油絵具の乾燥促進は必要?そんなに乾燥を急かしていいの?

油絵具には乾燥時間を速める材料が販売さ
れています。

では、なぜそのようなものが販売されてい
るのでしょうか?

そもそもなぜ乾燥させる必要があるのでし
ょうか?

乾燥の仕組みは?メリットは?

今回は、「油絵具の乾燥」についてよかっ
たら私と一緒に勉強していきましょう。

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油絵具はどうやって乾燥していくのか


油絵具の場合、油絵具に含まれる乾性油が
空気中から酸素を吸い粘り気が増していっ
て、糊そのものが液体から固形になりま
す。ですから、体積が変わらずに厚塗りの
表現が可能なわけです。

油絵具に対して水彩絵具はどうやって乾燥するのか

水彩絵具は、もともと固体の糊が水に溶け
た状態になって販売されています。水彩絵
具の水分が蒸発して固体で残った糊が顔料
を定着させます。

水彩絵具は水分が蒸発するので、体積が減
ります。色味も絵を描く前と後では変わっ
てくるみたいです。

油絵具の乾燥は気候による

油絵具は温度の高い低いで乾燥時間が変わ
るみたいです。気温の高い夏は乾燥時間が
短く、冬は夏の2~3倍の乾燥時間がかか
ります。

湿度は55~60%が最適のようです。

油絵具の中でも乾燥時間が違う


コバルトブルーやバーントアンバーのよう
な絵具の顔料に含まれる鉄、マンガンなど
の金属酸化物の影響で乾燥が速まります。
顔料が他の物質に影響を与えて、結果的に
乾燥を速めます。

逆に、ローズマターのような有機顔料や、
チタニウムホワイトのような無機顔料の金
属では化学反応を起こしにくいので乾きが
遅くなります。

油絵具の厚塗りと乾燥時間の関係

油絵具は薄く塗ることも厚く塗ることもで
きます。薄く塗れば乾きが速く、厚く塗れ
ば乾きが遅くなります。

キャンバスの目がわかるぐらいの薄さの油
絵具を塗った場合、乾燥時間は表面が乾く
のは24時間、油絵具を盛り上げた状態の
ものは6~7日かかるみたいです。

因みに画用液で乾性油のリンシードオイル
は大体2~3日、同じく乾性油のポピーオ
イルは大体4日で乾燥します。

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油絵具の乾燥状態の流れ

それでは油絵具の乾燥状態の流れについて
みていきましょう。

油絵具の乾燥状態の流れ その1:準備期間

油絵具をチューブから出し、絵具を使うと
空気に接触します。このときは酸素の吸収
が始まって乾燥に向かう準備をしていま
す。

油絵具の乾燥状態の流れ その2:油絵具に粘りが出てくる

油絵具の表面を触ると粘着性を感じて触っ
た指に絵具がつくか、つかないかの状態で
す。

油絵具の乾燥状態の流れ その3:表面が乾燥してくる

油絵具の表面に薄い膜を張っています。
面が乾いていますが、中はまだ乾いていま
せん。

油絵具の乾燥状態の流れ その4:完全に乾燥する

全体に乾燥が進んで指で触っても指の跡が
残らない状態です。この状態は半年から1
年は要する長い時間です。

手を加えて油絵具の乾燥を速める方法

乾燥を速めるための方法を見ていきましょ
う。

「乾燥促進剤を混ぜる」という手を加えて油絵具の乾燥を速める方法

乾燥促進剤に、「シッカチーフ」がありま
す。このシッカチーフには非常に酸化しや
すい金属が使用されています。

シッカチーフを油絵具に混ぜると、シッカ
チーフの金属類が乾性油に酸素を供給する
役割を果たします。

油絵具に加えるとシッカチーフの金属類が
空気中の酸素とくっついて、結果的に油の
酸化促進の手助けをしてくれて乾燥時間を
短縮させることができます。

 

以下、「シッカチーフ」のご紹介です↓

乾燥促進剤の「シッカチフブラン」です。絵具を内部からじっくりと乾かしてくれます。

乾燥促進剤の「シッカチフクルトレ」です。表面と内部から強力に乾かします。

「樹脂を混ぜる」という手を加えて油絵具の乾燥を速める方法

「メディウム」というチューブ入りの樹脂
を油絵具に加えて乾燥を速めます。混ぜる
量に制限がなく、多ければ速く乾く仕組み
です。

しかし、それにも限度があり樹脂を混ぜた
油絵具は艶が変わったり、透明感が変わっ
てしまったりするので油絵具本来の性質を
失ってしまうかもしれません。

なお、メディウムは様々なものがあり「ク
イック」「超速乾」などというものがあっ
て、それぞれ艶や乾燥時間が変わってきま
すので、ご確認くださいませ。

 

以下メディウムのご紹介です。↓↓↓

半日~1日で乾燥するメディウム

「ストロングメディウムグロス」です。光沢があり内部からしっかりと乾いてくれます。

「ストロングメディウム」です。下塗りから上塗りまで自由に混合できます。厚塗りを内部から乾燥させてくれます。

数十分~数時間で乾燥するメディウム

速乾メディウムの「ラピッドメディウム」です。油絵具と等量混ぜると乾燥が時間単位で速くなります。

油絵具の乾燥促進は、なぜ必要なのか?

油絵具の乾燥促進の理由は、「乾いていな
いうちに加筆するとうまく油絵具が載らな
いから乾いた上から加筆したい。」「下に
塗った絵具を筆で拭ってしまう。」「前に
塗った油絵具の上から新しく塗ると油絵具
が濁る。」「作品を展示するまで時間があ
まりない。」ということだと思います。

油絵具を速く乾燥させて大丈夫なの?

樹脂や乾燥促進剤を使うメリットは速く乾
くこと。

当たり前ですね。

しかし、表面が乾いただけで全体はまだ乾
燥していません。また、乾燥を速めようと
乾燥促進剤を混ぜすぎると、油絵具の表層
と基層のバランスを崩して、縮みや亀裂が
生じてしまいますので、あくまでも適量に
留めましょう。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

油絵具の乾燥方法は、自然に乾燥させる方
法と手を加えて乾燥を促進させる方法があ
ります。速く乾かさないといけない理由が
ない限りは自然に乾燥させたほうが良いと
思います。

もし、何らかの理由でどうしても乾燥を速
めたい場合は、樹脂や乾燥促進剤を適量使
用して制作に支障が出ないように取り扱い
ましょう。

なお、メディウムには乾燥後に艶のある・
なし、タッチを残す・残さないといった仕
上がりに変化をつけることができるものが
あるので、その効果を上手く利用できれ
ば、作品にも幅が出てきて利用する価値が
出てくると思います。

いずれにしても「こうしたい!」と狙って
樹脂や乾燥促進剤を使用していきたいです
ね。

最後までお読みくださいましてありがとう
ございます。

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