「とことん」は、「とことんやる」とか「とことん攻撃する」などのように「徹底的に」という意味で使われることがあると思います。
では、なぜこのような言葉が使われるようになったのでしょうか?
今回は、「とことん」という言葉の語源・意味などをご紹介していきます。
この記事では次のことをお伝えします。
- とことんとは「徹底的」や「どこまでも」「こてんぱん」という意味がある
- もともと日本舞踊の「トコトントコトン」という足拍子
- 1600年ころから1870年ころには、民謡の囃子詞として用いられた
もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。
★もくじ★
とことんの意味とは?
まずとことんの意味を見ていきましょう。
とことんとは、「徹底的」や「どこまでも」「こてんぱん」という意味があります。
とことんの語源
続いて、とことんの語源についてご紹介していきます。
とことんは、もともと日本舞踊の「トコトントコトン」という足拍子を表していて、それが変化して踊りの意味になったようです。
足拍子とは、音楽のリズムに合わせて足を打つことです。
1600年ころから1870年ころには、民謡の囃子詞(はやしことば)として用いられたそうです。
囃子詞とは、歌を歌う前や中間部分・終わり部分などに調子をとるための言葉のことを言います。
なお、「とことん」は「床(とこ)とん」という擬音が本来の意味のようです。
なので、リズミカルな言葉なのがおわかりいただけると思います。
このように、最初は日本舞踊の足拍子だった「トコトン」が、民謡の囃子詞に変化して使われるようになりました。
とことんが今の意味に変化した出来事
とことんが現在使われている意味に変化した出来事があります。
それが慶応4年(1868)の戊辰戦争です。
日本初の軍歌「トコトンヤレ節(トンヤレ節)」によって、軍隊の意気込みを奮い立たせた上に、人々に広く知れ渡ったため、「トコトンヤレ」の「トコトン」が「徹底的に」という意味を持つようになったようです。
「とことん」は最初どのように使われたのか
「とことん」という言葉は、さきほどの軍歌「トコトンヤレ節(トンヤレ節)」の中でどのように使われたのでしょうか?
下記よりご紹介します。
宮さま宮さま御馬の前のびらびらするのはなんじゃいな 「トコトンヤレトンヤレナ」
ありゃ朝敵征伐(ちょうてきせいばつ)せよとの錦の御はた(旗)じゃ知らなんか 「トコトンヤレトンヤレナ」
歌詞の後に必ず「トコトンヤレトンヤレナ」が入ってきて、調子をとっているようです。
つまり囃子詞ですね。
この軍歌の流行によって、明治時代に入ってもさまざまな歌に替えられて歌われたようです。
「とことん」の意味合い
「とことん」の意味合いを見ていきましょう。
一言に「とことん」と言ってもさまざまあります。
- 相手のことを許さない
- どんなことがあってもあきらめない
- 同じ状態を間を入れずに続ける
- 同じ行いを長い間続ける
- 徹底的にする
上記のような意味合いがあります。
「とことんやり抜く」
とか、
「とことん繰り返す」
などといった言葉の使い方をするかと思います。
とことんの類語
「とことん」の類語を考えるとき、人の感情から考えるとわかりやすいかと思います。
それが、さきほどの「とことん」意味合いです。
- 相手のことを許さない
- どんなことがあってもあきらめない
- 同じ状態を間を入れずに続ける
- 同じ行いを長い間続ける
- 徹底的にする
具体的に上記の意味合いを見ていきましょう。
相手や物事を許さない
相手・または物事を許さないというようなときに使う「とことん」の類語です。
- 痛烈に
- 容赦なく
例文として、「痛烈に批判する」などがあります。
どんなことがあってもあきらめない
どんな困難に見舞われても諦めないというようなときに使う「とことん」の類語です。
- しつこい
- 粘り強く
- 飽くなき
例文として、粘り強く取り組むなどがあります。
同じ状態を間を入れずに続ける
同じ状態を間を入れずに続けるというようなときに使う「とことん」の類語です。
- ぶっ通し
- 次から次へと
- とめどなく
例文として、「とめどなく流れ落ちる涙」などがあります。
同じ行いを長い間続ける
同じ行いを長い間続けるというようなときに使う「とことん」の類語です。
- たゆまず
- しつこく
- 粘り強く
例文として、「彼はたゆまず勉強に励んだ」などがあります。
徹底的にする
徹底的にするというようなときに使う「とことん」の類語です。
- たっぷり
- さんざん
- ひたすら
例文として、「散々考えた挙げ句にやめた」などがあります。
まとめ
- とことんとは「徹底的」や「どこまでも」「こてんぱん」という意味がある
- もともと日本舞踊の「トコトントコトン」という足拍子
- 1600年ころから1870年ころには、民謡の囃子詞として用いられた
今回は、「とことん」という言葉を解説していきました。
「とことん」は、日本舞踊の足拍子が由来でした。後に日本最初の軍歌である「トコトンヤレ節」で広く知られてから「とことん」が「徹底的に」「がむしゃら」「初めから終わりまで」という意味になっていきました。