネサンスの画家と作品

ラファエロ・サンティ『アレクサンドリアの聖カタリナ』(1507)

北方ルネサンス

14世紀から16世紀まで、ルネサンスの影響を受けて、イタリア以外のヨーロッパで広まった美術が「北方ルネサンス」と言われています。「北方美術」などとも呼ばれています。

初期フランドル派

また、15世紀から16世紀にネーデルラント連邦共和国(現在のオランダ)で活動していた作家と、その作家が描いた作品を「初期フランドル派」と言います。

ネーデルラントは北からオランダ、ベルギー、ルクセンブルク、ドイツ西部、フランス北部の範囲を含む地域を言います。

細部の光を細かくかつ正確に描く絵が特徴的です。

初期フランドル派の画家と作品
  • ヤン・ファン・エイク(1395頃 – 1441)の『アルノルフィーニ夫妻像』(1434年)
  • ロベルト・カンピン (1375 – 1444)『メロードの祭壇画』(1425 – 1430)

ロココ様式

18世紀に、フランス宮廷のルイ15世から始まった「ロココ様式」はヨーロッパ以外にも伝えられていきました。

ロココ様式の影響で、油絵も優雅な衣装をまとった女性や植物のような曲線を描いた絵などが特徴です。

また、色も鮮やかな色が多いですね。

ロココ期のフランス人画家、ジャン・オノレ・フラゴナール(1732 – 1806)

Jean-Honoré Fragonard – The Stolen KissFXD

新古典主義

19世紀に入ると「新古典主義」「写実主義」など新たな表現方法が生まれました。

18世紀中頃から19世紀初めの頃まで続いた「新古典主義」です。バロックやロココ様式とは逆に重々しさを求め、ギリシアの芸術を見習いました。

ジャック=ルイ・ダヴィッド(1748 – 1825)『サン=ベルナール峠を越えるボナパルト』(1801)

ロマン主義

18世紀にヨーロッパで盛んになったのは、「ロマン主義」(1780 – 1830)という精神的な運動です。

これは、古典主義に反発する運動で、個人的な感情や愛情、苦しみなどをテーマにした運動でした。

ロマン主義の画家と作品
  • テオドール・ジェリコー(1791 – 1824)『メデューズ号の筏』(1818 – 1819)

写実主義

ロマン主義への対抗から、19世紀「写実主義」(1840 – 1860頃)が起こりました。

現実の世界を装飾したり、よく見せたりするのではなくありのままに描こうとする考え方です。

ジャン=フランソワ・ミレー(1814 – 1875)『落穂拾い』(1857)

自然主義

19世紀後半にヨーロッパで流行ったのが、自然主義運動です。醜いことや気分が良くないことにも目を背けずに描いていこうとする考え方です。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー(1796 – 1875)(1868 – 1870)

Lady in Blue, oil painting by Jean-Baptiste-Camille Corot (1874)

印象派

印象派は、19世紀後半フランスの絵画をメインとした芸術運動です。

筆のタッチが目で確認できること、日常を描くこと、野外で制作されることなどが挙げられます。

ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841 – 1919)『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』(1876)

Pierre-Auguste Renoir, Le Moulin de la Galette

ポスト印象派

1880年頃から活躍した画家で構成されたポスト印象派です。

様式に対する共通点があまり見られない様式のようです。印象派に対抗する目的だったため、画家一人ひとりの作風はバラバラだったみたいですね。

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853 – 1890)『星月夜』(1889)

ポール・セザンヌ(1839 – 1906)『赤い服を着たセザンヌ夫人』(1888 – 90)

Madame Cézanne (Hortense Fiquet, 1850–1922) in a Red Dress (ca. 1888–1890) by Paul Cézanne. Original from The MET Museum. Digitally enhanced by rawpixel.

パリ派

20世紀前半パリ派とは、さまざまな人がパリのモンマルトル、モンパルナスに集まり自由な生き方(ボヘミアン)を実践する画家たちのことです。

パリ派のことを「エコール・ド・パリ」と言ったりもします。

さまざまな国から集まった人たちなので、当然国や作風もさまざまです。

パリ派の画家
  • ロシア出身の画家、マルク・シャガール(1887 – 1985)

キュビズム

キュビズムとは20世紀初めにパブロ・ピカソジョルジュ・ブラックが起こしました。

普通絵は、一箇所から見たものを描きます。しかしキュビズムの考え方は別で、さまざまな方向から見たモチーフを一つの画面に描く方法でした。

キュビズムの画家と作品

パブロ・ルイス・ピカソ(1881 – 1973)『ゲルニカ』(1937)

フォーヴィスム

20世紀初めの絵画運動がフォーヴィスムです。

写実的とは違い、見えている色ではなく心が感じるままの色を表現する描き方です。

フォーヴィスムの画家と作品
  • アンリ・マティス(1869 – 1954)『ダンス』(1910)

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油絵の特徴

油絵の特徴は、さまざまあります。

1300年以上の歴史があるだけに、今までにさまざまな人が多くの作品を残していますし、道具や材料も豊富です。

具体的に油絵の特徴を見ていきましょう。

多くの画家が油絵作品を残している

油絵は、1300年以上もの歴史があります。ヨーロッパのネーデルラント(現在のオランダ)で技法が確立し、その後はイタリアに広まっていきます。

現在でも油絵の技法は受け継がれていて、さまざまな地域で描かれています。

なので、油絵を描いた有名な画家は数多く存在します。

レオナルド・ダ・ヴィンチ

フィレンツェ共和国(現在のイタリア)の芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年 – 1519年)『モナ・リザ』(1503 – 1507)

レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』というキーワードは絵画作品でよく知られているのではないでしょうか。

顔の曖昧な輪郭、笑っているような笑っていないような表情、タッチを残さない描き方で高い技術を伺わせます。

つづいての作品は、ピーテル・ブリューゲル (1525~1530頃 – 1569)が描いた『バベルの塔』(1563年)

ちなみに、この「バベルの塔」は架空の建物のようです。

架空の建物ですが、バベルの塔にはモデルがあり、ローマの古代遺跡「コロッセオ」だと言われています。

密かに1000人以上もの人々が細かく描かれているよう。

一人ひとり数えてみるのも鑑賞の楽しみのひとつとなりそうですね

ミケランジェロ

イタリア人画家、「ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ」(1571 – 1610)です。

たびたび騒ぎを起こす人物だったようですが、絵に関しては制作依頼や金銭で困ったことはなかったと言います。彼の、写実的な人物画は周りも気になる存在だったことでしょう。

『果物籠を持つ少年』(1593 – 1594)

レンブラント

バロック絵画を代表する画家、レンブラント・ファン・レイン(1606 – 1669)。彼は油絵だけでなくデッサンや版画などで多くの作品を生み出しました。

「光の〇〇」と言われるように光と影が印象的な画家でした。

Rembrandt, Self Portrait at the Age of 34. National Gallery. Oil on canvas.102 x 80 cm. NG672. Not on display

フェルメール

ネーデルラント連邦共和国(現在のオランダ)の画家のヨハネス・フェルメール(1632 – 1675)は、バロック絵画を代表する画家の一人です。

日本で開催された「フェルメール展」がきっかけでフェルメールのことを知った方もいるのではないでしょうか。

『真珠の耳飾りの少女』(1665頃)は、フェルメールが描いた油絵です。

この青いターバンは一度見たら忘れられない絵ですよね。

Johannes Vermeer’s Girl with a Pearl Earring (ca. 1665) famous painting. Original from the Mauritshuis Museum. Digitally enhanced by rawpixel.

その他、フェルメールは室内の窓際の絵を描く絵が多いです。

『牛乳を注ぐ女』(1658 – 1660頃)や『地理学者』(1669頃)などの絵は、窓際にモデルが立っていて、その光に照らされた室内のモデルと背景を描いている絵が特徴的です。

The Milkmaid (ca. 1660) by Johannes Vermeer. Original from The Rijksmuseum. Digitally enhanced by rawpixel.

ゴッホ

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853 – 1890)は、オランダのポスト印象派の画家です。

ゴッホは、誰もが知っているといっても過言ではないくらい知名度が高いです。

ゴッホといえばタッチが残っているのがわかるほどの厚塗り、インパクトのある色彩表現です。『ひまわり』(1888年)や『日没の種まく人』(1888年)など、生き生きとしたタッチが印象的です。

色も鮮やかで明るいイメージがあると思います。

『星月夜』(1889)

Vincent Van Gogh’s The Starry Night (1889). Famous painting, original from Wikimedia Commons. Digitally enhanced by rawpixel.

存在感

油絵の特長は、その存在感です。

透明色を重ねることによる色の深みや、不透明色の色の鮮やかさが表現できます。

油絵の具は、塗ったあとそのままの体積で固まります。

なので、顔料も立体的になり、結果的に人の目には複雑な色として認識されます。

これが色の深み、重厚感として印象づけられるのではないでしょうか。

表現力の豊かさ

油絵表現方法はさまざまあります。

その場にいる(ある)ような、写実的な油絵や、油絵の具の性質を活かしたタッチを残す表現の油絵、またペインティングナイフを作った表現も可能です。

また、油絵の具は乾きにくい絵の具です。

なので、

オイルを混ぜて絵の具を伸ばしたり、
絵の具をそのまま塗ったり、
ボロ布で拭き取ったり、
別の色同士を画面上で混ぜたてぼかしたり、
一度乾かした画面に塗り重ねたり、

油絵の具は厚塗りすることもできます。

厚塗りすると「思い切り」を感じることができます。近くのものを厚塗りすることで手前に飛び出しているような感覚を与えることができます。逆に奥のものは薄塗りすることで、よりリアリティが出てきます。

また、薄塗りすることで平面表現も可能です。

いろいろできるということは、表現力が豊富ということにつながると思います。

上記のような表現は、水彩絵の具やアクリル絵の具では難しいです。すぐに乾いていきますし、絵の具の体積が減りますからね。

時間的な余裕

さきほどもお伝えしましたが、油絵の具は、乾きにくい絵の具です。

乾燥するまで時間があるので、じっくりと制作に取り組むことができます。

なので、制作当日でしたら隣り合った別々の色の境界を曖昧にする(グラデーション)ときに便利です。

溶かしたり、ぼかしたりができる

油絵はすぐ乾かないので、画面上に塗った絵の具を再び溶かして薄めたり、複数の色を混ぜ合わせてぼかしたりすることが可能です。

ただし、画面上で絵の具を動かせるのは制作当日だけにとどめて、その後はしっかり乾燥させましょう。

手を加えるのが簡単

水彩画は今まで塗った色を消すことができません。

一方、油絵は修正や加筆など手を加えるのが簡単です。

前回塗った絵の具を7日ほど乾かせば(表面乾燥)、乾いた上から絵の具を塗って修正や加筆ができます。

加筆と修正
  • 加筆は、描き加えること
  • 修正は、良くないと思った部分を今までとは別の状態にする

上記のとおりです。

加筆は、描き進めていけば良いですが、修正は下の色が目立つ場合は不透明色で塗ったあと乾かしてから描き進めます。

不透明色は、例えば下の色を目立たなくしたい場合は「チタニウムホワイト」(白)が良いかなと思います。

チタニウムホワイトは、不透明色で隠ぺいする力が一番ある白色だからです。

まちがったときの修正方法
  1. 間違った箇所にチタニウムホワイトを塗る
  2. 7日乾燥させる
  3. 乾いたチタニウムホワイトの上に絵を描く

上記のようにすれば修正ができます。

一方、油絵の制作当日はまだ表面は乾いていないので、ボロ布などで拭き取ればOKです。

加筆することでできる技法

手を加えることによって成り立つ技法があります。

それは、「グレーズ」「スカンブル」「スフマート」です。

乾いた油絵に薄く透明な絵の具を複数塗り重ねると「グレーズ」ができます。

また、乾いた油絵に不透明の絵の具を薄塗りすると「スカンブル」ができます。

それぞれの効果は、下の色が透けるので複雑な色合いを出すことができます。

また、透明色を使い、左右別々の色の境がどこかわからないくらいに描く描き方を「スフマート」と言いますが、制作と乾燥を繰り返していくと、このような技法ができます。

厚塗りできる

油絵の具は、他の絵の具とは違い、厚塗りすることができます。

これは、油絵の具を塗っても体積が減らないことによるものです。なので、凹凸をつけることによって遠近感をつけることができます。

例えば、近くのモチーフを厚塗りし遠くのものを薄塗りすれば立体的な油絵を描くことができます。

ペインティングナイフや筆の跡がわかるほど凹凸を作る技法のことを「インパスト」と言います。

「印象派」と呼ばれる様式の人たちは屋外で太陽の光を浴びた自然や人物を厚塗りで描きました。

一方、水彩絵の具やアクリル絵の具は水分の蒸発によって色が画面に定着していきます。

水彩絵の具やアクリル絵の具などの水溶性の絵の具には、もともと水分が含まれていて乾燥するとカサが減って平滑になってしまいます。

油絵の画面は、塗った分だけ立体構造になりますが、水溶性の絵の具は乾くと体積が減るので、多少立体的にはなるかもしれませんが顔料も平面的になります。

重ね塗りによる深い色合いが表現可能

油絵には、油絵特有の色の深みやつやがあります。

これは、油絵の厚さやオイルの使い方にもよります。

なぜ油絵は色の深みを感じやすいのでしょうか?

それは、油絵の具の性質によります。

水彩絵の具やアクリル絵の具は水分の蒸発によって基底材(支持体)に定着します。

一方、油絵の具の展色材は「乾性油」です。乾性油は乾いても体積がほとんど減りません。

なので、油絵の具層が多くなったり、厚みが増せばその分顔料も散乱します。

光が当たることによって複数の顔料や、展色材が屈折し、複雑な見え方になります。

これが色の深みとなって表れます。

油絵の耐久性

油絵は、耐久性に優れる画材です。

何百年もの間あり続けていますが、状態は良好で描かれていたときとほとんど変わらない画面で人々を魅了しています。

また、油絵はキャンバスが一般的ですが、紙や板、金属などにも描くことができる画材です。

ただし、保存状態が悪かったり、オイルを使う順番をまちがえたりすると絵の具が剥がれたり、保存状態が悪いとカビが発生したりします。

それに、さまざまな基底材(支持体)に塗ることができますが、しっかりと油絵の具が定着するように下地材を塗る必要があります。

油絵のデメリット

油絵のデメリットは、

  • そろえる道具や材料が多い
  • 材料費がかかる
  • 乾きが遅い
  • 臭いがする
  • 油絵のトラブルがある

以上です。

ひとつずつ解説していきます。

そろえる道具や材料が多い

油絵はそろえる道具や材料は、他の絵の具に比べて道具や材料が多いかと思います。

例えば、

  • 画溶液(揮発性油・乾性油)
  • 油壺
  • ブラシクリーナー

など、瓶や容器が増えるかと思います。

材料費がかかる

そろえる道具や材料が多ければ、当然材料費がかさみます。

道具は一度そろえれば長く使えますが、材料はなくなったらその都度買い足さなければいけません。

乾燥するまでが長い

油絵は、乾くのが遅い画材です。

表面乾燥
  • アクリル絵の具:数時間
  • 油絵の具:3~7日ほど
完全乾燥
  • アクリル絵の具:3日
  • 油絵の具:半年~1年

上記のように油絵と比べるとその差はあきらかです。

じっくり制作できますが、それがストレスとなるぐらいでしたら、油絵ではなく、水彩画やアクリル画を検討してみるのが良いかもしれません。

臭いがする

油絵は特に画溶液の臭いが目立ちます。

テレピンやペインティングオイルなどからも臭いがするものがあります。

なかには、気分が悪くなったり頭痛がしたりする場合があります。

臭いが気になるけど、油絵をやってみたい方は、ある方法を試してみてください。

油絵のトラブルがある

油絵は、揮発性油と乾性油を混ぜて制作する場合、オイルの割合をまちがえると絵の具が剥がれたり、変色したりします。

とはいえ、正しいオイルの使い方をすれば油絵のトラブルは回避できます。

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油絵と日本画の絵画技法の違い

必ずしもそうとは限りませんが、油絵と日本画の技法にはいくつかの違いがあります。

立体的な表現

油絵は立体的に描きますが、日本画は平面的に描く傾向があります。

具体的には、油絵は輪郭を線で表現せず陰影などで表現しますが、日本画は輪郭を線で描きます。

陰影の表現

油絵は、陰影を描いてモチーフの存在感を表現しますが、日本画は陰影が描かれていない場合があります。

奥行きの表現

油絵は、奥行きがある表現をしています。

例えば、手前のものは鮮やかに、奥のものは彩度を落としたり、手数を少なくして描いたりします。

一方、日本画は手前のものも奥のものも同じ色合いや手数で描かれています。

なので、とても平面的な印象があります。

上記のように、油絵の表現は比較的見たままのものを写実的に再現する考え方が強いのではないかと思います。

一方で、日本画は写実的に描くよりも、色彩や間などを取り入れて、観る人の感情に訴えるのではないでしょうか。日本画はシンプルなので、イメージしやすいかもしれませんね。

油絵には油絵の良さ、日本画には日本画の良さがありますよね。

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まとめ

油絵とは?絵の具や技法、誕生から現在まで時系列で有名画家をご紹介
  • 油絵は油絵の具で描かれた技法や作品のことで油彩画とも言う、英語は「oil painting」
  • 約1400年前に誕生し、14世紀のルネサンス期から現在まで多くの画家が愛用している
  • 時代や様式、文化などによって表現が違うが、魅力的な画材

油絵はじっくり取り組んで制作できる画材です。

納得するまで筆を入れることができます。

なので、初心者にもおすすめの画材でもあります。

画材屋さんにはずらりと並んだ画溶液や油絵の具、英語表記などでパニックになるかもしれません。変な汗をかくかもしれませんが、必要最小限の画材を持っていれば誰でも油絵を描くことができます。

なので、オススメの画材です。

はじめは何でもお金がかかります。

でも、絵を描くことが好きなら油絵を始めてみませんか?

古くから制作されてきた理由がわかるかもしれませんよ〜。

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