油絵の特徴|アトリエやニオイ、画材代を考慮して油絵をはじめよう!

この記事では次のことをお伝えします。

油絵の特徴が知りたい

名画からもわかるように、あなたが思わず見入ってしまう絵は大体油絵ではないかなと思います。

それくらい油絵は歴史が長く、多くの画家が用いた魅力的な画材と言えます。

しかし、あまり身近に感じることがない油絵。

どんな特徴があるのでしょうか?

なお、長く続けていくためにはメリットもデメリットも知っておく必要があります。

なので、両方をお伝えしたいと思います。

この記事のざっくりとした結論
  • 油絵の具は油だから、溶くのも落とすのも油
  • ニオイへの知識や専用の部屋があるかどうかが、油絵を始めるかどうかの基準
  • 油絵は、描かれるのも見られる機会も多い絵画技法

もし続きが気になる場合は、記事を読み進めてみてください。

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油絵の特徴

油絵の特徴を並べてみました。

油絵の特徴
  • 画材代がかかる
  • 画溶液にはニオイがある
  • アトリエが必要
  • さまざまな表現が可能
  • 絵画技法のメイン
  • 乾燥に時間を要する
  • 油絵の乾き方
  • 加筆・修正が可能
  • 厚塗りできる
  • 透明色を重ねられる
  • 存在感がある
  • 水ではなく油で溶く
  • 画溶液など使う順番や割合を守る必要がある
  • リンシードオイルは黄変する
  • 画材の後片付けにやや手間がかかる

ひとつずつ解説していきます。

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画材代がかかる

アクリル画に必要な画材は、

アクリル画の画材
  • アクリル絵の具
  • パレット
  • 基底材(支持体)
  • バケツ

などがあればとりあえずはアクリル画が描けてしまいます。

しかし、油絵は

油絵の画材
  • 油絵の具
  • パレット
  • 基底材(支持体)
  • 油壺(または絵皿)
  • ブラシクリーナー(制作途中)
  • ブラシクリーナー(制作後)
  • ペインティングオイル
  • 揮発性油

上記のように、アクリル画では水で済んでいたものを油絵ではわざわざブラシクリーナーを購入して使わなければいけません。

なので、他の画材より画材代がかかる可能性があります。

しかし、アクリル画を描く場合でもアクリル絵の具やメディウム、筆にこだわれば油絵の画材代よりかかる場合があります。

画溶液にはニオイがある

 

油絵の画溶液にはニオイがあります。

人によって「匂い」なのか「臭い」なのか別れるところですが、ものによっては気分が悪くなる可能性がある画溶液もあります。

特に揮発性油は「テレピン(ターペンタイン)」が臭います。

また、ペインティングオイルでも臭うものがあります。

なので、換気は必須です。

ちなみに私は、仕上材の「タブロースペシャル」の臭いが苦手で、臭いを嗅ぐと頭痛がする場合があります。

ちなみに油絵の具にはニオイがあまりありません。

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アトリエが必要

これは、アクリル画でも水彩画でも同じことですが、絵を描くにはアトリエが必要です。

イーゼル、画材用の棚、描きかけの絵を置くスペースが必要だからです。

さらに油絵の場合は、ゴミやほこりがつかないような対策が必要です。

乾くまで安全に保管できる収納があると良いですね。

さきほどのニオイのご説明から、同じフロア内にニオイが充満してしまうと不快に思う人がいるかもしれません。

なので、できれば共有スペースではなく仕切られた空間があると、油絵を描かない人を不快にさせずに自身は制作に集中できると思います。

さまざまな表現が可能

油絵はさまざまな表現が可能であると言えます。

油絵画家が100人いれば、100通りの描き方があると言われるほど人によって異なるようですよ。

表現もリアルな描写や、平面的な描き方などさまざまです。

技法も重ね塗りして深みを出したり、その場で描き上げるアラプリマ描きだったり、ペインティングナイフで描いたりすることが可能です。

また、オイルの量を増やせば、水彩画のように描くこともアクリル画のように描くこともできます。

絵画技法のメイン

油絵は、技法が確立されてから西洋絵画の中心的存在として多くの画家に愛されてきました。

これからも多くの画家に選ばれる絵の具になるでしょう。

乾燥に時間を要する

油絵は乾燥するまでに時間がかかります。

指触乾燥まで約7日(厚塗り)、完全乾燥(見えない部分まで)には半年~1年かかると言われています。
これは、他の画材より明らかに乾燥速度が遅いです。

乾きが遅いとデメリットに聞こえるかもしれません。

しかし、ゆったりじっくり制作できるのでおすすめの画材です。

パレットで混色して画面に塗ったあと、しばらくしてさきほど混色したパレットの色を再び使っても全く乾いていません。

また、画面上での混色も簡単にすることができます。

このおかげで、「ぼかし」や2つの色の境界を曖昧にする技法「スフマート」も可能です。

そして、気に入らない箇所や下塗りを見せたい場合はボロ布で拭うこともできます。

それくらい時間的に余裕があります。
なので、精神的にも余裕が生まれます。

乾きが早い絵の具を使って焦って描いても意味がありませんからね。

油絵の具は乾燥が遅いですが、乾燥させている間に別の作業をしたり、別の油絵を描いたりすることができます。

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油絵の乾き方

油絵の具が乾く仕組みは、空気中にある酸素を取り込んで乾性油が固まります。一度固まったら体積はそのままです。

一方、水彩画やアクリル画は水分の蒸発によって乾き、固まります。
乾きは早いですが、体積が減ってしまいます。また、
乾燥する前と乾燥した後では色の発色度合いが異なります。

これは、雨が降ると土が茶色に見えますが何日も雨が降らないと色が明るく白っぽく見えるのと似ているみたいですね。

逆に油絵は、油の体積が変わらず色合いもあまり変わりません。ただし、乾くと艶がなくなる絵の具があります。

なお、重ね塗りで加筆や修正をする場合は、下層の油絵の具を7日ほど乾かしたあとに行いましょう。
また、厚塗りしたあとある程度乾いてからナイフで削り取れば加筆・修正が可能です。

加筆・修正が可能

油絵は加筆・修正が可能です。

水彩画は暗い色を塗ってしまったら明るい色を塗って修正はできませんが、油絵は塗りつぶした後に修正することができます。

乾く前に修正する方法

乾く前に修正する場合は、ボロ布やティッシュなどで修正したい箇所を拭います。拭ったら、拭った箇所に油絵を描いていきましょう。

乾いた後に修正する方法

一方、乾いた後に修正したい場合は、7日ほど乾かしてから直接新しい色を塗って修正するか、不透明色の白色を塗ってから再び7日ほど乾かし描き直したい色を塗っていきます。

納得するまで加筆・修正ができるので、油絵は初心者の方にも優しい画材といえます。

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厚塗りできる

油絵は、厚塗りや盛り上げができる絵の具です。つまり、平面作品でありながら立体構造にすることができるわけです。

アクリル絵の具でも盛り上げることができますが、アクリル絵の具の場合は盛り上げたあと体積が減ってしまいます。

一方、油絵は盛り上げたら盛り上げただけの体積のまま固まります。また、盛り上げるまでしなくても、筆でついた跡やナイフでつけたタッチの跡も残ります。

厚塗りすると何が良いかと言いますと、モチーフの手前の部分を盛り上げて奥の部分を薄塗りすることでより立体感を感じる絵にすることができます。

また、重厚で印象に残る作品を作ることができます。

印象に残る作品は、見てもらえる機会が増えます。

見てもらえる機会が増えると、売れる可能性も出てきますね。

その代わり、厚塗りすればするほど乾燥するまでに時間がかかるので、注意が必要です。

ちなみに「厚塗り」のことを「インパスト」と言ったりします。

透明色を重ねられる

油絵は、透明度が高い絵の具と言われています。

ちなみに油絵の具には、絵の具ごとに「透明」「半透明」「不透明」という透明度に分けられています。

絶対ではありませんが、明るい色が比較的不透明、半透明が多く、暗い色は透明、半透明が多いような気がします。

透明度を活かすには、不透明や半透明の色の上に透明色を乾かしては塗り、乾かしては塗りを繰り返します。

層を重ねることによって微妙な色や深みを作り出すことができます。

ちなみに透明色を塗ることを「グレーズ」と言います。

透明度を分けて塗ることができる

油絵の具は、透明度を分けて塗ることができます。

例えば、光があたっている部分を不透明色で塗り、陰影部分を透明色で塗ると不透明色が手前に出て、透明色が奥にあるように見えます。

不透明色でベースを作り、透明色を何層にも塗って描く方法もあります。

ただし、必ずこのようにしなければいけないわけではありません。

不透明色で陰影部分を塗っても明るい部分を透明色で塗っても良いですし、不透明色を何層にも塗っても良いわけです。

ちなみに透明色を何層にも重ねることを「グレーズ」

不透明色を何層にも重ねることを「スカンブル」

と言います。

これらを一つの例として参考にしていただければ幸いです。

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存在感がある

厚塗りや透明色を重ねることができる油絵は、白色の明るさや鮮やかなコントラスト、深みなどが生まれます。

上記の効果があると、存在感のある絵になります。

水ではなく油で溶く

油絵の具を薄める場合は、水ではなく油で溶いてから描きます。

溶剤は、「揮発性油」(きはつせいゆ)や「乾性油」(かんせいゆ)です。

揮発性油はサラサラしていて、乾性油は粘度があってややとろみがあります。

ちなみに油絵の具は、主に「顔料」という色の粉と「乾性油」を混ぜて作った絵の具です。

もともと油絵の具には乾性油が入っているんですね。乾性油によって油絵の具が画面に定着してくれます。

揮発性油と乾性油を使って、画面への固着を考えた粘度調整をしながら油絵を描いていきます。

画溶液など使う順番や割合を守る必要がある

画溶液などを使う場合、順番が大切です。

例えば、下地材で使うジェッソや、下塗りで使うアクリル絵の具は油絵の下層にしか使用できません。

また、揮発性油で下塗りした後は、揮発性油に乾性油を足していき、最後は乾性油の割合を多くします。表層に揮発性油の割合を多くしてはいけないことになっています。

また、乾燥促進剤も使いすぎると艶が失われたりひび割れを起こす可能性があります。

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リンシードオイルは黄変する

リンシードオイルは、乾性油のことで、艶を出したり粘度調整に使ったりできます。また、油絵の具を作る際に顔料と練られています。

特徴としては、ポピーオイルよりも乾燥が早くて丈夫な画面にしてくれます。

暗所で、リンシードオイルを使用した油絵を保管していると、「黄変」(おうへん)します。つまり、変色して画面が黄色っぽくなります。

しかし、日に当てると黄変がなくなります。

黄変が気になる場合は、黄変があまり目立たないリンシードオイルを使ったり、ポピーオイルを使ったりする手もありますね。

画材の後片付けにやや手間がかかる

水彩画やアクリル画を描く場合は排水に流すことができるので、制作が終わったらアトリエから洗面台に直行すれば良いです。

しかし、油絵の制作の場合はすぐには洗面台に行くことができません。

油絵の後片付け例は以下です。

パレットについた油絵の具をパレットナイフなどで削ぎ落とす

パレットに乾性油を染み込ませたティッシュで拭き上げる

パレットナイフについた油絵の具をティッシュや古紙で拭う

筆についた油絵をティッシュや古紙で拭う

油絵を拭った筆をブラシクリーナーで洗浄する

油壺の画溶液をティッシュや古紙に吸わせる

廃液や油絵の具、画溶液を拭ったティッシュや古紙はビニール袋にまとめる。

絵皿や筆は水性ブラシクリーナーで洗う(または食器用洗剤、石鹸など)

絵皿や筆の水気を拭き取る

以上です。

基本的に油絵の具や画溶液は排水溝に流してはいけないことになっています。

廃液や油絵の具、画溶液を拭ったティッシュや古紙、ボロ布などはビニール袋にまとめて各自治体の処分方法に従って処分します。

ちなみに紙パレットを使っていて、毎回捨てる場合は丸めて捨てるだけです。なので、パレットを掃除する必要はありません。

油絵の具や画溶液がついたままの筆をそのまま放置しておくと筆が固まって、癖がついてしまいます。剥離剤できれいに除去することもできますが、毛に癖がついてしまうと微妙なコントロールが利かない筆になってしまうので、なるべく使うたびに洗ったほうが良いですね。

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油絵と日本画の表現方法の違い

ここからは、油絵と日本画の表現方法の違いをご紹介します。

なお、油絵でも日本画のような表現はできますし、日本画でも油絵のような表現をすることは可能です。あくまでも、それぞれの一般的な表現方法としてご覧いただければ幸いです。

立体表現と平面表現

油絵は立体的に描きます。輪郭が描かれずに陰影がメインに描かれています。ぼかし表現が可能で乾いても体積が減らない特徴から、立体表現に向いている画材と言えますね。

一方、日本画は平面的に描かれます。輪郭線が描かれていてぼかしの表現もあまり見られません。

油絵は立体表現で、日本画が平面表現なのは、日照時間も関係するのだとか。

日本は曇りの日が多いから、絵にも陰影が少ないようです。

遠近法の違い

油絵では、近くのものを鮮明に描き遠くのものを不鮮明に描きます。色においては近くのものが鮮やかで、遠くのものは青みがかった色をしています。これを空気遠近法と言います。

一方、日本画では近くのものも遠くのものも同じ線や色で描きます。

透視図法の違い

透視図には一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法というものがあります。

いずれにしても奥にいくにしたがって幅や高さが小さくなるようにする表現です。

油絵の場合はこれらの透視図法を使用して描かれます。

一方、日本画では建物などの構造物を描くときに、手前の寸法も奥の寸法も同じ幅や高さで描かれています。

上記のとおりです。

なので、油絵らしくしたければ一般的な描き方を目指して描くとより油絵らしい油絵になる可能性が高まりますね。

なお、油絵で日本画のように表現することもできますし、日本画でも油絵のように描くことも可能です。「絶対にこのような表現にしないといけない」という決まりはありませんので、それぞれ好きな描き方を探求されると良いかと思います。

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まとめ

油絵の特徴|アトリエやニオイ、画材代を考慮して油絵をはじめよう!
  • 油絵の具は油だから、溶くのも落とすのも油
  • ニオイへの知識や専用の部屋があるかどうかが、油絵を始めるかどうかの基準
  • 油絵は、描かれるのも見られる機会も多い絵画技法

油絵の後片付けの手間やニオイ、アトリエなどの問題がありますが、水彩画やアクリル画でも後片付けがありますし、ニオイがするものがあります。

どんな絵を描きたいか考えて、あなたに合った画材を見つけましょう。

さまざまな表現ができる油絵はとても魅力的な画材だと感じます。

もし迷っているなら、油絵も視野に入れてみてはいかがでしょうか?

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