- 油絵の絵の具とアクリルの絵の具のことが知りたい。
- それぞれどんな特徴があるのかな?
- 併用なんてできるのかな?
- 混用はできないでしょ?
こういった疑問に答えます。
★もくじ★
油絵の絵の具とアクリル絵の具解説
さっそく油絵の絵の具とアクリル絵の具の特徴を以下に列挙します。
油絵の絵の具の特徴
油絵の絵の具の特徴は以下です。
- 成分(顔料+乾性油)
- 下地材が必要(油彩紙、油絵用キャンバスは売っている)
- 画溶液には臭いがある(匂いを抑えたオドレスもある)
- 換気が必要
- 酸化して固まる
- 水に溶けない(水に溶ける油絵の具もある)
- 絵の具はオイルで溶かす
- 線を描くと延びる(絵の具にオイル)
- 絵具の粘度が高い(厚塗りしやすい)
- 薄塗りで重ね塗りの時は、その都度下層を乾かす必要がある(自然乾燥か、メディウムやリキッドを使う)
- 筆跡を目立たなくすることができる(筆跡をつけることも可能)
- 支持体の上で色が混ざりやすい
- ゆっくり乾燥する(なので、簡単にぼかすことができる。時間が経っても乾かなければ拭き取れる。乾燥するまで気を遣う)
- 乾いても体積がほとんど減らない
- 乾いても乾く前との色の変化が少ない
- 掃除は制作途中には筆洗油、制作後には水性ブラシクリーナー、水、石鹸などを使う
- 仕上材(画面保護)が必要
- 絵の完成から仕上材を塗るまで乾燥時間がかかる(長くて1年)
- 仕上材の乾燥時間を要する
- 難しいと思われている
上記のとおりです。
「支持体に直接描けない、臭いがある、乾燥時間がかかる…」
など全体的に手間がかかる印象があります。
一方、乾きの遅さでぼかし、体積の減少がほぼないので厚塗りなどが比較的簡単にできます。
アクリル絵の具の特徴
続いてアクリル絵の具の特徴です。
順番は油絵の具と同じように並べています。
- 成分(顔料+アクリル樹脂)
- 紙、キャンバス、木製パネル、金属、ガラスなどにそのまま描ける
- 臭いがない
- 換気不要
- 絵の具は水で溶かす
- 筆跡が残りやすい
- 支持体の上で色が混ざりにくい
- 乾燥が早い
- 短時間で重ね塗りできる
- 短時間で完成する
- ぼかしが難しい
- 時間が経ったら拭き取りにくい
- 乾かないうちに修正するのが難しい
- 乾くと耐水になる(下の色が混ざりにくい。グレーズに適している)
- 乾くと体積が減る
- 乾くと色が変わる
- 掃除はブラシクリーナー、水、石鹸。
- 乾燥後はかたくて頑丈になる
- ひび割れしづらい
- 変色しづらい
- 仕上材不要
上記のとおりです。
アクリル絵の具は全体的に手軽さがあります。
一方ですぐ乾いたり、ぼかし表現が難しかったり、滑らかに描こうとするとやや難があります。
絵の具が水分を含んでいるときと、水分が抜けた状態でも色や体積に変化が起きます。
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油絵の絵の具とアクリル絵の具の併用
併用は、アクリル絵の具が下層、油絵の具が表層なら可能です。
理由は、逆に油絵の具の上にアクリル絵の具を塗ってしまったら剥がれ落ちてしまう可能性があるからです。
併用のやり方を具体的に説明すると…
- 下地材→アクリル絵の具(下層)→油絵の具→油絵の具(表層)…
上記のとおりです。
なので、油絵の具の上にアクリル絵の具を塗らなければ、油絵具とアクリル絵の具の併用は可能です。
アクリル絵の具が下層でも気をつけること
結論としては、アクリル絵の具を塗ったら十分に乾かすことです。
水分を抜かないと、水分の逃げ場が絶たれて剥がれ落ちたり亀裂が生じるからです。
なので、アクリル絵の具を塗り終わったら3日以上は乾燥させましょう。
油絵の絵の具とアクリル絵の具の併用の意図
油絵の絵の具とアクリルの絵の具の併用の意図は、グレーズです。
具体的には…
- 下地材のあと、アクリル絵の具[下層]→油絵の具(透明・または半透明)[表層]
上記のような感じです。
グレーズは透明性の高い絵具を何層にも塗り重ねる方法で、効果としては光沢、深みを出し、結果的には具象絵画の場合、立体感を生み出します。
下層のアクリル絵の具の色の上から透明・または半透明の油絵の具を塗って、下層に塗ったアクリル絵の具を透かし、奥行きのある絵にします。
とはいえ、下層に油絵の具を塗っても同じような効果が出ます。
そこは、お好みで描いてみましょう。
また、グレーズだけでなく、他の技法で併用できないかを考えてみても可能性が広がります。
油絵の絵の具とアクリル絵の具の混用
油絵の絵の具とアクリル絵の具の混用は、材料の組み合わせ次第で可能です。
混用可能な絵具が販売されているので、混用したい場合は買い揃えましょう。
具体的には…
- 水可溶性油絵の具【デュオ】✕アクリル絵具
- AQYRA【アキーラ】✕油絵具
以上です。
順番に解説します。
水可溶性油絵の具【デュオ】は、水に溶ける油絵の具だからアクリル絵の具を混ぜてもOK
タイトルのとおり、デュオとアクリル絵の具は混ぜられます。
具体的には…
- デュオの成分→通常の油絵の具+界面活性剤
以上です。
界面活性剤が油成分を包んで水に溶ける状態にしてくれます。
なので、水に溶けるアクリル絵の具と混ぜて使ってもOKです。
ちなみに、油絵の具やアクリル絵の具の、性質は違っても顔料は一緒なので混色で予想外の色はできないかと。
デュオとアクリル絵の具は混ぜて使えますが、デュオ以外の油絵の具とアクリル絵の具は混ぜて使うことができませんので注意しましょう。デュオと油絵具は、両方油絵具ですが、成分が違います。
何この絵の具?なんでもありのアキーラ
アキーラは、アクリル絵の具ではなく「水性アルキド樹脂絵具」です。アクリル絵の具とは性質が違います。
アキーラとアクリル絵具を併用する場合、アクリル絵の具が下層で、表層にアキーラを塗ることはOKです。
しかし、アキーラを下層に塗り、その上からアクリル絵の具を塗ってしまうと、アクリル絵の具が剥がれる恐れがあるので、「アキーラ下層→アクリル絵具表層」の順番で塗らないように注意しましょう。
上記を抑えた上で…
アキーラなら、今までの油絵の具との併用概念がぶっとびます。
理由は、色々できすぎるからです。
具体的には…
- 下層アキーラ、表層油絵の具OK
- 油性キャンバスの上からアキーラが塗れる
- 油絵の具の上からアキーラが塗れる
- 油絵の具とアキーラが乾いていなくても重ね塗りできる
- アキーラと油絵の具は混ぜてもOK(1:1くらいで丁寧に素早く混ぜる)
- 筆圧に気をつければ、下層に塗ったアキーラの乾燥時間を気にせず重ね描きOK
- 完成後はアキーラ用トップコートを原液で塗れば艶の調整が可能
- 画面上で油絵の具と混ざってもOK
- 油絵の具で紙に描ける(アキーラ下地を作ってから)
- アキーラで下地が作れる(下地の色が上塗りの絵の具に混ざる可能性があるので、アキーラに少しドライハードメディウムを混ぜる。とはいえ、なくてもOK)
上記の通りです。
ポイントは、水で溶けるアキーラ、オイルで溶ける油絵具と性質が違うのにアキーラは下層に塗っても油絵具の表層に塗っても問題ないということです。
なので、アキーラと油絵の混用で新しい表現ができるかもしれません。
ちなみに、油絵の具とアキーラで筆は使い分けましょう。
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【時短】アキーラでできること
下記にアキーラでできることを挙げます。
乾燥時間が4日から2日に…
- アキーラの下地(ドライハードメディウム入り)→乾燥→下描き→おつゆがき→乾燥
上記は、ジェッソ下地(3日)の部分がアキーラを使うことによって下地乾燥時間が短縮できます。アキーラの下地は、メディウムを使わなくても適度に乾いています。
アキーラで何層にもグレーズ→最後に表層を油絵の具でグレーズ
油絵の具は乾燥に何日もかかりますが、アキーラでグレーズを繰り返せば、一日に何層にも塗り重ねることができます。
【相性】アキーラでできること
- デュオ(水可溶性油絵具)とアキーラを混ぜる
上記のとおりです。
性質が違えど、相性は良いです。
時間がかかる乾燥が必要な作業をアキーラで済ませて、ぼかしや厚塗りは油絵の具であるデュオに任せましょう。
しかも、お互い溶剤が水で使えるので手軽に混用することができます。
まとめ
- 油絵の絵の具とアクリル絵の具は、性質が大きく違うのであなたが憧れる画家の絵や表現したいことで絵具を選ぼう。
- 油絵の具とアクリル絵の具は併用可能。ただし「アクリル絵の具が下層、油絵の具が表層」この原則を守ろう。
- 混用の場合は、デュオ+アクリル絵の具(仕上材は不明)。もしくは油絵の具(デュオも可)+アキーラ(仕上材はアキーラ用トップコート)で、時短や今までにできなかった表現が可能。
今回は油絵の絵の具、アクリルの絵の具を解説しました。併用、混用の使い方を理解し、効果的に絵具を塗っていきましょう。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。